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短編まとめ

とある男の話

思いつきで書きました

それはとある日、森深くにて


「何故俺はこうなっているのだろうか?」


俺は身体を縄で木に括り付けられた状態で

つい独り言をぼやいていた。

そして目の前では数人の男性が火を囲みながら

話していた。


「よっしゃあ誘拐成功!!」


「あぁ、しかも誘拐した相手は大貴族のヴラム家の

長男ときた!! こりゃ沢山金稼げそうだ!!」


「グヘヘ、そうなりゃ俺達"闇夜の盗賊団"の名も

一気に広まるぜ〜」


どうやら俺は彼らのグループ"闇夜の盗賊団"に

誘拐されたみたいだ。

確か、昼ぐらいに散歩をしていたら、いきなり頭を

殴打されて気を失ったんだ。

未だに後頭部が痛む。


そして申し遅れたが俺の名はガルフ・ヴラム。

王国での有力貴族であるヴラム家の長男だ。

財力、武力において王国内でかなり重要な地位を

築いている。



「おい、ご子息さんよ〜」


「なんだ?」


「お前、自分が置かれている立場分かってんのかよ〜

誘拐、人質になっているんだぞ?」


「それがどうした」


「どうしたって……怖く無いのかよ?

俺達がその気になればいつでも殺せるぞ?」


「じゃあさっさと殺せ」


「だがな、お前には身代金の為という重要な役割が

あってな〜俺達躍進の為にまだーー」


「多分両親は金払わないぞ」


「ハッ、強がってよ〜本当は怖いーー」


「いや、マジで払わんぞ」


「へっ……?」


盗賊達は驚いていた。それもそうだろう。

まさか誘拐された人物からここまで強く

"払わないだろう"と言われるのは初めての展開だろう。

驚いている連中を尻目に俺は自分の境遇を話し始めた。


「俺の両親は俺よりも双子の弟や妹を溺愛しているし

日々の扱いなんて1人だけ離れで生活で使用人いないから

大体の事は1人でやらされるし、日々暗殺されかけ

この前なんて俺と双子の弟に殺されかけたが、両親は

"弟がそんな事する筈がない"の一点張りで

まともに取り合ってもらえないしーー」


「……なんかすまない聞いてしまって」


境遇のまだ1割を話し切ってない状態で話を区切られ

逆に聞いてきた方が謝っていた。

まさかここまで言われるとは思っていなかったのだろう。


「これでもまだ金取れると思うか?」


俺が全員にそう聞くとさっき聞いてきた人物とは

別の人物が


「い、いやだな、流石にお前がいなくなったら

貴族のメンツみたいたのが……」


「今頃、家族全員で宴会じゃないか?」


俺は即答した。

あの家では今頃、使用人も含めてのパーティーだろう。

あの家族ならそうしているだろう。


「なんか本当に悪りぃな……」


またもや謝ってくる。


「いや大丈夫だ、慣れてる」


「俺達が言うのもなんだがそれ慣れちゃ

いけない気がするのだが……」


「ーーで、ところであんたらがさっきから

食べているのはなんだ?」


「これか? 見りゃ分かるだろ、今日の晩飯だ」


と盗賊達の中の1人が皿を突き出しながら言う。


「おい、まさかそれであんたらは飯と言うのか?」


「そりゃ貴族さん達が食べているモンとは

質が劣ると思うが、これでもな……」


「ブランドの問題じゃなーーい!!」


「「はっ?」」


俺がその様に叫ぶと盗賊達は

一斉にポカンとした表情を浮かべた。


「おい、縄を外せ」


「俺達に命令すんのか? まさか外した瞬間に

逃げるつもりじゃないだーー」


「俺ならもっとマシなモンが作れるわ!!

作ってやるから縄を外せ」


俺がその様に言うと盗賊達は一度全員で集まり

丸聞こえのこしょこしょ話をし始めた。


「どうする?」


「まさか料理作るから外せなんて初耳だぞ?」


「だが、逃げられると危険なんだよな」


「はっ、逃げねぇよ。なんなら見張りをつけろ。

俺はただ料理を作るだけだ」


と俺のある意味堂々とした態度に若干怯えながら

縄を外して、俺にその場であった残り物で料理を

作らせた。


「おら、出来たぞ」


俺は鍋から各自の皿に分けて配った。


「やべぇ、匂いから美味そうなんだが……」


「あぁ同意見だ……」


「お前、これに毒薬は入れてないよな?」


「いれてねぇからさっさと食え」


「お、おう……では、一口……

ーーめちゃくちゃ美味い!!」


口に入れた瞬間、大声で叫ぶリーダー格の人物。

彼がその様に言うと他の盗賊達も次々と料理を

口に入れていき


「「めちゃくちゃ美味い!!」」


と同じ様に叫ぶのであった。


「俺こんな美味いの生まれて初めて食ったわ!!」


「っておい!! 俺の分食べんじゃねぇ!!」


「うめぇ……!! 生きてて良かった……!!」


「そうだろう。よし良かった」


と言った瞬間にふと思った。

“俺は何をしているのだろう”

何故か誘拐されて身で誘拐した奴らに料理を

振舞っている……。

我ながらいかにもいかつい連中に結構な喧嘩腰で

話を振っていた気がする。

この頭に血が昇ると結構なキレ気味で喋ったり

行動するのは俺の悪いクセだ。

と1人で自己嫌悪していると盗賊団のリーダー格の男が


「よし!! 今日からお前をウチの料理番にする!!!

ーー文句ある奴はいねぇな!!」


「いやちょっとまて俺はゆうーー」


「「文句無し!!」」


「ちょっと待てーーぃ!!」


「お前ら新しい仲間の祝いだーー!!

盃を持てーー!!」


「「おうーー!!」


誘拐されて初日俺の立場は

人質→盗賊団の料理番

にランクアップ?した。

果たしてこれから俺はどうなっていくのだろうか。

なんて思いながら愉快な夜が暮れていった。





このキレ気味の悪いクセは所々で問題を引き起こして

いくのであった。

俺が盗賊の料理番になってしばらくして

その日はとある村を襲った。


「てめぇら!! 奪えるもんは全て奪え!!」


「バカやろう!! 奪うなら金持ちから奪え!!」


「何でだよ? 弱いもんから奪った方が楽だろう」


「だってそっちの方が弱いもんから盗るよりも

金持ちから奪った方が気分が良いだろうが!!」


「でもよ……俺達みたいな少数の盗賊団で

出来る筈がない……」


「正攻法でやるから勝てねぇんだろ。

ーーやるなら策を使わないとなぁ!!」



そしてその後、村に税金を取りに来た偉そうな役人を

奇襲してかなりの金貨を奪い取った。

そして奪い取った金貨を目の前に盗賊団の連中は

目を輝かせてお祭り騒ぎだった。


「おぉーー!! こんな量の金見たことねぇ!!」


「すげぇ両手で掴みきれない金なんて

まるで夢みたいだぜ!!」


「これも策の立案から全てお前のおかげだぜガルフ!!

ありがとうな!! なんか今までで一番盗んで

一番気分が良いぜ!!」


「だろ? こっちの方が気分が尚更いい。

特に威張っているやつらを蹴り散らすのはな!!」


そしてまたふと思った。

俺は何をしているのだろうか。

気がついたら盗賊団にアドバイスをしていた。

つい、イラッとして策を披露してしまったが

本来盗賊に教えるものではないのでは?

だが既にやってしまった事なので取り返しはつかずに

更に……


「よしお前ら!! 今日からガルフを副頭領にするぞ!!

文句ある奴はいねぇな!!」


「おい待て!! 俺はそんな事やるつもりは……」


「「意義なし!!」


「マジかよーー!!」


今日この日俺の立場は

料理番→盗賊団の副頭領になった。






そして副頭領になってから数年

闇夜の盗賊団も団員も増え、国内有数の盗賊団になった。

だがその急成長を良くも思わない連中もいるようで……


「くそッ!! 囲まれた!! あいつら俺達に反感を

持っている他の盗賊団と王国の騎士と手を組みやがって

一気に俺達を潰すつもりだ!!」


この日は俺達と日々縄張りを争っていた盗賊団が

他の盗賊団と王国の騎士を手を組み一気に俺達の盗賊団を

潰すつもりで兵を進めてきた。

戦力差は圧倒的で歴然だった。


「団長!! 第2防衛線突破されました!!

徐々にこっちの本拠地に迫っている!!」


「そうか……この場合はどうすれば……!!

俺の首だけで済むか……」


「団長はバカか!? あんたの首だけで

絶対済まないだろ!!」


「じゃあどうすればいいんだ……」


「戦力が足りないなら地の利を使ってのゲリラ戦で

応対していくだけだ!!」


「ガルフ……」


「団長、まだ諦めんな。まだ負けてない。

ーーむしろこれから巻き返していくぞ!!」


「「おぉーー!!」」


その後俺達はゲリラ戦と奇襲を併用しながら

徐々に勢力を盛り返していき、2つの勢力の連携を

断ち切り何とか危機を乗り越えた。


「なんとか勝ったのか……」


「まぁな……本当にギリギリだった……」


と戦いが終わった後、団員達と一息をついていた。

奇跡的にこちらでは怪我人こそいるものも死人は

1人も出なかった。


「にしてもさすがガルフだな……」


「まぁ相手がお手本通りに戦い方しかしない騎士サマ

だったから戦いが楽だった」


「よしお前ら!! 俺から提案だ!!夜霧の盗賊団の

頭領を今からガルフにする!!」


「はぁ!? ちょっと待て!!

そんなん俺は絶対引き受けーー」


「「意義なし!!」」


「おいマジかよーー!!」


今日この日

俺の身分は副頭領→頭領になった。



この後、俺が率いる事になった夜霧の盗賊団だが

王国内の危機を救ったりして伝説になるのだが

それはまた今度の機会に。

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― 新着の感想 ―
[一言] 誘拐されたほうがよかったのかよくわからん 出生はした...のか?
[良い点] 軽快なテンポで紡がれるファンタジーストーリー、盗賊団がなんだか可愛く描写されているところが面白かったです。
[一言] ひ・・・ひでえ・・・ これが貴族の長男の扱い!? 誘拐した人たちが、憐れむって一体・・・
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