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ゼロから始めるダンジョン攻略  作者: 世界一生
3章 ダンジョンに行こう
44/240

10話 続・鬼現る

累計ユニークアクセスが1000を超えました。

ここまでの方に読んでもらえるとは夢にも思っていませんでした。

これからもできるだけ毎日更新を続けて、無事完結まで行きたいと思います。

引き続きよろしくお願いします。


追記:文末の・・・を……に変更しました。

鬼と会った翌日、俺は変わらず3階層に来ていた。とは言っても、今日は攻略目的ではなく訓練が目的だ。


「とにかく決められた魔力をいかに早く練り上げるか、そしてそれをいかに早く相手に当てるかを主題にやっていこう」


訓練が目的なわけだから、2階層へ上がる階段から離れる必要はない。コボルドと遭遇したら浸透を使って倒す。精神力が無くなってきたら2階層へあがって休憩する。これをルーチンとしてやってみるか。


「……気配は左からするな」


3階層は階段のある空間から3つの道が伸びている。それぞれの道が迷路のようになっているので、とりあえずどれを選んでも問題ないだろう。気配を頼りに進んで行くと、案の定6,7体のコボルドがいた。目標は仲間が合流する前に戦闘を終わらせることだ。


「よし、いくぞ……」


できるだけ音がしないように注意して進みながら、隙を伺う。あいつらの嗅覚は人以上に敏感だから、風上にいると一発でばれる。位置取りを注意してできるだけ近づき……今だ!


足に魔力を流して一気に加速。敵グループの中でこっちに顔を向けていないやつを狙う。


「食らえ!」


横っ面を浸透で殴り飛ばす。他の仲間を巻き込んで倒れ込むコボルドを無視して次の相手に狙いを付ける。俺に気付いたコボルドたちを掻い潜って魔力を拳に集める。


「もう一発!」


1体のコボルドの腹にボディブローをかますが不発。魔力の量が足りなかったか……。


「ちぃ!」


左右から爪で攻撃される。それを紙一重で躱して囲いを抜ける。


「2発目を打つまでの時間がかかり過ぎるな。やっぱり右だけじゃ倒しきれないか……」


結構時間が経ってしまった……目の前のコボルドの爪攻撃を躱しながら脇腹に拳を叩きつける、今度は成功。これで2体倒した。


「3体目を倒したいけど……右の拳への魔力の集まりが悪い。これじゃ混戦での連発はできないぞ」


魔力が集まるまで避けることに専念していると、懸念していた問題が勃発。別のグループが戦闘に参加してきた。


「……これで10体。仕方ない、今まで通りできるだけダメージを与えて時間を稼ぐ。その間に魔力を集めて浸透で確実に1体倒そう」


結局、戦闘が終わるころには20体近くのコボルドを倒す羽目になった。





2階層から3階層に続く階段で休憩を取る。このダンジョンでは、なぜか魔物が階段を使うことはない。つまり、階段は安全地帯と言うことだ。


「やっぱり、左手で浸透を打てるようにならないとダメなのかな?」


ダッジさんに確認したいところだけど、無い物ねだりをしても仕方ない。ここは方針を変更して、左手の浸透を練習しに2階層に戻ろう。


2階層の魔物はポイズン・キャタピラ、芋虫の魔物だ。こいつらは毒を吐く攻撃をしてくるけど、基本的に遅いのでまず当たらない。


「よし、まずは気配を辿ってポイズン・キャタピラを見つけるか」


しばらく行くと1匹のポイズン・キャタピラを見つけた。まずは、左手に魔力を集める……。


「慣れていないからな、集まりが悪い。でも……これも練習だ」


やっと必要な魔力が集まった。できるだけ気配を殺して近づく……。ポイズン・キャタピラが後ろを向いた瞬間、俺は走り出した。コイツ相手ならブーストはいらないだろう。


「せぇの!」


ブヨブヨした身体に左拳を叩きつける。拳が魔物に触れた瞬間魔力を解放、するとポイズン・キャタピラが爆ぜた。


「うわ、やばい。あれ浴びたら毒を貰うぞ」


撒き散らされる体液を躱しながら、その場を離れる。


「危なかった……しかし、あれは失敗だったな。あれだとだた魔力を叩きつけただけだ。内部へダメージが伝わってなかったな」


右手で練習してた時も、最初はただ爆発するだけだった。ホブゴブリン戦で初めて成功してからは、意識しなくても打てるようになったけど、左手だと上手くいかないのは何でなんだろう?


「魔力の集まりが悪いのも原因になってるのか?そこから練習しなきゃダメか」


さっき魔力を集めたとき、右手の時よりも明らかに集まるのが遅かった。


「はぁ……レッド・コメット先生みたいに練習にうってつけの魔物とかいないかな……」


愚痴っていても始まらない……練習を再開しよう。結局、この日は左手の浸透が成功することはなく、ウドベラの町に戻った。





ウドベラに戻って食堂で夕食を取っていると、見たくない相手を見かけた。


「……あれは、あのときの鬼女か?」


夕食に付いてきたパンをスープに浸して口の中に放り込む。口の中のパンを咀嚼しながら視線だけで鬼女を追いかける。あいつも、この宿に泊まってたのかよ。


「5日目にして初めて出会っちゃうとはね……」


向うも俺に気付いたのか、すごい形相で睨んできた。まあ、今は食事をすることを優先。せっかくの美味しいご飯だ、ちゃんと味わって食べないとね。俺が食事に舌鼓を打っていると、なぜか向うから近づいてきた。


「てめぇ、なぜここにいる!」


ええ、絡んできちゃうの?止めようよ、せっかく美味しいもの食べてるのに。


「答えろよ!なんで、てめぇがここにいる」


「……なぜって、ここに泊まってるから」


「なんだと!?今日まで見かけなかったぞ?」


「それはお互いさまだ、俺もさっきアンタを見て驚いた。偶然ってあるんだな」


「そんな訳あるか!どうせ、アタイがここに泊まっていることを嗅ぎ付けて、ここまで来たんだろう?」


何この人、すっごい被害妄想。


「……はぁ、俺がここの宿を取ったのは5日も前だ。信じられないなら女将さんに聞いてみるといい」


俺はまともに取り合わず、食事を続ける。すると鬼女が拳を振り上げて俺の夕食を弾き飛ばした。


ガシャ~ン!


食事時の喧騒の中に皿が落ちる音が響く。周りのやつらも静まり返ってしまった。……この鬼女、いい加減にしろよ。


「……おい、お前にどんな理由があるかしらんけど、食事を粗末にするやつは碌なもんじゃないぞ?」


さすがに俺も我慢の限界だ。立ち上がって文句の1つも言ってやろうとしたら


「ちょっと、あんたたち何やってんだい!喧嘩なら外でやりな!!!」


女将さんのカミナリが落ちた。


「俺だって分かんないです。この女がいきなり絡んできて、俺の食事を台無しに……」


「てめぇがアタイの後をつけ回すからだろう!」


「だから、知らねえって言ってんだろ!」


「どっちも黙りな!理由はどうあれ、店の中で騒ぎを起こしたのは事実。2人とも、荷物を纏めて出ていきな!」


「え、ちょ、ちょっと女将さん。俺完全にとばっちりだよ?何も悪いことしてないのに、なんで追い出されないといけないのさ」


女将さんが俺のことをジロリと睨み付ける。怖い……が、俺は何もしていない。あの女がキレて俺の夕食を台無しにしただけだ。


「あんた、リーザスからきた冒険者だったね。この町ではね、喧嘩をしたやつはどんな理由があっても両成敗なんだよ。売る方も、買う方も」


「買った覚えないです!無理やり売ってきた喧嘩でも、両成敗って理不尽じゃないですか?」


「イヤなら警備隊に連絡するよ?」


うわぁ、マジかよ。俺1ミリも悪くないと思うんだけど宿を追い出される羽目になった。さすがに腹の虫が収まらないんで、鬼女の方を向くとあいつもこっちを睨んでいた。


「てめぇのせいで宿を追い出されたじゃないか、責任を取れよ!」


「いい加減にしろよ?さすがの俺でもキレるぞ!」


「なんだと?」


「なんだよ!」


お互いに近づいてメンチを切り合う。完全に町のチンピラである。


「とっとと出ていけ!!!」


女将さんの二度目のカミナリが落ちて終了。3階に上がって自分の荷物を纏めるとすぐに宿を出た。今は夕食時、今から宿を取れるかどうか……。


「……お世話になりました」


とりあえず挨拶だけして『金の落穂亭』を後にする。女将さんに非は無いのかもしれないけど、さすがにこの沙汰は納得できない。もうこの宿を使うの事は二度とないだろう。


「……まずは今日の寝床だ。屋根が無いのはさすがに困る」


「クゥ~ン……」


俺と一緒に追い出されたポロンが寂しそうに鳴く。俺だって泣きたいよ。とはいえ、何とかしないと……こんなときに頼りになるのは。


「アーネちゃんに聞いてみるか」


他に思いつかず、仕方がないので冒険者ギルドに向かった。





ギルドの玄関をくぐって中に入ると、カウンターにはまだアーネちゃんがいた。


「あれ、ホクトさん。どうしました?こんな時間に……」


俺を見つけたアーネちゃんが心配そうに聞いてきた。


「……実は、宿屋を追い出されちゃって」


「え?ホクトさん、宿屋を追い出されるってよっぽどですよ?いったい何をしたんですか?」


アーネちゃんもちょっとご立腹だ、頬をプクゥと膨らませて怒ってますポーズをしている。アーネちゃん、君もか。


「俺は何もしていない。突然鬼女がキレて喧嘩を売ってきただけだ」


「……鬼女?」


「昨日ダンジョンで会ったんだけど、突然怒りだした奴なんだよ。俺としては何を怒られたのかさっぱりだったんだけど。そいつが宿屋で飯食ってたら、入ってきたんだよ」


「いきなり怒りだしたんですか?」


「ああ。ちょっと危なそうだったから手助けしたんだけど、それについては詫びたはずなんだけどな」


「ドロップ品の取り合いとか?」


「そいつ、ドロップ品置いていなくなった。後で文句言われても嫌だから、ちゃんと取ってあるよ」


「そうですか……。で、今日になって顔を合わせてしまった……と?」


「いきなり俺が食ってた飯を台無しにしてくれた。お蔭で女将さんがカンカンになって……それで追い出された」


自分で話してて、また腹が立ってきた。


「今のお話を聞く限りでは、ホクトさんに非はないように感じます」


「そりゃそうだ、本当に俺は何もしていない」


「むぅ……」


あ、アーネちゃんも考え込んじゃった。そりゃ、理不尽過ぎて訳が分からん。俺とアーネちゃんの2人で頭を捻っていると


「おいアーネ、ちょっと聞いてくれよ。いきなり宿を追い出されて困ってんだ。

 お前の伝手でどこか紹か……あ、てめぇは!」


また出たよ、なんで会いたくないやつに限ってこんなに会っちゃうんだろうね。


「あ、カメリアさん」


アーネちゃんはあいつのこと知ってるんだ。まあ、当然かギルド職員だし。


「なんでてめぇがここにいる!」


「……なんでって、アンタのまきぞいで宿を追い出されたからだよ」


「え!?ホクトさんが絡まれた人って、カメリアさんだったんですか?」


「絡まれた?てめぇはアーネに何を吹き込んだ!」


わぁ、もう無茶苦茶だ~。


「ちょっとカメリアさん、落ち着いてください!」


カオスである。キレて俺に詰め寄る鬼女と、状況が分からず涙目でアワアワしているアーネちゃん。きっと、今日の俺の運勢は最悪だったんだろう……。



名前:ホクト・ミシマ

性別:男

年齢:17

レベル:13

職業:拳闘士(Lv3)

----------------------------------------

体力 :235     +3↑

精神力:146

攻撃力:165(+5)  +1↑

防御力:170(+6)

敏捷 :312(+3)  +2↑

知能 :2

魔力 :121     +1↑

運  :41

----------------------------------------

スキル:

ダーレン大陸共通言語(Lv2)

鷹の目(Lv8)、集中(Lv8)

気配感知(Lv1)、魔力制御(Lv3)


----------------------------------------

称号 :

初心者冒険者(体力に小補正)

----------------------------------------

装備 :

皮の籠手(攻撃力+5)

ショートソード(攻撃力+5)

皮鎧(防御力+6)

グリーブ(敏捷+3)

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