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ゼロから始めるダンジョン攻略  作者: 世界一生
3章 ダンジョンに行こう
38/240

4話 事の真相

追記:文末の・・・を……に変更しました。

微睡んでいた意識が浮かび上がる。薄っすらと目が開く。


「……あれ、もう朝か?」


視界に飛び込んできたのは、掘り起こされた地面と木々に囲まれた場所。そして、背中に感じる硬い毛の感触。


「うちに、こんな硬い毛のソファなんてあったっけ?」


「ワン!」


「わ、ポロン!やめ、やめろ、そんなにベロベロ舐めるな……ああ、顔がベチャベチャになる……」


膝の上立ち上がり、俺の顔を舐めまわす毛玉はポロンだ。そこまで考えて気を失う前のことを思い出した。


「そうだ、シャドウグリズリーと戦って……」


自分が寄り掛かっている物の正体に気が付き、おっかなびっくり振り返る。そこには自分の予想通りの物があった。


「……そうか、倒したんだったな」


殺されかけた相手、シャドウグリズリーの死体がそこにはあった。


「……っつ!」


途端に左腕に感じる激痛。意識がハッキリしたことで折れたときの痛みが襲い掛かってきた。


「超痛い……でも、ここにはポーションもないしな。一旦野営したところまで戻らないと」


今自分がいる場所はどこだろう?野営していた場所から戦いながら移動したから、どっちにいけば野営地なのか分からない。


「なあポロン。お前、昨日野営した場所わかるか?」


「ワゥ?……ワン!」


解るらしい、さすが俺の相棒賢い。


「とりあえず移動するか。このままここにいると、別の魔物に襲われかねないし」


立ち上がって移動を開始しようとしたその時。


「まさか、生きているとはな……」


誰かが話しかけてきた。相手を探すと、木々の間から見覚えのある男が姿を現した。


「あんた……いや、なんでお前が生きている!」


姿を現した男は、俺たちと一緒に乗合馬車でウドベラを目指していた男。そして……


「俺は昨夜、あんたの死体を見た。上半身が無かったけど、まさかあれで生きていたって事は無いよな……」


そう、俺が最初に見つけた上半身の無い死体。それが目の前にいる男の正体だ。


「クククッ……ああ、あれは俺じゃない。死んだと見せかけるために、置いておいた替え玉だ」


「じゃあ、あそこで死んでたのは一体誰だ?」


「あれか?あれは冒険者のリーダーさまだよ」


「!」


冒険者のリーダー……つまりトマスさんか。まさかトマスさんがすでに殺されていたなんて。


「どうやってあんたがトマスさんを殺したって言うんだ。それに他の冒険者たちはどうした!お前はいったい何者なんだ!」


「おいおい、いっぺんに色々聞き過ぎだ。そうだな、まずは俺の名を教えてやろう。俺の名はアンザス、召喚士アンザスだ!」


アンザス、それが俺たちを殺そうとした男の正体。そして、奴は自分を召喚士と名乗った……それってつまり。


「この毛玉はお前が呼び出したのか?」


「ご名答。そいつは、俺が呼び出して使役していた魔物だ」


「何のために、こんな手の込んだことを?」


「そりゃ、もちろん金だ。ここで襲われて全滅した連中は、哀れ魔物に食い殺されてしまいましたとさ。全滅した連中の私物が無くなっていても、誰の仕業か解らないから……追手がかかる心配もない。どうだ、完璧だろう?」


「お前、そんなものの為にみんなを殺そうとしたのか?」


「そうだ。金の為なら、俺は誰でも殺せる。召喚士としての力を使って自分に疑いの目が向けられないなら、誰でもやるだろう。今までも、それで上手くいってたんだからな」


今までもってことは、ノルンさんが言っていた未知の魔物ってのはシャドウグリズリーのことだったのか。そりゃ召喚士が召喚したのなら神出鬼没なわけだ。


「でも、まさか未知の魔物が金品を巻き上げるとは、誰も思わなかっただろうな」


「後は、お前を殺せば証拠の隠滅も終了だ。この辺りはうるさくなりそうだから、しばらくは別の場所に行って狩りを続けるさ」


この糞野郎は、人を殺して金品を奪っておきながら狩りだと抜かすのか。


「お前は絶対許さねぇ。何が何でも町に連れて行って裁きを受けさせてやる!」


「やれるのか?そんなボロボロの身体で」


「……召喚士の1人くらいなら、どうとでもなる」


「ククク……バカかお前。俺は召喚士だ、召喚できるのがそいつ1匹なわけないだろうが!」


右手を前に突き出すアンザス。その手の指には赤い宝石のはめ込まれた指輪が光っていた。


「やばい、あいつ何か召喚するつもりだ!」


慌てて駆け出すが、間に合いそうにない。


「ハッハッハ!この辺りで一番強力な魔物を召喚してやる!これでお前の生き残る可能性はゼロだ!」


アンザスの前に光が溢れる。何かが呼び出されようとしている。全力でアンザスに向かうが、俺があいつに辿り着くよりも先に召喚されてしまうだろう……万事休す。


「ワン!」


「……は?」


「……へ?」


しかし光が止んだ、そこに立って……いや座っていたのは俺の相棒のポロンだった。あまりの光景に立ち止まってしまう。


「どういうことだ?なんでポロンが召喚されたんだ?」


「ば、バカな!?なぜ、こんな小さなイヌッコロが召喚されたのだ!?」


召喚した本人も解っていないようだ……。


「俺は確かに、この近くで一番強い魔物を召喚したはずだ……なのに現れたのはあいつの飼っているイヌッコロだと?では、こいつはひょっとして……」


あいつの混乱が収まる前に何とかしないと……。再び走り出した俺を見て、ポロンも行動を起こす。アンザスの足を思いっきり噛んだのだ。


「うぎゃぁぁ~!?」


突然の痛みに驚いたアンザス。なんだ、召喚されたからって召喚士の意のままに操られるわけではないようだ。


「お前には、聞きたいことがあるんだ。しばらく動けないようにしてやる!」


アンザスの顔面に強烈な右フックを叩き込む。倒れ込んだところをマウントポジションをとって抑えつける。


「さて、話してもらおうか。お前はどうやって召喚した魔物を操っているんだ?」


「……それをお前に話すわけないだろうが!」


アンザスの顔面を2,3発殴りつける。鼻血が噴出した。


「お前はどうやって召喚した魔物を操っているんだ?」


「……」


まだ、だんまりか。更に顔面を殴っていく。


「ま、まっへくりぇ……は、はなひゅかりゃ……」


何発殴ったか解らないくらい殴りつけ、言葉も覚束なくなったアンザスは遂に話す気になってくれたようだ。アンザスの話しを纏めると、アンザスは召喚した魔物の首に自分の魔力を流した首輪を付けることで魔物を操っていたようだ。本来は魔法陣の中で身の安全を確保した上で行うようだが、まさかシャドウグリズリーが倒されるとは想いもしていなかったため、他の魔物を召喚していなかったらしい。咄嗟に召喚したのが、俺の相棒のポロンだったのは運が悪過ぎだろ。


「それで、お前はどうやってトマスさんを殺したんだ?」


アンザスが事の真相を語りだした。

夜警をしていたトマスさん達に気付かれないように森に行き、シャドウグリズリーを召喚した。シャドウグリズリーはそこに待機させ、野営している場所に戻って魔物に襲われたと嘘の報告をする。それで冒険者を釣り出してシャドウグリズリーの餌食にしたそうだ。死んだトマスさんに自分の服を着せて死んだことにすれば捜査の手が自分に向くことはないから、毎回この手を使っていたようだ。


「お前は殺さない。町に差し出して裁きを受けさせてやる」


トマスさんや老夫婦のことを思うと、殺したいと思ってしまう。だけど、こいつには生きて裁きを受けて死ぬ以上の苦しみを味わってもらいたい。たいていの野盗は捕まると、鉱山で死ぬまで働かされるらしい。


「さて、こっちは片付いたな。あとはケニさんと合流できれば……」


「お~い、ホクト君!!」


遠くからケニさんが、こっちに向かってくる。良かった、ケニさん達は無事みたいだ。見ると逃げたときよりも人が多い。


「ケニさん、無事でしたか!」


「ああ、ホクト君も無事……とは言えないようだけど生きていて何よりだ」


逃げたケニさんたちと一緒にいたのは、死んだと思われていた冒険者の1人だった。彼は、シャドウグリズリーに殺される寸前だったらしいが、突然シャドウグリズリーが野営地の方へ走っていったことで生き残ることができたようだ。助かったとしきりに頭を下げる彼と、お互い生きていたことを喜び合う。そして、今回の犯人であるアンザスのことを伝え俺の代わりに縛り上げてもらう。


「なるほど、シャドウグリズリーは召喚された魔物だったのか。どうりでこの辺りでは見かけない魔物なのにここにいるはずだ」


「でも、倒せたんで良かったです」


ケニさんと話しながら傷の手当てを受ける。左腕もだけど、切り裂かれた胸の傷も結構な重傷だったらしい。手当をしてくれたのは、助かった女性のうちの1人ロニーさん。彼女は病院で働いていたことがあるらしく、応急処置の経験もあったらしい。


「あくまで応急処置ですので、ウドベラに着いたら病院へ行って回復魔法で治してもらってくださいね。お題は我々が出しますから」


助かった人たちからお礼として、俺の治療費を出してもらうことになった。みんなの心遣いが有り難い。


「結局、今回の襲撃で6人の人が亡くなりましたね」


老夫婦の他に冒険者が3人、それと御者をしていた男性も殺されていた。ここからウドベラに向かうにしても誰が馬車を操縦するのか……。


「馬車だったら俺に任せてくれ。これでも昔は行商の旅をしていたんだ」


「ケニさん、馬車の操縦ができるんですか?」


「ああ、こんなことしかできないが俺にやらせてくれ」


馬も無事だったし、なんとかウドベラまでは行けそうだ。無事だった荷物を馬車に積み込み、遅い朝食を取った。そうそう、シャドウグリズリーの討伐証明と金目の素材は、生き残った冒険者の人が俺の代わりに取ってきてくれた。命を助けられたお礼だと言っていた……自分もパーティが全滅したのに有り難いことだ。素材の一部を彼に渡す。本人は拒んでいたけど、俺としてもすべてを俺が手にするのはちょっと躊躇われる。そう言って、本当に一部だけど受け取ってもらえた。


すべての準備を終えて俺たちは出発した。既に日も登っていて、出発には問題ない。これなら今日中にウドベラに着けるだろうとケニさんは言っていた。その後は何の問題も発生せず、その日の夕方前にはウドベラに到着することができた。



名前:ホクト・ミシマ

性別:男

年齢:17

レベル:11↑

職業:拳闘士(Lv3)

----------------------------------------

体力 :226     +12↑

精神力:144     +10↑

攻撃力:161(+5)  +6↑

防御力:169(+6)  +8↑

敏捷 :302(+3)  +15↑

知能 :2

魔力 :118     +6↑

運  :41

----------------------------------------

スキル:

ダーレン大陸共通言語(Lv2)

鷹の目(Lv8)、集中(Lv8)

気配感知(Lv1)、魔力制御(Lv3)


----------------------------------------

称号 :

初心者冒険者(体力に小補正)

----------------------------------------

装備 :

皮の籠手(攻撃力+5)

ショートソード(攻撃力+5)

皮鎧(防御力+6)

グリーブ(敏捷+3)

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