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ゼロから始めるダンジョン攻略  作者: 世界一生
3章 ダンジョンに行こう
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1話 冒険者稼業開始

今日から3章が始まります。


追記:文末の・・・を……に変更しました。

Dランクに上がった翌日。今、俺が何をやっているかと言うと……。


「あ~!お兄ちゃん、そこ間違ってるよ」


「え、どれだ?」


「そこは、こう書くんだよ」


ハンナちゃんに文字を教わっていた。10歳児に文字を教わる17歳……。普段はアサギに教わってるんだけど、アサギが仕事でいないときなんかはハンナちゃんから教わっている。この子、宿屋の手伝いをしているだけあって字が綺麗なんだよ。


「でも、ちょっとずつでも覚えているから問題ないだろ」


「……お兄ちゃん、これくらいは町にいる子供みんな読み書きできるよ」


「……すいません、調子にのりました」


ハンナちゃんは結構スパルタだ。でも怒っているように見えて、実は俺に教えることができて喜んでいることを俺は知っている。怒りながら喜びを隠せないでいるハンナちゃんは可愛い。地球でも、こんな妹がいたら楽しかったろうな。


「ただいま~」


「あ、アサギお姉ちゃんおかえりなさい!」


アサギが仕事から帰ってきた。ハンナちゃんは顔だけアサギの方に向いて挨拶をする。


「どう、ホクトくん。ちゃんとお勉強してる?」


「聞いてよ、アサギお姉ちゃん。お兄ちゃん、真面目にやってくれないんだよ?」


「いや、真面目にやってるって!俺の人生で今以上に勉強したことなんて無いぞ?」


「……お兄ちゃん、それ自慢にならないよ?」


「……ホクトくん、それは自慢にならないよ」


2人に突っ込まれた……おかしい、どうして俺の本気が伝わらないんだ。


「あ!そうそうホクトくん。ダッジさんが呼んでだよ?ホクトくんを見つけたら、ギルドに来てくれって」


「え、ダッジさんが?なんの用だろう、思いつかないな」


「昨日何か話しそびれたんじゃない?」


「まあいいか、じゃあギルドに行ってくるよ」


そういって席を立った俺の袖が掴まれた。


「お兄ちゃん。まだ、今日やるところまで終わってないよ?」


ハンナちゃんが氷点下の視線を向けてくる。


「い、いやほら。ダッジさんを待たせるわけにはいかないじゃん?残りは帰ってきてからやるからさ!」


「ダメ。あとちょっとなんだから、終わるまでは外に行かせません!」


ハンナお母さんだ。

そういえば子供の頃、同じように遊びに行こうとして何度捕まったことか。


「……はい」


素直に謝って、机に戻った。


「ふふ、今後もハンナちゃんが教えてくれれば意外と早く覚えるかもね」


結局、俺がギルドに向かったのは、それから1時間後だった。





「おう、ホクト。待ってたぜ」


ギルドに入ってダッジさんの居場所を聞いたら、なぜかノルンさんに引率されて訓練場まで来た。


「アサギからダッジさんが呼んでるって聞いたんで。それよりも、どうしてノルンさんが?」


「ふふふ……。まずはダッジさんのお話しを聞いてください」


なんだろ?ノルンさんもダッジさんも、何かを隠しているようにニヤニヤしてる。


「なんですか?2人して……」


「ウォッホン!ホクトよ」


わざとらしく咳をしてダッジさんが話し始める。


「……はい」


「お前が、オレの弟子になって早1か月。どうだ?ある程度は自信が付いたか?」


突然何を言い出すんだろう、このおっさんは。自信?確かに始めのころに比べてれば魔物とも戦えるようになったと思う。


「そうですね、今回の遠征で『浸透』も覚えましたし、ゴブリン数体なら独りでも戦える自信は付きました」


「そう、その『浸透』だ。よくぞ、モノにした。オレが教えて会得したのはお前が初めてだ」


だからダッジさんは終始嬉しそうなのか。でも、そんな話をするために俺を呼んだのか?それだと、なぜノルンさんがここにいるのかが分からないけど。


「ホクト、おめでとう。お前は卒業だ」


「……え?」


始めは何を言われたのか解らなかった。


「お前は冒険者登録の時の結果から、ギルドにお目付け役を押し付けられ自分の受けたい依頼も受けられずにいた。それは、お前の実戦経験が余りにも乏しかった状況をギルドが危惧した結果だったが……今日、晴れて卒業だ」


「おめでとう、ホクトさん」


え、ああ!そういう事!?


「え、じゃあ俺、これからは自分の受けたい依頼を受けていいんですか?」


「もちろん。ランク相当の依頼であれば、誰に憚ることなく受けることができます」


そういうことか!だからノルンさんも一緒だったんだ。


「今のお前は、どこに出しても恥ずかしくない一端の冒険者だ。

 オレが保証してやる」


「ありがとうございます、ダッジさん!俺、ここまで苦しかったけどダッジさんに師事して良かったと本気で思ってます」


「そう言ってもらえると、こっちとしても教えた甲斐があったってもんだ」


「さて、ホクトさん。Dランクになり、自由に依頼を受けることができるようになりましたが、何か受けたい依頼はありますか?」


「え?……ああ、突然だったんで受けたい依頼とか何も考えてなかった」


「だと思いました」


ノルンさんがクスッと笑う。


「良ければ、これから私が依頼を探すお手伝いをしますが、いかがですか?」


え、ノルンさんが一緒に依頼を探してくれるの?そりゃ、ギルド職員のアドバイスを聞けるなら、どんな依頼が自分に合うのかわかるだろうけど……。


「良いんですか?ノルンさんに時間を割いてもらうのは悪い気がするんですけど」


「良いんですよ、こういった相談は他の冒険者の方からもありますし。本来はEランクの時に相談を受けて、色々アドバイスをするんですけどホクトさんの場合状況が状況だったので」


ああ、普通はそうなんだ。確かに俺の場合、薬草採取か一角兎討伐しか受けてなかったから迷うことなんて無かったな。だったら、いい機会だ。プロの意見を聞くチャンスなら逃す手は無いな。


「ぜひ、お願いします」


「お願いされました」


ノルンさんと笑いあうと、2人でギルドの方へ歩き出した。


「ホクト!」


ダッジさんに呼び止められて、振り返る。


「これからも、オレに訓練を付けてほしい時はいつでも来い。

 お前の為なら、いくらでも付き合ってやる」


ダッジさんにそう言われて、思わず涙が出そうになった。ダッジさんとはこれっきりと言う訳ではないが、会う機会は確実に減る。すでにギルドからの目付け役から解放されたダッジさんにとって、俺は単なる冒険者仲間の1人……そう思っていた。


「わかりました!これからも、何かあったら相談させてもらいます!」


でも違ったんだ。ダッジさんは師匠で、俺は弟子。この関係はこれからも続く。そのことに気付いて嬉しくなった。


「さ、行きましょうかホクトさん」


「はい!」


ダッジさんにお礼を込めて頭を下げ、すっきりした気持ちでノルンさんの後を追った。





「さて、ホクトさん。ホクトさんはどんな依頼に興味がありますか?」


「そもそも、あんまり掲示板を見たことがないのでDランクの依頼って、どんなものがあるのか今いち分かってないです」


率直な意見を言うと、ノルンさんは考え出した。


「そうですね……Dランクだと討伐依頼が多くなります。ゴブリン、コボルト、スライムなどは定番ですね。みなさんDランクにあがると、色々な魔物に目移りしますが、安定して狩れるのはそのあたりのようです。ギルドとしても推奨していますしね」


「ゴブリンか……」


「確かにホクトさんは、先日のゴブリン集落殲滅作戦に参加され大きな功績を残されました。なので、もう少し上の魔物を狙っても良いかもしれません」


特にゴブリン討伐が嫌な訳ではないんだけど、森に入ってゴブリンを延々に探すのはちょっと嫌かな。


「ちなみに、それ以上になるとこの辺りでは、どんなのがいるんですか?」


「そうですね……トレントなどは南の門から出て2時間ほど歩くとある森に棲息しています。他にもオークやオーガなど様々な種が多数棲息する、やや難易度が高い森です。ちょっとホクトさんには早いかもしれません」


おお、ファンタジーでは有名どこの名前が出てきたな。オークか、俺よりもソウルに任せたい魔物だな。……なんせ、あのパーティには女騎士がいる。「くっころ」がリアルに聞けるかもしれない。


「どうしたんですか?嬉しそうな顔をして」


やばい、顔に出てた。


「なんでもないです……ハハハ……」


訝し気な表情をするノルンさん。


「あとは、そこから更に2時間ほど歩くと【ウドベラ】と言う、ここより小さいですが町があります。この町の近くにダンジョンがあるn……」


「え、ダンジョン!?行きたい!俺、ダンジョンに行きたいです!!」


一気にテンションが跳ね上がった。だって、ダンジョンだよ?ゲームや小説の定番。色々な魔物がいて、お宝も手に入る。願いの塔以外にもダンジョンがあるなら、ぜひ行ってみたい。


「願いの塔以外にもダンジョンってあるんですね。あ、でも俺探索者じゃないですよ?」


「大丈夫です。願いの塔以外のダンジョンは冒険者であれば誰でも入れます。

 近くにある比較的難易度の低いダンジョンですと、そこだけですね」


「そうか、ダンジョンに入れるんだ」


すでに俺の腹は決まっていた。ノルンさんに何を言われても耳に入ってこないだろう。


「ホクトさん、そんなにダンジョンに入りたかったんですか?」


「はい、1回は入ってみたいと思ってたんで。それに願いの塔しかダンジョンが無いと思ってたので、予期せぬ幸運と言うか……」


「なるほど。でしたら、ウドベラに向かう前にアサギさんに色々アドバイスをもらってから行った方がいいですよ。あの方は何度もダンジョンに潜ってますし、確かウドベラのダンジョンはアサギさんも制覇していたはずです」


なんと!アサギはダンジョンを制覇していたのか。それなら、色々攻略に役立つ情報を教えてくれそうだな。


「わかりました、戻ったらアサギに聞いてみます。

 ちなみに、ダンジョンの依頼ってどんなのがあるんですか?」


「基本的に素材集めです。たまに宝箱の中身狙いで特定の武具などが依頼されることもありますが」


素材集め、俺はあまり受けたことがない。解体の経験もほとんどないし、できても一角兎しか討伐できなかったから旨味は余りなかった。一角兎も簡単な血抜きだけだったしな。あと聞くことと言えば、依頼を別々の町で二重に受けて良いのかだな。


「リーザスとウドベラ両方で受けても良いんですか?」


「もちろん。リーザスとウドベラ両方で受けても問題ありません。ただ、あまり多くの依頼を受けてしまうと失敗した時が大変なので注意してください」


「わかりました。とりあえず、今日は帰ります。アサギに情報を聞いて、準備ができたら依頼を受けにきます」


「わかりました。ではホクトさんのDランク最初の依頼はダンジョン攻略ですね」


「はい!」


「ですが、注意してください。ここ最近、ウドベラへ続く街道沿いで魔物に襲われる被害が多発しています。リーザスの町でも街道沿いの巡回を増やして探していますが、未だに討伐されていません」


魔物か、そんな得体のしれないやつがいるのか……この町にはランクが高い冒険者が多い。にも拘らず未だに討伐されていないってことは、かなりランクが高いのか?それとも隠密性が高いのか?


「わかりました。ウドベラに向かう時は、誰かと一緒になるようにします」


「そうしてください。乗合馬車を利用すれば、護衛に冒険者が付くことになるので比較的安全に旅ができますよ」


「わかりました!」


ダンジョンか。うわぁ、めっちゃ楽しみだ。こうして俺の本当の意味での冒険者活動が始まった。しばらく町を離れることをハンナちゃんが知ったとき、書き取りの宿題を山ほど出されることになるとは、このときの俺には知る由もなかった。

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