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ゼロから始めるダンジョン攻略  作者: 世界一生
10章 好敵手になろう
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19話 クウとポロン

体調不良のため、しばらく1話が短くなります。

ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。

「うぅ~……」


「そう怒るなよ。結構可愛いぞ、マロ眉」


拗ねたような鳴き声で、俺の足に体当たりしてくるポロン。ポロンには可哀想だと思うけど、あえて声を大にして言いたい。クウ、グッジョブ!


「……」


ジト目で俺を見上げるポロン。


「……解った、途中で肉買ってやる」


「…………(ジー)」


「……骨付きの肉」


「わん!」


途端に機嫌を直すポロン。こいつ、いつの間に心理戦何か覚えやがった!?すっかり機嫌を直したポロンを連れて、クウと一緒に街中に繰り出す。目的地は冒険者ギルドだけど、せっかくポロンもいるんだから、ちょっと遠回りをして散歩しながら行くのも悪くないだろ。今日はせっかくの休日、いくらソウルの為に一肌脱ぐとはいえ俺も休みが欲しい。


「クウは冒険者ギルドに、何か用事は無いのか?」


「とくにない。わたしは、ポロンと一緒に居たいだけ」


「あ、そうっすか……」


本当に散歩するだけのために、俺に付いて来たみたいだ。せっかくクウも外に出てきたんだから、せめて楽しかったと思えるような散歩にしよう。


「ふふ……」


クウは、普段見せないような表情でポロンを撫でながら、俺の前を歩いている。ポロンも、最近はクウと組むことが多いので、クウの事は好きみたいだ。今も、クウの歩幅に合わせてゆっくり歩いている。さすが白狼種、子供でも賢いな……そのうち母親みたいに、話し始めたりしないかな。


「どうしたの?」


「ん、クウはポロンが好きか?」


「うん、大好き。ポロンの飼い主を私に変えてほしいくらい」


突然そう言うクウ。まあ、それだけクウの事が好きって事なんだけど……。俺もポロンの母親との約束もあるし、俺としてもポロンと別れるのは寂しい。まあ、俺らはパーティを組んでる訳だから、しばらくはクウもポロンと一緒に居られる。


「……くぅ~ん」


「わかってるよ、ポロン。今のは、わたしの願望。ポロンが、どれだけホクトの事を好きなのかは知ってる。だから、言ってみただけ」


そう言って、ポロンの喉元を撫でるクウ。物わかりが良いように見えるけど、後ろ髪惹かれてるのは見ればわかる。これからも、できるだけポロンとクウは一緒に組ませよう。


柔らかな日差しの午前中。人も多く無く、散歩をするにはうってつけの天候だ。ポロンは、左右をキョロキョロ見ながら、街中の移ろいを面白そうに眺めている。そんなポロンの横に、ピッタリとくっついているクウ。


「そう言えば、クウはこの辺りよく来るのか?」


「あまり。わたしは、出歩いたりしないから……。最近は、今の宿と探索者ギルドを行ったり来たりする事が多い。たまに装備の調整に武具やに行くくらい」


「そうか……。もしクウが良かったらだけど、ポロンの散歩を任せても良いか?」


「っ!?いいの?」


今までで最速、最大級のリアクション。未だかつて、クウがここまで表情を変えて食いついて来たのを見たことが無い。


「良いよ。ポロンもクウの事が好きだしな。それに、多分クウよりもポロンの方がこの町の事を知っている。散歩しながら、ポロンに色々な所に連れて行ってもらえ」


「わんわん!」


任せろとばかりに、ポロンが威勢よく鳴く。そんなポロンの横、ポロンを挟んでクウの反対側に並ぶ。俺もポロンの柔らかい毛並みを撫でながら、クウの顔を見る。あまり外に出たがらないクウ。特に出不精って訳でも無いんだろうけど、やっぱり育った村と違うから知らない人ばかりの環境が辛いのかもしれない。だけど、ポロンがいればクウも楽しんで町に繰り出せるのではないか?そう思っての提案だ。


「……いいの?ポロンの散歩は、ホクトも楽しそうにしてた。飼い主なんだから、ホクトがポロンを散歩に連れて行った方が、ポロンも喜ぶ……」


「……それは、俺に遠慮してか?」


「………………」


図星だったみたいだ。そんな所で遠慮しなくてもいいのに。俺は、意思を込めてポロンの頭を撫でる。賢いポロンは、これだけで俺の言いたい事を理解してくれたようだ。クウにすり寄って、甘えまくる。あれはヤバイ、あの上目遣いの寂しそうな瞳を見てしまうともう……あ、クウがポロンの顔を見た。


「わたしがやる」


チョロい。あっという間に陥落したクウ。まあ、クウの為を思っての提案だったから、受けてくれて良かった。しばらくクウに甘えていたポロンは、こっちに戻ってきて俺の身体に自分の身体を擦り付けた。


「なんだ?別にあれくらいじゃ、ポロンの事を嫌いになったりしないぞ?そもそも、俺がポロンに頼んだんだから……」


首周りを撫でながら、そうポロンに言うと……。


「…………わふぅ」


あ、違う。ポロンの目が俺に訴えかける。『助けたんだから、骨付き肉追加だよね?』こいつ、本当に侮れない賢さだな。


「わかった、わかったよ。肉追加な」


「わん!」


嬉しそうに、俺の周りを駆けずり回るポロン。それを見て、クウが首を傾げていた。


「なに?」


「何でもないよ。さあ、そろそろ広場に行って軽く食べよう。その後、俺は冒険者ギルドだ。クウたちはどうする?宿に戻るか?」


「ううん、わたしもギルドに行く。ホクトの特訓に興味がある」


なんで突然。さっきは興味ないって言ってたのに。まあいいか。俺達は、足をそのまま街の中央、広場の方に向けた。あそこには、ポロンが好きな肉を出す屋台がある。今までに一度だけ、その店で骨付き肉をポロンに買ったことがあるんだけど、まさかその味を覚えているなんて……。


溜息を一つついて、俺はクウとポロンの後を追った。

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