12話 ホクトは○○
今後の調整が難しいこともあり、パラメータの値を10倍に変更しました。
追記:文末の・・・を……に変更しました。
名前:ホクト・ミシマ
性別:男
年齢:17
レベル:3
職業:拳闘士(Lv1)
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体力 :170
精神力:100
攻撃力:130
防御力:150(+3)
敏捷 :230(+1)
知能 :2
魔力 :90
運 :40
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スキル:
ダーレン大陸共通言語(Lv2)
鷹の目(Lv5)、集中(lv5)
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称号 :
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装備 :
ショートソード(攻撃力+5)
布の服(防御力+3)
スニーカー(敏捷+1)
ホログラムっていうのか、目の前に半透明の板が現れた。これが、俺のステータス……比較対象が無いから高いのか低いのか分かんないな。それにしても日本語で表示してくれて助かった。こっちの文字で書かれても俺には読むことができないからな……。
「これってアサギにも見えてるのか?」
「ホクトくんのステータス?見えてないよ。
見せたいなら、心の中で私に見せることを承認すれば大丈夫。
でも注意してね、基本的に自分のステータスは個人情報だから、誰彼構わず見せるようなものじゃないから」
「了解。まあ、アサギになら見せてもいいだろう。
どっちにしろ、色々説明してもらわないと分からないことだらけだし」
そう言って俺は心の中でアサギにステータスを見せることを念じてみた。
「これで見えるか?」
「どれどれ……ほほう、結構ステータス高いんだね。
さすが私が見込んだ男の子!」
「これで高いのか?数値の意味がよくわからん」
「そうだね。だいたい、一般男性の平均が100前後かな。
鍛えている人や仕事柄、力を使う人なんかでバラつきはでるけど」
「なるほど。じゃあ100を基準に高い低いと考えればいいか」
そう考えていたら、突然隣のアサギが噴出した。
「ぷっ、ホクトくんの知能が……」
「あ?俺の知能がどうしたって?」
「低い……低すぎる。農家の子供たちだって、もっと高いよ。
これだけ知能低くて、どうやって生活してるの……ぷぷぷっ」
「え、ホクトさんの知能ってそんなに低いんですか?」
なぜかノルンさんまで食いついてきた。
「見てよノルン。ホクトくんの知能……2だって!」
「私は承認されていないので見えません……ですが、2ですか。
…………ぷぷっ」
「なんだよ、お前ら!感じ悪いな。そんなに俺の知能が低くて悪かったな!」
「ぷぷっ……ごめんごめん。ホクトくん怒らないで」
「普通は怒るよな!?人をバカバカ言いやがって……」
「ククッ……と、このように個人情報は無闇矢鱈と人には見せてはいけません。手痛いしっぺ返しを受けますので……」
そう言っているノルンさんの肩が小刻みに震えている。
「……ノルンさん、笑っていいですよ。そんな顔を真っ赤にして我慢される方が気分悪いです」
ちくしょう!なんだよ2人とも。確かに頭悪い自覚があるから、バカバカ言われてもしようがないけど……。
「アサギ、いい加減笑うのを止めろ。他にも聞きたいことがあるんだよ」
未だにプルプル震えながら笑うのを我慢しているアサギをジト目で睨みながら話を続けようとする。
「ああ、面白かった。久々にこんなに笑ったよ」
「お前反省する気ないな……」
「で、なんだっけ?」
「アサギ言ってたろ?ランクがどうの」
「……ああ、冒険者のランクについてね」
「それは私から説明します」
そう言ってノルンさんは冒険者について説明してくれた。それによると、冒険者のランクはE,D,C,B,A,Sの6段階。一番多いのはCランクで、アサギもCランクらしい。自分の1つ上のランクまで依頼を受けることができる。ただし失敗すると違約金が発生する上に、続けて依頼を失敗するとランクが下がるそうだ。
「基本的に2つ連続で依頼を失敗した場合に、ギルド側で審議会を開きます。そこで降格が決定されるとランクの降格になります。これはやむを得ない事情で依頼を失敗した場合の救済措置となります」
「やむを得ない事情って?」
「依頼内容と現実の大きな隔たりなどです。例えばEランク相当の魔物の討伐依頼だったのに、現地に行ってみたらCランク相当だったなどが該当します」
ああ、個人の能力ではどうしようもなかったときは救済措置が働くのか。とはいえ、あまり期待はしない方がいいだろうな。基本的に、どんな依頼でも成功させるつもりでいこう。
「ランクを上げるためには依頼達成数と依頼成功率が関わってきます」
依頼達成数とは、その名のとおり成功させた依頼の数だ。各ランク毎に必要な依頼達成数は違うようだけど。そして、依頼成功率は達成した依頼数と失敗した依頼数の比率で決定するらしい。無闇に依頼を受けまくって、失敗数が増えたらランクは上がらないってことだ。自分に合ったレベルの依頼を確実に成功させていけば問題ないだろう。
「依頼の報酬とは別に、依頼時に討伐した魔物の討伐証明部位や魔物の素材などは別途お売りいただく形になります」
「わかりました」
「一通り説明しましたが、他に何かご質問はありますか?」
だいたい理解できただろうか。とにかくランクを上げるためには確実にこなせる依頼を見つけて成功させ、成功率を落とさないようにすれば勝手に上がっていくだろう。後は……
「ああ、探索者ギルドに入る条件って何ですか?」
「探索者ギルドですか?探索者ギルドの門戸は、冒険者ランクがCランクから加入できるようになっています」
ランクCか。それってアサギと同じってことだよな。アサギに視線を向けるとウンウンと何度も頷いている。
「最後になりましたが、ホクトさんには試験を受けていただきます」
「……は?試験?」
「はい。冒険者ギルドへの登録は終わったので、ホクトさんは晴れて冒険者になりましたが、ホクトさんの能力が冒険者としてやっていけるか我々は知りません。なので、我々の課す試験を受けていただき、どの程度の能力があるのかを見極めさせていただきます」
「そんな試験があるのか……。それって落第とか、あるんですか?」
「落第とは少し違いますが、不合格と見なされた者には教官がついてみっちり教育していくことになります。教官が付いている間は、自由に依頼を受けることができません。教官が選んだ依頼を受けてもらうことになります」
マジかよ。冒険者って自由なんじゃないのか!?鬼軍曹付きっ切りなんて……せめてノルンさんみたいな大人のお姉さんがいい。
「少し脅かしてしまいましたが、よほどでない限り教官が付きっ切りと言うことはありません。せいぜい座学や模擬戦を数時間ってところですね」
そう言えば同級の友達が自動車教習所での経験を教えてくれたっけ。つまり、今の俺は仮免ってことか。
「その試験はいつやるんですか?」
「本日の回は終わってしまったので、明日の昼頃に来ていただければ」
「明日の昼ですね、わかりました」
とりあえずギルドでやることは終わったかな。そう思ってアサギの方を見る。
「アサギの方は、どうだ?」
そうアサギに振ると、ギルドの奥から職員が来てノルンさんにトレーを渡して行った。
「アサギさん、本日の報酬になります」
「ありがとう。これで私の用事も済んだよ」
俺に笑顔を向けてそう言った。
「それじゃ、行こっか」
アサギは玄関の方へ歩き出す。
「では、明日昼にお待ちしています」
ノルンさんは丁寧なお辞儀で見送ってくれた。俺もそれに対して返礼すると、アサギの後を追いかけた。
ホクトくんは脳筋です。