表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロから始めるダンジョン攻略  作者: 世界一生
6章 町を守ろう
101/240

5話 新装備

気付いたら、昨日の投稿で100話になっていました。

100話の割には、話しが進んでない気が……。

まだまだ続きますので、よろしくお願いします。

「……と言う訳だ」


あの後、俺は羊の夢枕亭に戻ってきていた。そして、今目の前にはアサギとカメリアがいる。場所は俺の借りている部屋だ。さすがに内容が内容だけに、共有空間の食堂で話すことは憚られた。なので、食堂にいた2人を誘って俺の部屋まで来たんだけど……。2人とも独身男性の部屋に躊躇なく入ってきたけど、俺って男として見られてない?いや、カメリアなんかは直球でアプローチしてきているから、どちらかというと既成事実上等なんだろうな。


「そんな事が……」


「本当に1万匹の魔物が、ここに向かってるのかよ」


俺が下らない事を考えている間に、アサギとカメリアから返事があった。ギルドで説明されたことを、俺なりに2人に説明できたと思う。あとは、2人がどういう結論を出すかだな。


「全部本当の話だ。少なくとも、ギルマスやダッジさんが嘘を言っているようには、見えなかった」


「……例えそうだとしても、1万匹は異常な数よ」


「スタンピードについてはアタイも聞いた事あるけど、それでも2,3百が良いところで多くても1000匹って聞いたぞ?それがいきなり1万匹って、どうなってんだよ」


「なんで1万匹にも膨れ上がったのかは解らない……と言うか、聞きそびれた。まあ、数が異常なのは他の冒険者の反応を見て分かってたけどな。それで……2人はどうする?」


「どうするって?」


「どういう意味だ?」


「そのまんまだよ。リーザスに1万匹の魔物が迫っている。そして、一応ギルマスから今回の緊急招集は拒否しても御咎めなしと言われている。その上で、2人はどうしたい?受けるか、拒否するか……」


「……」


俺の言葉を受けて、アサギは考え込んでしまった。無理ないよな、俺だってリーザスに拘りが無ければ逃げたいところだ。アサギは今、自分の命と友人知人の命を天秤に乗せてるんだろう。


「そんなの決まってるぜ。アタイはやる!」


そして、案の定カメリアは考える間もなく乗り気だった。これも何となく想像できたな。


「カメリアは受けるのか?」


「ああ、こんなチャンス滅多にないぜ?アタイは、何をおいても依頼を受けるぞ」


「……はぁ、カメリアはもう少し考えて行動した方がいいわよ?」


「なんだよ、アサギは受けねえのか?」


「そうは言わない、だけど今私たちはパーティを組んでいるの。自分1人で受けると言っても、残りのメンバーの事も少しは考えなさい」


「うっ……」


ああ、案の定カメリアは俺たちの事を何も考えていなかったよ。俺だってソロなら、何も考えずにあの場で宣言してたよ。


「私も受けたいとは思う。この宿屋の人たちや、他にも町の中には仲のいい人たちが沢山いるわ。そんな人たちを守るためなら、私は1万匹の魔物だって怖くない。私が怖いのは……私の判断で、ホクトくんやカメリアが傷ついて大怪我を負う事なの。最悪、死んじゃうかもしれないし……」


アサギの言葉でカメリアの表情が変わった。カメリアは、自分1人だったらどうとでもなると思っていたんだろう。


「……あまり深く考えない方が良いかもな。俺だって、アサギやカメリアにもしもの事があるかもって考えたら、前へ進めなくなる。だから、もっとシンプルに考えようぜ」


「……シンプルに?」


「とりあえず自分たちの力量とか、1万匹の魔物とかは置いておく。その上で、リーザスを守りたいか、守りたくないか」


俺の言葉にアサギとカメリアがお互いの顔を見合う。


「そんなの、守りたいに決まってるよ」


「ああ、アタイだってせっかくここまで来たんだ。いきなりホームにしてる町が無くなるのは勘弁してほしいからな。守るぜ、リーザスの町を」


「俺も守りたい。ここまでは、俺たちパーティメンバーの考えは共通してる。後は、どうすれば1万匹の魔物と戦っても死なずに済むかを考えよう」


アサギが俺の方を見て、驚いた顔をしてる。なんか、すっげえバカにされてる気がする。


「……すごいね。なんか色々頭を使って、あの手この手を考えてた私がバカみたい。そうよね、物事はもっとシンプルに考えた方が答えが出るときもある!」


「お、アサギも元気出てきたじゃねえか。アタイはもとからシンプルに考えてたぜ、1万匹の魔物がなんぼのもんだ!」


いいね、部屋の空気が軽くなった気がした。今まで他のメンバーの事を考え過ぎて、本当にやりたい事をするための足枷になってた。これでチームの方針は決まった。後は、いかにパーティメンバーの被害を最小限にするかを考えよう。





「だいたい、こんなところかしら?」


「こうやって見返すと、大したこと言ってねえな。全部冒険者なら、当たり前の事じゃねえか」


あれから色々話し合ってみたけど、結局は

・自分の身が最優先

・余裕ができたら仲間のフォローに入る

・手に負えない魔物に出会ったら仲間と協力して逃げる

こんなところだ。まさしく、ザ・初歩の初歩。こんなこと、どの冒険者も心の中じゃ思っていることだろう。


「それを実践するのが、意外と難しいのよ」


しみじみと言うアサギ。何か昔に失敗でもしたのか?


「アタイなんか深く考えたことないぜ。それでも今日まで生きて来れたんだ、きっと何とかなるさ」


脳筋楽観娘のカメリアは、もう少し考えてから行動しよう。俺だって、当たり前の事だと思いつつも記憶の片隅では覚えてる事だぞ?


「後は攻撃部隊と防衛部隊のどちらに組み込まれるかで、方針が変わってくるな。まあ、俺たち程度が攻撃部隊に組み込まれるってのは、十中八九無いだろうけどな」


「分かんねえよ?なんせ総指揮はダッジっておっさんなんだろ?そのおっさんって、確かホクトの師匠なんだよな」


「……まあ、そうだな。ヤバイ、カメリアが言うから本当に言われる気がしてきた」


「師匠ってのは、たいがい弟子に無茶させるからな」


「と、とにかく!まずは町に出て出発の準備をしよう。俺は防具の交換をしようと思ってるけど、2人はどうするんだ?」


「私は、もう少しギルドで情報を集めるよ。その後、必要雑貨の買い出しに行ってくる」


「じゃあ、アタイは作戦中の食事でも買ってくるかな」


俺も防具屋以外に何かしようかと思ったんだけど、2人から手は足りてるからって事で自由をもらえた。心苦しくもあるんだけど、実際遠征の準備とかってアサギしかまともにできないんだよな。恐らくカメリアの思考を読んで、買いそびれたものとかも買ってきてくれるだろう。


「よし、じゃあ夜にまた俺の部屋に集合って事で」


「わかった」


「おう」


こうして、俺たち猛炎の拳は各自行動を開始した。





「おっさんいるか?」


「誰だ、今俺の事を海坊主って呼んだ奴は!」


「いや、呼んでないから……」


「あぁん?……なんだホクトか」


ここはリーザスの町でも1,2を争う腕前の武具屋。そして、目の前にいるツルッパゲの海坊主は、店主のゴドー。最初に防具を買い揃えた縁で、未だにリーザスで防具を買うときはここに来る。


腕は良いんだよな、怖い顔と店に入るとハンマーが飛んでくるから客はほとんどいないけど。俺、この店の客ってソウルとアサギ以外見たことない。


「どうした、ボーっとして」


「いや、何でもない。ちょっと防具見に来たんだけど時間良いか?」


「見てのとおり客なんていねえよ」


確かに、店の中には俺が入るまでは誰もいなかったようだ。ほんと、これだけ腕が良いのに客がいないって、逆にホラーだな。


「……ひょっとして、スタンピード絡みか?」


「なんだ、もう情報回ってんのか」


「さっきダッジが来た。防具の調整で暇だったから、少しだけ話したんだ」


なんで鍛冶をしている最中に、暇なんて言葉が出てくるんだ。鍛冶って魂込めるんじゃないのか?


「ま、まあ話が通ってるなら早い。そろそろ皮の鎧が限界でね。多少高くついても、今以上の物が欲しい。何とかならないか?」


「予算は?」


「金貨3枚くらいまでなら、なんとか捻出できた」


「貧乏なくせに奮発したな。ならちょうど良いのがあるから、ちょっと待ってな」


そう言ってゴドーが裏から持ってきたのは、見た目は皮製品だけど今まで使っていたのとは見た目からして全然違う。表面に張られた皮は、陽の角度によってなのか見た目が綺麗なコバルトブルーになる。それに触った感触も今までよりも硬そうだ。


「これ……何の素材なんだ?」


「……竜だよ」


「はぁ!?」


おいおい、竜かよ!くぁーテンション上がってきた。そうだよな、ファンタジーの世界に来たらやっぱりドラゴンとかの装備着たいよな。


「もっとも正確には竜じゃなくて、大きな蜥蜴らしいけどな。一応末席とは言え竜種だから、売る方としては箔が着くから竜の皮って事にして売りに出してんのさ」


なんだ、ビックリさせるなよ。まあ、良く考えれば当然だよな。金貨3枚で買えるようなドラゴン装備なんて、バッタもんの臭いしかしない。


「そうガッカリするな。確かに竜種としては末席も末席だから、そこまでの力は持ってないが……少なくともお前が今着けている皮の鎧よりは数倍能力が上だぜ」


くそ、悩むな。竜種の中でも一番下っ端のなんちゃって竜種、その皮を鞣して作ったのがこの鎧ってことか。買えば、間違いなく次のスタンピードで役に立つと思う。だけど、金貨3枚って安すぎないか?


「これ、本当に金貨3枚なのか?」


「……」


「おい、何か喋れよ!すげえ聞くのが怖いんだけど」


なんか呪われたりしないよな?


「その鎧な、正確には金貨8枚必要だ」


金貨8枚!?それって、俺がこっちに来てから稼いだ額より多いぞ。


「心配するな、今すぐ全額払えなくても構わねえよ。とりあえず、今お前が持っている金貨3枚は頭金だ。スタンピードを終えたら、ちゃんと戻ってきて全額支払えよ」


なにこのおっさん!超男前。


「お前って意外と運がいいからな。何か身の回りで扱いきれない事件が起きても、なんやかんやと切り抜けて大金を手に入れてるだろ?今回もそうなってくれれば、うちとしても万々歳だ」


思い当たる節が結構ある……。


「出発までには調整してやるから、しっかり帰って来いよ」


「……おっさん」


「おっさん言うな!」


おっさんの好意に報いるためにも、スタンピードなんかには絶対に負けねえ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ