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ゼロから始めるダンジョン攻略  作者: 世界一生
1章 冒険者になろう
1/240

1話 綺麗なお姉さんは好きですか?

初投稿になります。

よろしくお願いします。


追記:サブタイトルを変更しました。

追記:文末の・・・を……に変更しました。

きれいなお姉さんは好きですか?



 今目の前にいる人からは、そんな質問を投げかけられた気がした。見たこともない、民族衣装のような服を着た女性の頭には先が黒い獣の耳。視線を下げていけば、形のいいお尻に目が行きそうだけど……それよりも主張の激しい()()

ユラリと揺れるフサフサの尻尾。


「コスプレ?」


 そんな言葉が口から出てしまうのは致し方無いのではないだろうか?


「キミ大丈夫?」


 俺を背中にかばいつつ、顔を向けた(横顔だけど)彼女は、今までの人生では見たこともない美女だ。腰辺りまで伸ばした透き通るような金髪。身体のラインが出にくい服にもかかわらずメリハリのきいたプロポーション。


「ねえ、キミ。本当に大丈夫?」


 心配そうに(まなじり)を下げたその表情。きっと世の男どもはイチコロだろうな。俺? さっきから顔の表面が熱くなってるからな!声を出そうにも喉が枯れて上手く声が出ない。


「ちょっと聞いてる? おーい聞こえてますか?」


「え、あ、あの。だ、大丈夫です……」


 何とか声を出すことに成功したが、これは酷い。


「良かった。じゃあ立てる?

 できればそこから動いてほしいんだけど」


 そう言われて、俺は初めて周りに目を向けた。ここは森の中?今自分がいるのも大きな木の根元だ。後ろを見てみたけどやっぱり木が生い茂った森が続いている。

あれ?でもなんで俺はこんなところにいるんだ?


「確か……今日は試合があって……」


「この状況でそれだけ落ち着いていられるのは立派だけど、

 動けるなら早く動いてほしいかな」


「え?」


 お姉さんから声をかけられ意識が現実に引き戻される。視線をお姉さんに向けると、その背中のむこう。なにか大きなものがいる。

 ……ってなんだアレ!?


「へ?う、うわぁぁーーー!」


「もしかして、コレが見えてなかったの?」


 お姉さんに見惚れていたとは言いにくい。

 それにしても……


「な、なんですかソイツは!」


「ジャイアント・ボア。魔力を吸って変異した魔物ね。

 こんなところで遭遇するなんて、運が良いんだか悪いんだか……」


「いや、そんな事より!お姉さんも早く逃げないと!」


「大丈夫よ。私これでも冒険者だから」


「冒険者?」


 冒険者ってなんだよ……。さっきの魔力や魔物といい、冒険者といいどんなファンタジーだよ!


「それよりも、キミには早くそこから動いてほしいのよ。

 私もキミをかばいながらジャイアント・ボアと戦うのは難しいから」


「戦うって……あれと?」


 視線をでかい毛むくじゃらに向けると


「ブフゥー!」


 鼻息荒く今にも突撃してきそうな雰囲気だ。確かに彼女の言うとおり、俺がここに座り込んだままでは満足に戦えないのだろう。震える足に力を込めて俺はなんとか立ち上がった。


「もう大丈夫です」


 実際は全然大丈夫なんかじゃないけどな!

こんな美女の前だし、見栄は張りたい。そんな俺を横目で見た彼女は幾分か表情を和らげた。まだ何も解決していないけど、俺という1つの問題が解決したから余裕が生まれたのかな。視線をジャイアント・ボアに戻して彼女は……


「それなら、そこから後ろの森に向かってまっすぐ走りなさい。

 少し行ったところに小さな洞穴があるから、そこに隠れて待ってて」


 ジャイアント・ボアを気にしつつ後ろを見てみる。陽の光が届かない深い森は何かが出てきそうで体が震える。それになにより女性1人に戦わせて自分だけが逃げるってことに抵抗もあったし、彼女に幻滅されることも怖かった。


「俺もなにか手伝います!」


 だからなのか……俺の口からひとりでに出た言葉。都会暮らしの小僧にできることなんてたかが知れている。それでも何かをやらないと、という気持ちが勝手に言葉として出てしまった。


「さっきも言ったでしょ。あなたをかばいながら戦う余裕はないの。

 あなたの気持ちは嬉しいけど、役に立ちたいなら私の言うことを聞いて」


 だが、そんな俺の気持ちに対する彼女の言葉は拒絶だった。

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