いつまでも変わらない百年後の君へ
どうも、狼々です!
実にこちらの投稿は半年ぶりです(´・ω・`)
今回、ハーメルンの方での被お気に入りユーザーが100人を突破した記念に、短編小説を書きました。
一話だけで、せっかくなのでなろうにも投稿だけしておこうかと。
いつもと違って、三人称視点に挑戦しました!
では、本編どうぞ!
白一色のベッドに、彼女は横たわったまま。
涙の一つも零さずに、無気力に笑うのみ。
その顔は、どこか痛々しさを露わにしつつも、儚い美しさを奏でている。
「幸せだよ。君の顔を見ながら、死ねるんだから」
「なんで、なんでだよ! 覚悟はしてたさ、ああしてたよ! でも、でも、こんなの不平等だろ!」
自分の感情を防壁なく吐露する彼は、どれだけ浅ましいだろうか。
勢いを増す濁流に、呑まれるだけの彼は、どれほど愚かしいだろうか。
そんなことを考える余裕すら、既に彼方へ消え去っていた。
「そうだね……できれば、私ももう少し生きたかったかな」
「そうだよ! だから――」
「でもね、私、このままでいいかもしれない、かな?」
笑みが、ほんの少し「笑みらしく」なっただろうか。
彼は、次第に周りが枯れていく花を見ている気分になる。最悪だ。最高に最悪だ。
どうして、死に際にそんな笑顔を残すんだ。
頭から焼き付いて、彼の首根を強く締め付けた。
とぐろを巻く蛇を肩に飼っているようで、耳元で囁く天使の羽音を聞いているようで。
形容したくもない言葉が、次々に彼の脳内をよぎってくる。
「君には、本当に悪く思ってるよ」
「だったら!」
「でも、どうにもならないことって、やっぱりあるんだよ。それが、私。それだけなんだよ」
彼は叫びながら、思う。
それだけ。たった、たった四文字で、彼女自身を体現する言葉になりえるはずがない。
こんなにも魅力で溢れ、同時に不幸の塊である女性が、形容できるわけがない。
「唯一心残りだったのは、君と家族になりたかった。子供ができて、いつかその子が巣立って、二人で老いていく。そんな生活が、送りたかったよ」
「俺だってそうだよ!」
婚約だってした、籍も入れる予定だった。
彼らにとって未来のビジョンを描くのが、どれだけの幸福だっただろうか。
今では、その幸福が倍に、後悔の残像となって消えてゆく。
ボロボロと、しかし音もなく、確実に。
「どうにもならないってわかってても、でもっ……!」
「ごめんね。こんなこと言うの、ずるいってわかってる。けど、言わなくちゃいけないからさ」
少しの間を置いて、彼女はもう一度口を弱々しく開く。
刻一刻と迫る絶命を、彼に見えない背後に隠しながら。
「私のことは……忘れてね」
「嫌だ、絶対に忘れない!」
忘れない。否、忘れられない。彼に忘れられる訳がない。
幸福を絵に描いたような日々を送っておきながら、記憶を消すことなんて、彼にはできない。
「あはは、そう言うと思ったよ、君なら」
彼女は、笑った。
もう、横たわるベッドと変わらない程、顔を白くして。
――まるで、既に死んでいるように。
「辛くなるね、本当にごめん。私はずっと、君のことを覚えてるから。できるだけ遅くに、私に会いに来て」
「……わかった」
彼の口から、慟哭が消えた。
それは一周回って、諦めたように。
事の顛末を変えることができなかった、自身を呪い殺すようだった。
苦しげに吐き出された言葉には、もう気力の欠片すら残っていない。
「せめて……せめて、一つだけお願い」
彼女は、消え入りそうな声で彼へ訴えかけた。
彼の頬に手を添えながら、儚き聖母はその願いを口にする。
「死んだ後、私が君だってわかるように、いつまでも……変わらない君でいてね」
聖母はそう言った瞬間に、婚約指輪のはまった左手をベッドへと打ち付けた。
彼女は、不運だったの一言に尽きる。
彼女に発病した病気は、億に一人という割合の精神病、「乖離性浮遊意識消失障害」、通称「浮遊病」。
その希少性から、最初に発病者が現れて五十年が経つ今でも、治療法が確立されていない。
浮遊病の恐ろしいところは、発病者は今のところではあるが、必ず発病から余命一年以内を通告されること。
解離性同一性障害――いわゆる多重人格とは、似ていて非なる存在だ。
異なる意識は持たない。いや、正確には持つのだ。
共通点はそこにあるのだが、異なる点は現れる意識の特徴にある。
解離性同一性障害は、同時に複数の意識は現れず、人格一つ一つが切り離される。
対し浮遊病は、同時に複数の意識が頭の中に現れる。
自分の声が、他人の意識のように脳内に囁きかけるという。
さらに明確に違った点は、その現れる意識の数と性質だ。
浮遊病では、一度に数十程の自意識に襲われる。
加え、同じ自意識が再び発病者を襲うことは、稀である――つまり、現れる意識に「二度目」があることは殆どないのだ。
初めて見聞きする自意識に、まずは頭を。
次いで体までをも蝕まれ、やがて脳が回復不可能の判定を齎し、死んでいく。
自分自身に殺される、そんな残酷で耐え難い病気だ。
「……俺は、どうすればいいんだ」
後日、自分の部屋の中で呟いた彼は、目の輝きすら失っていた。
それこそ、人格が差し替わったかのように。
浮遊病に、年齢は関係がない。
強いて言うなら、自意識の芽生えが始まる一歳から発病の可能性は、全員に等しく存在する。
彼女は十ヶ月程前に発病し、その時に医者から余命十ヶ月の宣告を受けていた。
きっちり、十ヶ月。
死神の宣言は、例に漏れず、首を刈り取ってすぐに去っていった。
この世に残された者は、嘆く他ない。
治療法もろくにないまま、身近な人間の意識が崩壊し、死んでいくのだから。
彼女も、自意識崩壊者の一人だった。
次々と乱立する自己を、制御などできるはずもない。
彼の目の前で、違う彼女が現れたりなど、彼自身に与えた影響も大きかった。
しかしながら、やはり一番大きな影響を与えたのは、彼女自身の死であろう。
どれだけ変貌した彼女を見ても、それが彼女であることに変わりはなかった。
だが、最愛の人を亡くしたという動きようのない事実が、彼にとって最も重くのしかかる影響だ。
彼の脳内に、ベッドの上での彼女の言葉が反響した。
彼女は、珍しいパターンだった。奇跡と言っても過言ではない。
死亡直前とはいえ、本来の意識を引っ張りだしたのだから。
元々の発病前例が少ないために、こういったことも起こらなかった。
「……できるだけ、か」
できるだけ、迎えは遅くの方がいい。
彼女の願いの一つに、彼は納得できなかった。
今すぐにでも、後を追ってしまいたい。
彼女のいなくなったこの世界に、色のなくなった世界に、価値を見出せない。
そんなモノクロの世界から、すぐにでも飛び出したい。
つまらない生よりも、彼女の側にいられる死を選び取ってしまいたい。
次々に浮遊する彼の欲望の渦は、まさに彼女の病そのもの。
浮遊病が発病する原因は、言うまでもなく不明。
誰にでも発病の可能性があるのは、それが所以でもある。
「もしかしたら、俺もかかったのかもな、ははっ」
力なく笑う彼は、相当に痛々しかった。
無意識に自傷行為に走ってしまいそうで、彼の体は震えに震える。
意識とは逆に動き出す右手を抑え込んで、立ち上がった。
もう、昼も随分と前に回っただろうか。
彼は昼食もとっていない体を動かし、喪服を羽織った。
その晩は、やはり訪れた。
時間が止まるわけもなく、彼女が白い服を身に纏って。
一番最初に気が付いたのは、棺桶に眠る彼女を触ったところだった。
小窓から覗く彼女の顔は――恐ろしく魅力的だった。
蝶のように幻惑的で端麗な顔立ちは、今まで見た中で一番美しい。そう確信できた。
木製の棺が、霊柩車へと運ばれる。
あれだけ昨日泣き叫んでいたはずなのに、彼の目からは不思議と涙が出ない。
泣こうと思っても、重い溜息しか出せていないようだった。
厚い鉄板に入れられた棺桶は、煙を上げる。
外で煙突から立ち込める煙を見て、ようやくわかった。
泣くことに疲れて、自分は生きることすらも疲れてしまったのだと。
生という概念自体に、何の魅力も感じなくなってしまったことを。
彼が家に帰った頃には、すっかり夜も更けていた。
部屋の電気も一切付けずに、彼は床に力なく座り込んだ。
「……だめだ。生きられる気がしない」
生への欲求が、まるで湧いてこない。
そもそも、自分は生きているのか、それとも死んでいるのか。
彼にはそれが、途轍もなく大きな疑問となっていた。
ふと小棚の上に、銀と水色に輝く勿忘草を閉じ込めたネックレスが見えた。
彼女の誕生日、お揃いを、と彼が用意したものだ。
窓から差し込む月光に照らされたそれは、彼にとって大好きな彼女のようにも見えた。
「あいつになら、殺されてもいいか……一緒のところにも行きやすい」
何の躊躇も迷いもなく、ネックレスを手に取って、首に巻き付けた。
少し短いが、振り切れた彼にとっては十分すぎた。
金属のひやりとした温度が、死神の鎌を首にあてがわれているようにも感じる。
自分で自分を絞殺など、本来は自身の抵抗で不可能だ。
だが、ネックレス自身が彼女。彼女に絞められる。
彼はそう錯覚していた。
彼の手の引き方は、ありえなかった。
自分自身で絞めているとは思えない――別の意識が彼を操作しているようだ。
しかし、それも数秒で終わった。
呼吸が苦しくなったわけでもないのに、彼は途端に眠くなり、手の力が緩む。
視界が閉ざされて、フローリングに頭を叩きつけた。
彼が目を覚ましたのは、一面が真っ黒の世界だった。
何もない、何も見えない、息もできているのかわからない。
無、虚空一色の世界に、彼は思った。自分は死んだのだ、彼女の元へと会いにいけたのだ、と。
――そして、その思考は半分が正解だった。
「やあ、昨日ぶりかな」
「お、おい……マジかよ」
黒の世界に、顔の上半分が黒に隠れた状態で、彼女の姿が彼の目前に現れた。
声、体型、仕草、彼の目に入る全ての情報が、亡き彼女と一致する。
死んだはずの彼女が、何故目の前にという率直な疑問。
死亡した彼女に会えたという、非現実への喜び。
その二つは、彼を驚かせるには十分だった。
「なんてね。残念だけど、私は貴方の記憶にある彼女とはちょっと違う。彼女の形をした、君の中の死神だよ」
闇に紛れた彼女が――皮肉に笑った。
彼の目の前にいるのは、彼女であって彼女でない。
非現実にさらに重なる不確定な現実は、最早現実とは到底かけ離れている。
「君、死のうとしたよね。言ったと思うけどな、できるだけ遅くって」
「いや、でも……生きていける気がしなかったんだ」
「ふうん……ホントに、彼女のことを何もわかってなかったんだね。恋人のくせに」
その一言は、彼の怒りをほんの少し煽った。
目の前の人間が彼女でないのなら、それは当然に彼女ではない。
部外者に、何がわかる。わかってたまるか。
彼は内心怒りを溜め込んで、返事をする。
「わかってるさ。少なくとも、どこの馬の骨ともわからないお前よりはな」
「いいや、まだ私の方がわかるよ。彼女が一体君に何を求めて、何を願ったのか、全部全部、ね」
彼女に浮かぶ皮肉の笑顔は、強まった。
馬鹿にするような笑い声は、彼の募る怒りをどんどんと膨らませる。
「お前に全部なんて、わかるわけないだろ」
「だから、わかるんだって。いいよ、じゃあ君がわかってるのかどうか、テストしてあげる。そのために来たんだし」
彼女は、白く細い指をぱちんと鳴らした。
辺り一面の黒は消え去って、今度は逆に白一色となった。
暗黒に包まれた彼の目前の人物も、隠れる物を失って姿を見せた。
不確かだった表情も、はっきりと見えるように。
彼の目に飛び込んできた顔は、やはり間違いなく、最愛の彼女のものだった。
「や、やっぱりお前じゃないか」
「そうだね、見かけは。君が一番苦しむように、かな」
彼女は、自分の掌を上に向けた。
そのまま口元へと持っていき、彼へとふっと息を吹きかける。
銀色の架け橋が彼へと渡り、輝くそれは彼を取り囲んで、やがて消えた。
「今、君に呪いをかけたよ。彼女の願いがわかるまで、君の呪いは解けない。永遠に、地獄の底で苦しむがいいさ」
静かだった笑いが徐々に高らかに、狂気的なって、白色の世界へと飲み込まれた。
じきに彼女の姿もなくなって、すぐに世界そのものも消え失せる。
彼も、彼女と同じように世界と一緒に溶け込んだ。
彼が目を覚ましたのは、朝の陽光が入り込むフローリングの上だった。
意識を失ったまま、夜を越したようだ。
「ってことは、あれは夢ってこと、なのか……?」
だが、彼の手の中には、ネックレスがあった。
見れば見るほど、彼女との思い出が蘇り、心が締め付けられる。
静かに、戸棚の奥へと悲しみを追いやるようにしまった。
「やっぱ、夢だよな」
されど。
その言葉を即座に否定するかのように、茶の床に白紙が落ちていた。
それを拾い上げると、彼は気付く。両面が白紙ではないことに。
裏に、ご丁寧にも、紛れもない――彼の筆跡で書かれた文字があった。
では、何と書いてあったのだろうか。その内容は。
『私も、俺も、君も、皆勘違いをしているんだ。勘違いに呪われて、永遠に悩み続けるがいいさ』
翌日。
気味の悪い手紙を見た彼は、全く眠れない。
第一に、一人称が複数あること。
次に、そもそもの内容がわからないこと。
さらに、筆跡は彼のものだが、誰が差出人かすらもわからないこと。
謎が募ったその日、彼の喉に食事が通ることはなかった。
一週間後。
あの不気味な紙切れは、彼にとって不本意だが保存してあった。
いや、それよりも。
「俺、最後に飯食ったの、いつだっけ……」
ただ、床に横たわって、起き上がっての毎日。
会社には、連絡を入れてはいるものの、休みすぎだ。
そんな休みの最中、最後に食事をしたのは、一週間前。
それだというのに、彼の体には一切の異常は見られない。
水分もまともに取っておらず、お世辞にも元気とは言えない状態――のはず。
「……どうでもいいか」
この日も、今までと同じように、彼の口には何も入ることはない。
一ヶ月後。
彼は、仕事さえも捨ててしまった。
一生を棒に振るような生活を、このまま送るのだろうか。
誰にも見つからず、静かに飢えで息を引き取るのだろうか。
そう思われた。
彼は、基本的生活習慣の多くが欠落していた。
清潔は保っているものの、食事、睡眠、排便は、既に生活リズムから消え失せていた。
おかしい。
明らかに、自分の体は限界を超えているはずだ。
精神が病んでいたとして、体の崩落を止められるわけもない。
朽ちるはずの身体が、変わっていない。
まるで、一ヶ月前と同じように――
彼は何かに押されるように、飛び起きた。
棚の上に置いてあった紙を乱暴に手に取って、見る。
『勘違いに呪われて、永遠に悩み続けるがいいさ』
確信した彼の手は、ここ一番に震えていた。
呼吸は乱れ、冷や汗は限度を知らずに湧き出てくる。
「永遠に、悩み続ける……」
食欲、睡眠欲など、基本的生活習慣への欲求。
それらが消え失せてしまった今、彼はもう人間という存在と言えるのだろうか。
――残念ながら、答えは否である。
「――次のニュースをお伝えします。近年、増加傾向にある乖離性浮遊意識消失障害の患者数が――」
「……浮遊病、ねぇ」
彼女が亡くなって、男は月めくりのカレンダーを何度めくっただろうか。
数字は増える一方なのに、その実感が湧かない。
自分が生きているというのは、錯覚なのではないか。まやかしなのではないか。
男は毎日自身に問いかけて、その度に同じ答えを出していた。
「『人として』生きているなんて、お世辞にも言えるわけねぇだろ」
堕落というよりも、荒廃。
人間の生命維持活動の一部を行っていない以上、その存在は人ならざる何か。
あの手紙の意味を知ったとき、男はそう結論づけた。
確かに、まだ生きているかもしれない。
が、それは決して「人」という観点で見た場合の話ではない。
ただ、壁にもたれて座っているだけの存在が、果たして生きていると呼べるのだろうか。
人間であることはおろか、生命を授かった「生物」に分類されるのだろうか。
糸が切れたマリオネットは、息を吹き返したように立ち上がった。
「……出かけてみるか」
男が服を脱ぎ、外出用の服装に着替えに、部屋を移動したその時。
テレビからは、相変わらず浮遊病についての報道が為されていたのだが。
「――さらに、この浮遊病の中には、浮遊する意識が少ない、症状が止まる等、極めて軽度なものもあり、自覚症状のない方も増えているとのことです。通常の浮遊病のように死に至る可能性は低いですが、自覚症状がない分、発見が難しいです。少しでも心当たりのある方は、早期発見のため――」
「おっとと、テレビつけっぱなしだったか」
着替えを終えた男が、テレビのリモコンを手に取り、電源を落とした。
外に出かけたはいいものの、これといって用があるわけもなく。
男は近くの公演のベンチに座って、空を見上げるだけ。
殆ど、家の中にいるのと変わりはない。
「あ、あの……これ、落としましたよ」
「え? あ、あぁ、ありが――!?」
財布を落としたらしく、女性に声をかけられた男。
男は礼を言い、それを受け取ろうとして、青ざめた。
その女性は、高校の制服を着ている、いわゆる女子高生。
だが、男が驚いた点はそこではない。
顔。顔が、亡くなった彼女の顔とそっくりだった。
彼女に妹がいるなど聞いたことがないし、一人娘だとも聞いていた。
ましてや双子など、あり得ない。
無意識の内に、亡き彼女の名前を口にしていた。
「え、えっ? 失礼ですが、私達、どこかでお会いしましたか?」
「あ~いや、そうじゃなくて……当たってるのか?」
「は、はい。今聞いた限りでは」
当然、彼女にも男にも会った記憶は存在しないし、実際に会ってもいない。
これほど運命に限りなく近い偶然があるだろうか。
「そ、そうだったか。悪い、礼がまだだったね。ありがとう」
「いえいえ、私は全然……いきなりこんなことを聞くのも失礼ですが、その、大丈夫ですか?」
彼女は何気なく男へ尋ねた。
「えっと、何が?」
「あ、いや、何もないのならいいんです。ただ、少し辛そうに見えたので」
男は、初対面のはずである彼女にもやつれて見えていた。
身体が蝕まれることはなくとも、精神にかかる負荷はそうそう見られるものではない。
初めて会うと言えど、疲れている、辛そうだという印象を十二分に与えている。
「そうだな、大人になると色々あるのさ」
男ははぐらかした。
抽象的な表現で、自分さえも騙そうとしている。
悲愴に塗れてしまった現実から、目を背けるためだろうか。
そもそも、初対面の相手に話すことでもない。
例えそれが、今は亡き彼女と似た相手だとしても。
「……そうでしたか。では、私はこれで。失礼しました」
彼女は少し笑ってからお辞儀をして、すぐに公園を去っていった。
そして、男は思い出し、重ね合わせる。
亡き彼女の白い笑顔を。
つい先程見た、女子高生の静かな笑顔を。
恐ろしいくらいに似通った、穏やかな微笑みを。
「また、会えるかな」
水面下で、彼女との再会を期待していた。
まだ別れたばかりで、連絡先はおろか、互いの名前すら知らないにもかかわらず。
否、彼女の名前は既に知っていた。なにせ、亡き彼女とそのまま同じなのだから。
ただ、錯覚を起こしたい。
人が生き返ったような錯覚に溺れ、浸りたい。
男は貪欲に、しかし躊躇なく考えた。
末に、灰色の空へ溜息を一つついてから、男は荒れ地のような自宅へと戻る。
何一つ奇跡など起きやしない、そう神に告げられるように。
常軌を逸することなど何もない、と可能性を否定されたように。
次の日、男は同じ時間に家を出かけた。
すがるように公園へ向かい、ベンチへ腰掛ける。
生憎、男の財布はポケットに入ったままだが。
「あっ、やっぱり来てたんですね」
彼女の声は、男の仄かな期待に応えてみせた。
前日に見たのと同じ制服の格好で、前日と同じ笑顔を向けながら。
男は心の隅で期待はしていたものの、それが現実となるとは思ってもみなかった。
「……まさか、本当に会うとは思ってなかったよ」
「私も、何だかここに呼ばれた気がしてしまって。隣、いいですか?」
「ああ、どうぞ」
男が少し横へ移動して、彼女らは一つのベンチに座った。
亡くなった彼女と初めて会ったときのことを、思い出される。
まだ距離感が明白にあった時期が、懐かしく、恨めしい。
心が締め付けられ、不意に男の顔は歪んだ。
「やっぱり、貴方は辛そうです」
「……大人には、色々あるんだって」
手で顔を隠しながら、静かに俯いた。
二番煎じの言い訳が、どれほど苦し紛れか、男自身にもわかっている。
が、それ以上に言えることはない。
「私、何か気に障ること、してしまいましたか?」
「い、いや違う! そうじゃ、ない」
期待した反面、いざ会ってみると、苦しむ。
生きた彼女を、死んだ彼女の代替品としているようで男は自身を恨めしく思った。
「そうでしたか。なら、よかった」
長い黒髪を耳にかける仕草なんて、全く同じだ。
生者と死者を勝手に比較し、さらには泣きたくなった男は。
頭の中で自身を責めずにはいられなかった。
この少女と、亡き彼女は無関係。
男の中で伝播する感情は、現実の自己暗示を簡単に打ち崩す。
「よかったら、明日からここに来てください。そしていつか、貴方が何故苦しんでるのか、教えてください」
少女は、それだけを告げて去った。
罪悪感と共に、どうしようもない虚無に駆られた男は。
降り注がれる紅葉に、一滴の雫を落とした。
男は、少女は、約束通りに公園へやってきた。
始めは、数秒も保たない会話の後、別れの挨拶を交わしていた。
だが、一ヶ月ほど経ってようやく、世間話をするようになった。
少女は、生きている。別人だ。
その現実を受け入れ、認めようとする男にも、段々と余裕が生まれてくる。
が、しかし。
彼女の残像が脳裏を掠めることは、それでも、何度かあった。
季節さえ移り変わり、冬を迎えると、すぐに春になった。
少女達はどれだけ寒くても、雨が降っていようとも、欠かさず会いにいった。
一日の会話の時間が既に三十分を越えている辺りで、春の終わりが訪れる。
「……なあ。明日、俺はここに来れない」
「そうですか。差し支えなければ、何があるのか、聞いてもいいでしょうか?」
過去に馳せた趨勢が、忌避していた事実を告げる時が、男に訪れた。
苦い口を開いて、苦い言葉を発する。
「明日で、俺の死んだ彼女の、一周忌なんだ」
「……え、あ……」
少女はひどく驚いた様子だ。
無理もない。半年以上前に会った、当初以来見ていなかった、苦しそうな男の顔を見るのだから。
それも、今までよりずっと残酷で、鋭利な刃物で切り裂かれたような沈んだ顔を見るのだから。
「それでな、似てるんだよ。君と、その彼女が。それもめちゃくちゃ、ね」
「……そう、なんですか」
「悪かったな、今まで話してなくて。何度も話そうとしたんだが、話せなかった。どうしても、彼女のことを思い出したんだ」
男は必死になって、笑った。
だが、少女は見抜いている。
これまで見せた笑顔と、今見せられている笑顔には、明確な差があることに。
乾いた声で、引きつった笑みを見せられる。
それはもう、笑顔とは呼べないほどの。
「それで、最初に会った時、名前を当てただろ? あれ、俺の彼女と同じだったからなんだ。つい呟いちまったら、まさか当たったとはな――って、さすがに縁起が悪いか、ごめん」
「え、っと……ご冥福を、お祈りします」
まだ若き少女には、それしか言えなかった。
何が言ってもいいことで、何が言ってはいけないのか。
亡き彼女を思い出すのであれば、そもそも自身がここにいること自体、男を苦しめているのではないか。
悩んだ末に、出せる言葉はそれだけだ。
「ああ。で、会うのは二日後なんだが、その時に大事なことを言いたい。できれば、笑わずに聞いてくれると嬉しいよ」
男は、悲しげに言って、公園を去る。
男が先に公園を去るのは、今回が初めてだった。
その二日後、少女は気まずさを覚えながら、男の隣に座った。
「いつも悪いな、話に付き合ってもらって」
「いえ、私は、全然……」
「で、突然で悪いんだが、大事な話だ」
男は、少し躊躇った。
少女の口振りから、亡くなった彼女のことを気にしているのは明白だ。
落ち込んでいるし、普段より声のトーンも落ちて、声量も小さい。
そんな状態で、常軌を逸した告白をしても――不老不死だと、告げてもいいのだろうか。
そして、男は。
「俺は……不老不死なんだ。信じられないだろうけどな」
溜息と一緒に、秘密を口にした。
おとぎ話、ファンタジー、そんなジャンルでしか聞いたことのない単語。
それは、現実の人間に当てはまると言われて、誰が信じるだろうか。
しかし。
「そうですか。無責任になりますが、それでもいいと思いますよ」
少女は、疑いすらしない。
空想的で、リアリティの欠片もない言葉の裏腹に、紛れもない事実を受け入れる。
受け入れて、肯定さえもした。
「貴方が生きていても死んでしまっても、貴方であることに変わりはありませんから」
「……そうか。なんか、ありがとうな。ってか、それホントに信じてる?」
「信じてますよ」
彼女は笑いながら、今日はこれで失礼しますね、とだけ言い残して公園を離れた。
――男は、震撼した。
少女の左手の薬指。
そこに、数年前に亡き彼女に渡したはずの、婚約指輪がはまっていたのだから。
目を擦り、見開く。
が、もうそこには彼女の姿はなかった。
一年、また一年と。
一年が一日のような感覚で過ぎ去り、十年ほどが経った。
今でも同じベンチに座り続ける二人は、十年経っても殆ど変わらない。
しかし、あの時の指輪のことは、男にはわからなくなっていた。
最初の一年、指輪を見たのはあれが初めてで、他の日に彼女が付けていたような記憶もない。
そしてこの十年、一度もそれを見たことはなかった。
「あ、そうでした。私、貴方に二つ隠し事があるんですよ。それを話そうと思いまして」
「随分と急だな。何だよ」
「私、不老不死みたいです。二十歳くらいになって、成長とか色々止まりました」
「……はぁ?」
男には信じ難い、彼女の告白。
自身がそうであるにもかかわらず、彼女も不老不死であることに驚きを隠せない。
「疑うんですか? 自分もそうなのに?」
「いや、俺自身も十年前と全く変わらないし、君が二十歳くらいから変わってないと言われれば、まあ何となくそんな気も……」
彼女の容姿に一切の変化は見られない。
その様は、十年前からタイムスリップしてきました、と言わんばかりだ。
「でも、どうしてなんだよ」
「じゃあ逆に聞きますけど、貴方、私が『何で不老不死なんですか』って聞いて、答えられましたか?」
否、男は彼女から何度かそういった質問を受けてきたが、等しく答えられていない。
辛うじて答えられるのは、呪いの紙についてのみ。
どうして、という理由に至っては、全く触ることができていなかった。
「で、あと一つは何だよ」
「私は、貴方が好きです」
「は、はぁ?」
「ここ十年、貴方と話をする時間が、私の毎日の密かな楽しみでした。最初に話が、次に会うことが、そして貴方が。好きになりました」
彼女の、二重の意味での告白。
突然に告げられる好意に、男は焦りを隠せなかった。
「貴方の彼女さんが亡くなったこと、私にとても似ていることは知っています。私を、彼女さんの代わりとしてでもいいです。だから……私を、愛してください」
代替品として、彼女を愛する。
確かに、外見は瓜二つで、隣に並べられたら正直区別がつかない。
性格だっておとなしいところは同じだし、笑い方もそっくりだ。
二人の間で、違う点を見つけることの方が困難にも思える。
ただ、男の返事は彼女にとって重く、辛いものとなった。
「……ごめん。俺は……あいつだけが好きなんだ。どれだけ似ていても、君を好きにはなれない」
「やはり、そうでしたか」
彼女には、男の言葉がどんなものになるのか、ある程度の予想がついていた。
ただ、それでも好きであることに変わりはない。
好きである限り、いつか言わなければならないことだ。
こうして、毎日会い続ける間柄である以上、気付かれるのは時間の問題なのだから。
「まあ、同じ不老不死同士、これからも仲良くしましょう」
「それもそうだな。聞かなかったことにってのもアレだし、そういうのがあるってのも心に留めとくよ」
「貴方のそういう真摯なところ、嫌いじゃないですよ」
「君のそういうわざと距離を置く言い方、嫌いじゃないよ」
互いに皮肉を言って、笑い合う。
二人の息が白く色付く季節、公園のヒヤシンスが優しく揺れていた。
同じように、十年、また十年と月日は足を止めることはない。
やがて公園はなくなって、公園があった場所に建てられたカフェで話すようになった。
「すごいですね~、もう会って百年ですよ。早いものですね」
「……そうだな」
百回目の周忌を終えた年の春、彼女達は百年前と変わらずに話を続けている。
ここまでくると、肉体的な問題よりも精神的に崩れ始める頃合いではあった。
が、こうも毎日同じことが続くと、案外そうでもないらしい。
「私達、いつ死ぬんでしょうね」
「さあな。不老不死ってんなら、いつまでもこのままなんじゃねーの?」
「でも、貴方はちゃんと死ぬ条件、書かれてたじゃないですか。ほら、勘違いどうのって」
男がそれについて話したのは、実に数十年前。
よく覚えているな、と男は感心せざるを得ない。
「何かわからないんですか?」
「いや、勘違いも何も、俺が勘違いしてるわけじゃないからなあ」
「じゃあ、彼女さんが亡くなる前、何か言ってませんでしたか?」
「悲しみが先だし、もう大分経ってるしで、あんまり細かくは……」
「……ホントに彼女さんのこと、好きだったんですか? なんだか怪しいです」
「疑うのか? 好きでたまらなかったから悲しいんだよ」
男は思い返すが、鮮明には思い出せない。
悲しみに打たれ続け、細かい記憶がぶっ飛んでいる。
百年経った今でこそ悲しみは薄れたが、それでも男にとって思い出したくない事実ではある。
「あ、でも、私は死ねますよね。頑張れば」
「えっ何それ初耳なんだけど」
「あれ、言ってませんでしたっけ? 私も紙をもらったんですよ」
「言ってねぇよ! どうしてそんな大事なことを言わないんだよ!」
確かに、百年間話し続けてきたとはいえ、話題に彼女の呪いの紙については一切上がらなかった。
男も、彼女はいつの間にかに不老不死になっていて、死神に会ったわけではない。そう思っていた。
「だって、普通不老不死になった時って気付きますか? 何もなしに?」
人間は須らく、普段と同じ生活を送る。
事故や病気から立ち直る等、そんな特殊な境遇がない限りは、不老不死に気付きすらしない。
なにせ、普段の生活は生きるために行われているのであって、いつか不意に死ぬような生活を送るのは根本的に問題があるのだから。
「いやまあ、そりゃ……で、肝心の内容は?」
「え~っと、贈り物を贈れ、だったかな?」
「は、はぁ!? そんなんすぐ終わるじゃねーか!」
「じゃあ一体、誰にどんな物を贈れって言うんですか」
対象が曖昧な分、ある意味男の呪いの紙と同じくらい難しい。
いや、具体的である分を考えると、むしろ彼女の呪いの方が質が悪い。
「じゃ、今日はもうお開きにしましょう。ほら、さっさと勘違いを見つけてきてください。さすがにこれ以上生きるのは辛くなりますから」
「そう言われても、何か思い出すきっかけがないとどうにもならん」
「え~……じゃあ、思い出の物とか残ってないんですか? 彼女さんとお揃いのネックレスとか」
そう、ある。
戸棚の奥へとしまって以来、一度も手に取っていないネックレス。
「……ある。で、でもお前にネックレスについて話した覚えは――」
「あ~あ~女の勘ってやつです! 早く帰って、思い出してあげてください、彼女さんのためにも!」
「わかった、わかったから、引っ張るなよ!」
男はあどけない笑顔の彼女に引っ張られてから、カフェを後にした。
そして、カフェに残ったのは、彼女一人。
男の背が遠くなり、やがて見えなくなってから、一人呟いた。
「ありがとう、死神さん」
呟いてから、彼女は遅れて席を立った。
「私も、そろそろ迎えに行かなくちゃ」
入り口に添えられた青紫色のスターチスに見送られて、彼女はカフェを去っていった。
自宅へと帰った男は、すぐにネックレスを取り出した。
明るみに出た勿忘草が、不安定に淡く緑の輝きを示している。
「あいつの願い、ねぇ……」
男は苦い過去に、再び直面する。
あいつの方が、俺よりも苦しかった。
男は自身にそう言い聞かせ、自分も暗い過去と対面する。
「もう少し生きたかった……いや、違うか」
実際に、彼女はそう漏らしていた。
ただ、それは明確な彼女の意志と願望であり、そこに勘違いが含まれるはずがない。
「家庭を築く、ってのも違うな」
これも同じく、彼女の理想像。
「……私を忘れろ、だったか」
思い出して、男は涙を流しそうになった。
が、ここで止まっていては前進することは一生ない。
例え不死だとしても、永遠に機会が来なければ、不死が一生続いても時間が足りたものではない。
「できるだけ遅くに会いに来い、か。全く、遅すぎだっての」
思わず乾いた笑いが男に浮かんだ。
現在、日本の平均寿命は八十歳そこら。
彼女が二十数歳で亡くなって、そこから百年だ。
男は彼女と同じ歳なので、年齢は実に百二十を越えている。
「後は、えっと――あぁ……」
前置きもされていたのに、男は最初から遡らなければ気付かなかった。
彼女が正に死の直前、言い残した彼への願いは。
「……いつまでも変わらないでって、勘違いっつーより、シャレじゃねーかよ……」
男は耐えきれず、涙を流した。
勿忘草に落ちた水滴は、綺麗に金属を伝い、やがて床へ吸い込まれた。
急激な疲労と目眩に襲われ、男はたちまちベッドへ横たわった。
そして刹那、男の周りから銀の光が立ち込める。
光に取り込まれる男は、急速に肌が老化し、髪の色素が抜けていく。
倦怠感に塗れた男の瞼は重くなり、一筋の水の粒を最後に、ついに光を遮った。
それは勿忘草のペンダントが、男の手から滑り落ち、フローリングへ飲み込まれた直後のことだった。
彼は最後に、人間として死ぬことができたのだ。
その日、二名の死者が出たという。
一人は男、一人は女の、ひどく老化した死体が発見された。
死因は寿命だという線が濃厚だが、人間の寿命を考慮すると、世界的にも信じ難いものである、と報道された。
二人の名は、男の方が紫苑、女の方が満珠とも報道があった。
彼は、白い世界に飛ばされていた。
目前には遥か遠くの過去を最後に、消えていった彼女の後ろ姿が。
彼女は彼の存在に気付いたようで、ゆっくりと振り返る。
「……もう、待たせすぎですよ。いくらなんでも、百年待つとは思いませんでした」
「悪かった、ホントに。で、何で敬語なんだ? 距離感忘れたの?」
「えっ!? あ、いや~、あはは、なんでもないよ」
彼女ははにかみながら、はぐらかす。
久々に見る明るい彼女の笑顔に、彼もつられて笑いだした。
そして思い出したかのように、彼女は言う。
「あ、そうそう。二つ贈り物があるんだよね。はい、一つ目」
「ぺ、ペンダントじゃないか。何で俺の分まで持ってんだよ」
「落としてたよ。不注意なんだから、全く……」
彼が死の直前まで手にしていたペンダントを、彼女の手から渡される。
彼女の分は、既に彼女の首元にかかっているので、間違いなくこれは彼のものだ。
ありがとう、と戸惑いながら礼を言って、彼はペンダントを受け取った。
「で、もう一つはこれ。じゃ~ん!」
「いや、そんなに盛大に出されても……この花、なんの花なの?」
「紫蘭って言うの。なんか君の名前に似てるし、ちょうどいいかなって」
彼女が渡したのは、紫蘭の花束。
紫色の花弁が、静かに俯いてなお、美しさを体現させていた。
「ま、一文字以外は全部合ってるしな」
「それもそうだけど、紫蘭の花言葉、『あなたを忘れない』とか『変わらない愛』なんだよ」
「……なるほど」
男は花束を手に持ったままで、彼女を抱き締めた。
百年間探し続けた背中を、姿を、今度はしっかりと抱きとめる。
「花言葉といえば、勿忘草の花言葉、知ってて私にくれたの?」
「ん? いや、なんか綺麗だったから買った。花言葉は知らん」
「え~、結構有名なのになぁ。じゃ、いい機会だから教えてあげる」
彼女は男から離れ、愉しげに言った。
二人の距離は開いて、すぐに彼女が振り向く。
つい最近まで彼が見たものと同じような、あどけない微笑みで。
「勿忘草の花言葉は、『私を忘れないで』だよ」
ありがとうございました!
一つどうにもならなかったのが、満珠ですかね。
万寿菊ってことで、フレンチマリーゴールドとして捉えていただければ。
あとは皆様の解釈にお任せします()
な、なんて投げやりなんだ……!
ハメの方で来た感想だけでも、色々あって面白かったです(*´ω`*)
ではでは!