3.くまとココアと女難の相4
「ふふふ。安心して、邪魔はしないわ。黙っていてあげる。でも、ねえ、一つ聞きたいんだけど。」
シンカは、レザイアを見つめた。皇帝だと、ばれている。
「レクトと、どういう関係なの?」
「へ?」
拍子抜けする。
「だって、あの人ったら、君のことすごく可愛がっているんだもの。気になるでしょ。」
「レクトの、恋人?」
「そんな風に、言ってもらったの初めてだわ。」
嬉しそうにしている女性は、無邪気な印象だ。
「レクトは、友達だよ。」
「ねえ、そうして、栗色の髪にしていると、少し似ているわね。」
女性の手が、シンカの額の髪に触れる。
「ルー。」
不意にマクマスが入ってきた。
「あら、どちらさま?」
レザイアは不適な笑みを浮かべて、年上の女医を睨みつける。
「ドクターです。申し訳ありませんが、受付を通していただけますか。ルーも、カルテもないのに治療しないの!」
「すみません。」
ちょうど、保護テープを張り終えていた。
「ありがとう!じゃあね。また、来るわ。」
シンカにウインクを一つ残して、派手な女性はさっさと出て行く。
「ルー。」
腰に手を当て、レザイアを見送りながら、ため息をつくマクマス。
「すみません。」
「患者と親しくするのはいいことだけど、相手を選ぶことね。」
「はあ。」
「さっきまでの元気はどこに行ったの?聞いたわよ。皆が感心してたわ。」
先ほどの、親子のことなのだろう。
「すみません。」
「なんで謝るの?」
「ドクター・マクマスは賛成しないでしょう?」
「いい子ぶって。そうね、あなたに怪我がなかったから良かったけど。無茶は駄目よ。」
「はい。あの、親子はどうしました?」
「外科病棟に入院したわ。父親は、カウンセリングを受けてるわ。でも、大丈夫。あなたは、いいことをしたわ。」
「よかった。これ、様子見てカウンセラーから返してもらったほうがいいですね。」
腰のレーザー銃をそっと見せる。
「あらあら。私から渡しておくわ。」
銃を手渡すと、シンカは縫合キットを片付けて立ち上がる。
シンカの身長は、マクマスより少し高い。今は百七十五センチ。ここ最近はあまりのびていない。目標のシキと同じ百九十は遠い。
「あなた、独学だそうね。どんな、勉強をしてきたのか、今度じっくり聞いてみたいわね。」
「僕、女難の相が出てるかも。」
「ルー。」
軽く睨んで、マクマスはシンカの腕をつねった。
「痛いですよ。ひどいな。」
笑うシンカ。




