Erlkönig Jäger alla Csardas
俺の胆力はまあまああると思ってるが、ツッコミ役だった記憶自体はない。
……しかし優秀なクラスメイトさまだこと。驚いてるけど考えてるって感じかね。
そしてなんと王様が頭を下げる。
「そして大変申し訳無い。勝手に巻き込んだ余の責任である。余のできる範囲でそなたらの援助を最大限させてもらう」
クラスメイトが少しざわつくと同時に王様以外がざわつきだした。
あぁそっち系ね。ふんふん。
続いて王様以外の奴らも頭を下げる。
「勇者様たち。申しありません。まずはお掛けください」
侍女っぽい人が壁にかけてあったブザーボタンみたいなのを押すと音楽がなり、
にゅこっと豪華な椅子と小さなテーブルが出てきて飲み物とお茶うけみたいなのを出してくる。
あれ?これどっち系だろうか。
流石に不満爆発神である現代人も反応をしなくてはなるまいと思っているところに救世主が現れる。
「み、みんなとりあえず話を聞こう。私達はどうしたらよろしいのでしょうか」
救世主こと、押し付けない完璧正義マンの加賀塁くんがクラスを代表?して聞いてくれた。
彼は端的に言ってチートである。イケメン、万能、押し付けないというクラスの中心人物であるよ。
そして当たり前だけどモテモテなの。え?またこの設定かって?ごめんね、彼には恋人がいるんだ。
浮気ももちろんしないし、モテてるのは確かだけどそいつらと恋人の一線はちゃんと引いてるよ。
もうこいつ一人でいいよね?……まぁ真の勇者のことはどうでもいいや。
「ありがとうございます。勇者様たち。わたくしは王妃のモーデです。モーデ・フォン・カテドラーレン。勇者様たちは魔王を倒していただくために女神様によって召喚されました」
優しそうなお姉様な感じの王妃が優しく応える。
やっぱりかーい。
って、傾国の美女風の王女っぽい人が応えるんじゃないんかーい。
しかし、クラスメイトは流石にざわつきだす。癒やし系新人教師はここにはいないのだ。あ、ごめん。彼女が一番先に騒ぎ出す自信ある。まぁそれはおいといて。
俺は一生忘れない。ざわつきのピークがここだったことを。そして、どんな絶叫マシーンもびっくりの急転直下を。
「申し訳ありません!お話だけでも!魔王を倒すのは強制ではありません」
は?
「そして制限はありますが戻ろうと思えば今すぐ、元の世界に戻っていただくことも可能です」
はは?
「魔王を倒すことに関してはあなたがたには特別な力が与えられます。それでも苦戦は免れないでしょうが、もし亡くなっても召喚されたときにそのまま戻るだけです。魔王を倒されたあとはここで得た力は持ち帰れませんが戻っていただいても結構です。そのまま我が国で最高の名誉を得て暮らしていただいても構いません」
なんだこれっ!超高性能VRゲームですか!?
「ちなみにこの国の脅威は魔王と魔族、もしかしたら封印された邪神だけです。女神様によれば邪神は強力ですが戦って死んでも元の世界に戻ること自体は問題ないとご神託でした。封印されているのでこちらからは手出ししてはいけないそうですが。
こちらの国の生活水準は申し訳ありせん。勇者様のお国をよく存じてないのでなんとも言えませんが、大きな犯罪はほぼなく、あったとしても我が国の騎士や衛兵にお任せください。小悪党、スリ、人さらいなぞ庶民にすら手を出させないことが我が国や近隣諸国の誇りなのです。
戦争ははるか昔にありましたが、外交も良好で宣戦布告などしたら他の国が連合を組んで介入するでしょう。勇者様たちにおきましては完全に魔王に集中していただくことが可能かと。もちろん我が国だけではなく、他の諸国の協力も国ごとの全力で支援させていただくようになっております」
さらに超イージーモードの奴でした。てか狩りのレベルじゃね?ごめん、こちらに危険がないところ狩りを冒涜してるわ。超高性能VRゲーム、エルケーニッヒ・イェーガーがハジマルヨー。




