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その部屋は言葉だった。


「今どこ?」「駅、すぐ着く」「はーい、待ってる」


「どうしてなのかな…」

「どうしたの?」

「何かあった?」

「ううん、なんでもないよ!」


「はあはあはあマジ無理かっこよすぎいいいいいいい」

「それな」


見渡す限り誰かの言葉が飛び交っている。時には誰かの返事を伴って浮かび、消えて、別の言葉が現れる。


「会いたい」「俺もだよ」


「昨今の……はどうにも偏った意見が目立つ」

「それは貴方の偏見なのでは?実際には……」「同意する、現に噛み付く馬鹿も出ている」

「人をいきなり馬鹿呼ばわりするそちらが間違っている!」


「っずぼらレシピ」

「うまそう」「飯テロですか」


「〇〇駅を爆破するwwww」

「通報した」

「ちょww冗談もわかんねーのかよww」「え」「警察きた」「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


「今日はずっと気になってたカフェでランチ!来て良かった〜ミモザサラダ美味し〜い♪」

「いいね!どこにあるの?」

「……の◎◎だよ♪」


「街行く美人マジ眼福、脚がイイ」

「おまわりさんこちらです」

「残念ながらチラ見しかしてないし私は女だ!」

「この世の理不尽」「おまわりさんこちらです」「△△かわいいよ△△」

「ちょっと意味がわからないですね」


「リアルより本音っつーかオブラートに包まずに済む」

「わかるわー」


「□□なう」

「飲もうず」

「ぉk」


「上司タヒねブラック滅びろ爆ぜろ3時帰宅4時就寝7時起床出勤です」

「お疲れさんです」「生きて」

「ありがとう……生きる……」


その部屋では想いが渦巻いていた。

街行く人々をすり抜けて言葉が飛んで落ちて浮かんで消えて溶けて染みて流れて。

すれ違った知らない誰かを繋いで。

振り返って、出会って。

また別れて。


「ありがとう」

「こちらこそ」


「ネットより紳士でしたねw」「擬態スキルマですからキリッ」

「見習いますww」「いや……さん美人ですよ」

「え」「え」

「これが…お世辞…ッ!」「そうくるかー!!!」

「wwww」「wwww」


「ひーまー」

「颯爽と暇人登場!」

「呼んでない」

「ひどい」


「……さん!結婚してください!」

「あーまだレベル足りません」

「…レベリング行きましょうそうしましょう!」

「あざまーす!」


「彼氏が返事くれないの、寂しい…」「それで、俺?」「いや?」「…そっち行く」「うん、待ってるね」


「……さん可愛すぎて生きつら」

「リア充爆発」

「リアルじゃありませーん!!辛い!」

「爆ぜろ」

「ひでえな!」


「またね」

「またいつか」

「「さよなら」」


それは言葉で、想いで、人だった。

街に潜む影ではない。見えなくとも生きている人だった。

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