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第3話-2



「教授、言ってたよ。翔ちゃんが小さかった頃は桃子さんと大学の研究室によく遊びに来

てたって」

「ウソだ」

「ウソなんかじゃないよ。翔ちゃん、大きくなったら教授と一緒にロボットを作るんだっ

て言ってたって、教授すっごく嬉しそうに話してくれたもの」

「オレが?」

「そうよ、翔ちゃん。思い出して。桃子さんの死と一緒に楽しかった思い出まで封じ込め

ないで」

 オレの頭は完全に混乱していた。

 わかんねぇ。何も考えられねぇ。

「翔ちゃん!」

「黙れ! ロボットのくせにオレに説教なんかすんじゃねぇよ! じゃあ何で親父は今ま

でオレのこと放ったらかしにしてたんだよ?」

「それは」

「お前たち! ケンカするなら外でやっておくれ。ここは神をお迎えする神床なんだから

ね」

 パニックになっていたオレと違ってばあさんは冷静だった。

 だけど、一本の電話がばあさんの顔色を変えることになる。

 突然鳴り響く『運命』。

 ばあさんは懐から携帯電話を取り出すと、着信ボタンを押した。

「もしもし」

 ばあさんは小声で何度か受け答えすると、萌花を呼んだ。しかし、萌花は現われなかっ

た。

 萌花が来ないことを確認したばあさんは、

「わかった」

 と短く言い捨てて電話を切った。

「梅子さん、萌花ちゃんに何かあったの?」

「お前たちには関係のないことだ。とっととお帰り」

「ウソはダメよ、梅子さん。右の眉がピクピク動いてるわよ」

 今まで平静を装っていたばあさんの表情が硬張ったのがわかった。

「どうしてそれを? それは桃子しか知らぬはず」

「私のAIには桃子さんから聞いていた梅子さんのデータも全部入ってるの」

 夏恋は得意げにウインクしてみせた。

 ばあさんは観念したような吐息をもらした。

「萌花が岩金組に誘拐されたんだよ」

「誘拐? どうして萌花ちゃんが?」

「私があいつらの依頼を断ったからだろうね」

 さっきの啖呵はそいつらに切ってたのか。ヤクザ相手に啖呵切るなんて大したばあさん

だな。

「断ったって、どうして?」

「私は理由の言えない口寄せはやらないことにしてるんだよ」

「その人たちは誰を口寄せしてもらおうとしたの?」

「さあね。札束積み上げてくるぐらいだからロクな人間じゃないだろう。さあ、これで満

足だろう。お前たちはお帰り」

「ここまで聞いておいて帰れるわけないでしょう。萌花ちゃんは私にとっても大事な姉弟

子なんだから」

「弟子にした覚えはないよ」

「そんな難いこと言わないで。ねっ」

 夏恋は右脇にばあさんを抱えた。

「何するんだい?」

「決まってるでしょう。萌花ちゃんを助けに行くのよ」

 夏恋はオレを見た。次の展開が安易に予測できた。

「さ、翔ちゃんも行くわよ!」

 夏恋は有無も言わせず、オレを左脇に抱えると、忌野神社を後にした。






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