最後のティーパーティー
冥界にある屋敷のバルコニーで、死神と少女は今日で最後となるお茶会を楽しんでいた。
「どうぞ、今日はローズティーを淹れたわ。」
「ありがと、死神さん。」
死神は席に座り、頬杖をついた。
「それにしても、もうそんな時期なのね。スピカが輪廻転生する日、たしか明日の朝よね?」
スピカという少女は、嬉しそうに頷いた。この少女は、生前は病弱な身体だったため、今から12年前、5歳のときに病死した。
「でも、私、少し寂しいな。」
「あら、どうして?」
「だって、私、生まれ変わったら、ここでの思い出も全部忘れちゃうでしょう?」
そう、このスピカという少女は、生きている時間よりこちらにいる時間の方が長いのだ。
「まぁ、スピカったら、、。」
「ねぇ、死神さん、私、もうちょっとだけ、ここにいちゃ、だめ?この世界にいたままじゃ、だめ?」
死神は目を伏せ、ローズティーを一口飲んだ。