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創地帝妃物語  作者: 宮月
27/46

27.創帝国王宮到着

「うわぁ。」

そう、これよ、これ。私が求めていたファンタジーの基本よね。と、私を喜ばせてくれているのは、創帝国王宮。

森を抜けると、ザ・ファンタジー城って建物が見えてきた。表に回ると、もっと感激。小さな頃に読んだ童話のお城がそのまま。うぅん、上手く説明出来ないけど、とにかく凄いのよ。

「夕時まで休むと良い。今夜はささやかながら、パーティーの席を用意させた。楽しんでいただけると良いのだが。」

「ありがとうございます。」

「では、また、その時に。」

アル父はそう言い残し、消えてしまった。瞬間移動だね。

「では、少しお休みになられたら、街に行ってみますか?」

「賛成。」

フランツに同意の声を上げる私達。

本当に学校の先生みたいだよね、フランツってば。

「粋晶。」

「はぁい、いつもありがとう。」

「姫。」

「えぇ、悪いわね。」

私がアルに抱っこされるのはわかるよ。

でも、どうして、クーちゃんがタッキーに抱っこ?

ちなみにセイは囚われの宇宙人よろしくフランツとカスパーに腕を持たれている。

「タツキ。」

「いえ、姫は…。」

「あぁ、そうか。わかった。」

「お姉様、また後でお会いしましょう。」

「えぇ、またね。」

クーちゃんとタッキーが消え、またいつもの五人。

「じゃあ、お部屋にご案内します。」

ふっと再び瞬間移動。

「こちらが客広間です。それでお部屋ですが、一番奥の扉をスイとセイでお使い下さい。そして、左奥からウィル王子、カスパー、右奥からアレク王子、私です。こちら手前の二部屋は左側に侍女、右側に見張り兵が使わせていただきます。」

「お話中、失礼致します。」

客広間のドアが開き、一人の女性が入ってくる。私達の母汐美と同じ年齢位で、落ち着いた女性だ。

「あぁ、紹介します。スイとセイの身の回りのお手伝いをさせていただく、朱色(しゅいろ)シェリルです。」

「初めまして。侍女長の朱色シェリルと申します。至らぬ所もございますが、精一杯努めさせていただきます。」

「よろしくお願いします。」

「では、お部屋にご案内いたします。」

シェリルさんの後ろを五人がぞろぞろと歩き出し、最後にセイと私だけ。

「こちらをセイ様がお使いください。そちらをスイ様がお使いください。スイ様のお荷物は部屋に置かせていただいてあります。」

「ありがとうございます。」

「今夜のパーティーの際、こちらで用意させていただきましたお洋服がございます。そちらを身につける際、お手伝いをさせていただきたいと思います。」

「よろしくお願いします。」

「何か御用がございましたら、そちらのベルを押してください。では、失礼します。」

シェリルさんが深々とお辞儀をして、出て行く。私はそれを見送ってから、ベッドへダイブ。


「あと、十日。」

セイと私の誕生日が決断の日。どうしたらいいんだろう?私はどうしたい?

やっぱり、このまま、地球で暮し続けようかな。だって、ウィルにはリリアンナがいるし、アルは別に私の事なんて…。

きっと二人共、それなりに私の事を大切にしてくれると思う。

でも、政のお飾りじゃなく、一色粋晶として、結婚したい。愛されたい。

これって、我儘かな?そうかもしれない。

いつもいつも失恋ばかりの私が求婚されるだけでも凄い事なんだよね。

創地帝妃だからって理由だとしても。わかっているけど…。

アルと結婚しようかな?でも、きっと愛して欲しいと願ってしまう。そうしたら、アルを責めてしまうかもしれない。

なら、ウィル?でも、ウィルにはリリアンナがいるし、私も…。このままでは無理だよね。こんな思いを抱えたまま、ウィルと結婚なんて出来ない。

だって、私は…。

「ああ、もう。」

ベッドの上で、バタ足。意味はないが、泳いでしまう。

あぁ、バカだ。告白して、すっきり玉砕すれば、気持ちの整理が出来るのかな?無理だな。しばらく立ち直れそうにない。どうして、立ち直れないと思うの?

失恋ばかりの私の人生。慣れているのに、今回は特例?嫌ぁ、そんな特例いらない。

「スイ、入るぞ。」

「あぁ、セイ。」

セイの声より早くドアが開いている。って、声掛けるの遅くない?

「何しているんだ?」

「年頃の乙女には悩みが尽きないのよ。」

「あぁ、さいですか。それよりさ。」

それよりって酷くないですか?本当にどうでも良いって事よね。

「移動の時、何でクリスはタッキーに抱えられるんだ?俺達より一歳上だから、成人しているんだろう。」

「あぁ、うん。私も気になった。」

「あの後だから、聞き辛くてさ。」

「別に気にしなくてもいいんじゃない?タッキーは鍛えられるし、クーちゃんは好きな人の腕の中で幸せだし。」

「はい?」

セイが語尾を上げ、マジマジと私の顔を見ている。うん?もしかして。

「普段、天然鈍感スイちゃんなんて、私をバカにしている人が気付いていないの?まさかねぇ。」

仕返しじゃ、仕返し。嫌味たっぷり乗せた声を出してみた。

「あぁ、それはスイ自身の事だけだから。本当、周りはよく見ているよ。そうだな。お前は昔からそうだった。」

うん?何ですか?その深い意味がありそうな返事は?

「スイ、ごめんな。」

「何が?」

「いや、何でもない。それより客広間に行こう。皆が待っている。」

「うん。」

ベッドから起き上がり、セイに付いて歩き出す。でも、何か引っ掛かる。セイはどうして、私に謝ったりするの?何をしたの?どんな意味の謝罪なの?


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