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創地帝妃物語  作者: 宮月
21/46

21.秘密の関係?

やっぱり、ウィルはリリアンナの事が好き。私は確信してしまったのです。


着替え終わってから、街に出たんだけど、終始ウィルはリリアンナの横で嬉しそうな顔して、超が付くほどご機嫌。見ているこっちは、美男美女のカップルで目の保養になったけど、ちょっと熱かったかな?

それなのに、どうして、想いが通じ合っていないの?身分の問題?でも、カスパーは重臣だし、リリアンナ自身も重臣。そんなに王子様と釣り合わない事はないと思うんだけど。

うぅん、それとも創帝国以外にも国交のある国があって、そこのお姫様じゃないとダメとか?

「あぁ、わかんない。」

宛がわれた部屋のソファーにダイブ。

「あっ、そうだ。」

セイに相談してみよう。それが一番手っ取り早いかも。と、思い立ったら、すぐ行動。

暖炉のあるリビングみたいな部屋を通り、セイの個室のドアをノック。

「スイ、入れよ。」

どうして、私とわかる?まぁ、合っているけど。

「あれ?アル。」

「よっ。」

「どうしたの?二人でボーイズトーク中?」

「暇なんでスイも誘おうとしていたとこ。」

「あら、ありがとう。でも、ウィルは誘ってあげないの?」

二人が顔を見合わせ、困った顔。

うん?何?

「忙しいみたいだからさ。」

「何で?じゃあ、リリアンナ、誘おうよ。」

引き返し、廊下に歩こうとする私を引き止めるセイ。

やっぱり何かおかしい。

「何を隠しているの?」

「いや。」

セイの口が重い。私には言い難い事?アルに視線を向けるとアルも目を合わせようとしない。

一体、何なの?

「ウィルが忙しいわけをカスパーに聞いてみるわ。」

「それは絶対にダメ。」

「どうして?」

セイが諦めたように大きな溜息。そう、最初から素直に話せばいいのに。

「まぁ、とにかく、こっちに戻ろう。」

セイに与えられた個室に戻り、ベッド横にある大きなラグの上に正三角形を描くように座り込んだ。

「で?」

短く早く話せと急かしてみる。

「耳を澄ませてみろ。すぐに理由がわかるはずだ。」

うん?耳を澄ませる?音?

「……。」

聞いてはいけない声と音が微かに耳に入ってくる。

あの、これって、それよね?

「わかっただろう。」

「あの、これって、やっぱり。」

「そう。ウィルとリリアンナがベッドで仲良くしている証拠。」

「だよねぇ。」

それ以外に聞こえない。いや、ここで言うわけにはいくまい。つまり、そういう物音だ。

「ショックか?スイ。」

「うぅん。ちょっとショックかな。リリアンナとウィルに嘘とは言えないかな?まぁ、騙された感があるのよね。」

「はぁ?」

セイは訳がわからないと言わんばかりの返事。声がひっくり返っているよ。

「リリアンナに聞いたの。ウィルと付き合っているんでしょうって。でも、付き合ってないって、言っていたのよ。それなのに、ねぇ。」

セイがきょとんとアホ面したと思ったら、突然笑い出す。アルも苦笑。

「確かに、政のお飾りとして創地帝妃が欲しいのかもしれないし、リリアンナも重臣だから言い辛いのかもしれないけど、ねぇ。」

「もしもし、スイさん。」

「はい?」

スイさんって何?

「もしかしなくても二人が付き合っているって思い込んでいる?」

「あんなにお似合いで絶対両想いなのに付き合っていないとでも?」

「付き合ってはいないだろうし、お互い相手の気持ちがわかってなさそうに見えるけど。」

「付き合っていないのに、この状況は?」

「まぁ、俺達のいる世界でいうセフレ。」

「はい?」

セイの言葉をゆっくり噛み砕く。

「えぇ?」

「遅っ。」

遅いと何と言われようと、私には無縁の言葉。これって哀しい?

「どうして、どうして?」

「まぁ、両方、臆病で相手の気持ちに鈍感なんだろう。でも、何かの拍子にこうなってしまったとしか考えられなくないか?」

「あ、あの、アル。」

落ち着いたアルの視線とぶつかる。

「もしかして、重臣と王子は結婚出来ないの?付き合っちゃ、ダメとか?」

「いや、そんな事はないはずだ。」

「セイ!」

「あぁ、いい。スイの言いたい事はわかっている。でも、良いのか?」

「何が良くないのよ?」

「一応、お前の婚約者の一人。」

「私、最初に言ったよね?」

「あぁ、言いましたね。じゃあ、スイはウィルの事、好きではないと?」

「恋愛感情は全くありません。」

セイがにかっと笑いながら、アルに不気味な顔を向けた。何?

「あっ、もしかして、アルにも片想いの人がいるの?それか付き合っている人?」

「凄く大切にしている女性ならいるらしい。」

あっ、まただ。胸の奥にズキンと痛い。まぁ、私、失恋には慣れているし。

ううん、違う。これは恋じゃないでしょ。違うはずなのに…。

「俺と同じで世話の掛かる妹がいるそうだ。」

「妹?」

「そっ。どんな女性を想像していたのかな?スイさん。明らかにほっとした顔して。」

「べ、別にほっとなんてしてないわよ。」

「ふぅん。」

セイが意味深そうな頷きをしている。ムッとするので、アルに視線を逃がすとバッチリ目が合って、微笑みを向けてくれる。

ねぇ、アル、それって、どんな意味があるの?

あっ、それより話を逸らさないと、セイの鋭い突っ込みが待ち受けているかも。

「明日、アルの妹さんに会わせてくれるの?」

「あぁ、そのつもりだ。きっと、粋晶なら仲良くしてくれるだろうな。」

今まで見た事のない淋しそうな表情。何があるの?

「名前はクリスタルファーと言って、粋晶より一歳上だ。」

「じゃあ、ファーちゃんね。会うの楽しみ。」

「ファーちゃん?普通、クリスじゃないのか?」

「いいのよ。決めるのは、彼女。」

「あぁ、そうですか。」

「さて、じゃあ、明日、ファーちゃんに会うのに目の下にクマなんて出来ていたら格好悪いから、もう寝よう。」

「じゃあ、俺も部屋に戻る。」

「そうか。おやすみ。」

「おやすみ。」

アルと二人、セイの部屋を出る。

「おやすみなさい、アル。」

「おやすみ、粋晶。」

廊下に続くドアが閉まるまで、ずっとアルの背中を見つめてしまった。どうしてだろう?こんな淋しい気持ちになるのは…。


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