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創地帝妃物語  作者: 宮月
20/46

20.リリアンナの本音

「創地帝妃様、こちらにお召し替え下さい。」

部屋に入ると、リリアンナさんはすぐに服を出してきた。淡いグリーンのひらひらのついたドレス。

おぉ、これぞ、お姫様。じゃなく、私は言わなくてはいけない事があるんだ。

「リリアンナさん、ごめんなさい。」

「お気に召しませんか?」

「そうじゃないの。服の事ではなくて。私なんかが創地帝妃なんて呼ばれる人物でおこがましいなって。」

「はい?」

「私の事というか、私みたいなのが創地帝妃で気に入らないんでしょう?」

「な、何をおっしゃるのですか?」

美人は図星を付かれ、慌てている姿も美しい。

「私、美人、あっ、ルックスだけじゃなく、騎士団長をしてらっしゃる格好良い女性に憧れるんです。私、あんまり運動神経が発達してなくて、料理とか編み物くらいしか出来なくて、間違っても格好良いとか美人とか言われるルックスしてないし…。とにかく、美人が好きなんです。是非、お友達、親しくなりたいんです。」

「はぁ。」

コイツ、何を言っているのか?と、呆れた返事。でも、挫けない。

「なので、本音で話をして、仲良くなりましょう。」

沈黙。まぁ、わかっていたけど、ちょっと痛いよね。

「ぶ。」

ぶ?ブタさんの鳴き声じゃないよね?もしかして、リリアンナさんの笑い?

「ぶはははは。」

だったみたい。やっぱりカスパーの娘、ウィルの幼馴染。

「し、失礼しました。」

どうにか笑いを収め、真顔になろうとしているが、完全に声に笑いが交じっていますよ。

「やはり父から聞いた通りの方ですね。」

「カスパーは何て?」

「それは本人から聞いてください。」

気になるけど、今はいい。

「行き成り本音トークだけどいいかな?」

「どうぞ。」

「リリアンナさん、ウィルと付き合っているんでしょう?」

「王子と、ですか?いいえ、付き合ってはいません。王子は貴女様と御結婚されるおつもりですよ。そんな他のどなたかとお付き合いするような事はなさいません。」

「ストップ。私、そんな建前を聞きたいわけじゃないの。はっきり言って、創地帝妃との結婚って、政略的な理由ってわかっているから。それと私の事はスイって呼んでね。もう一つ、これはただのガールズトーク。二人だけの内緒話。敬語は止そう。」

「よろしいのですか?」

「もちろん。」

「じゃあ、私の事もリリアンナと呼んで。」

やっとリリアンナさん、リリアンナが騎士団長さんの仮面を取って、笑顔を見せてくれる。

うん、やっぱり美人の笑顔は良い。

「言い方を変えるわ。リリアンナはウィルの事、一人の男性として、好きよね?」

「…でも、王子はもう御結婚されるから。」

「誰と?」

「は?」

「婚約者がいるの?」

「何、言っているの?」

「へ?」

「創地帝妃が。」

「私?私はウィルかアルのどちらかと結婚するらしいけど。」

「アレクサンドル王子を選ぶの?」

「ウィルに婚約者がいるのなら、そうなるでしょうね。」

「だから、その婚約者はスイ、貴女でしょう。」

かなり遠回りでちぐはぐな会話をしてしまった。…私が悪いのかしら?

「そ、その事は置いておいて。リリアンナは、ウィルの事、どう想っているの?」

「スイはどうなのよ?」

「私は、うぅん、はっきり言って、恋はしていないわね。リリアンナは?」

「…王子は、私をそんな風には見ていないわ。」

「それって、つまり、好きって認めるのね。」

リリアンナが頬を染め、頷く。

美人なのに、こんな姿は可愛いなんて、ずるいでしょう。

「ス、スイはアレクサンドル王子を選ぶの?」

「私は、…本当言うとわからない。ウィルもアルも良い所がいっぱいあるし、結婚とか考え出すとますます混乱中。」

「私は、ウィル王子を選んで欲しいな。」

「リリアンナ?」

「スイならウィル王子の事、諦められそう。どっかの重臣の娘とかの綺麗なだけのお嬢様だったら、ゲンメツ。」

「私はリリアンナが似合うと思うけど。」

リリアンナが口元を歪め、苦笑を零す。何処となく淋しそう。

「残念ながら、私は付き合うとか結婚とかの対象ではないらしいの。」

「何か根拠は?」

「ごめん。私の口からは…。」

「そっか。ごめん、私こそ。」

言い辛そうに言葉を濁すには、きっと深い理由がある。

「とりあえず、おしゃべりはこのヘンにして、着替えましょう。」

「あぁ、そうね。」

ううん、本当にリリアンナの一方通行なんだろうか?凄く引っ掛かるのよね。確かにウィルは、私を好きだと言ってくれたけど、リリアンナに会ってから、少し違うなって、思うようになったんだよね。


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