タバコ
パソコンの電源をいれ、座りすぎて変形してきた座布団の上へ
吸いたいと言うよりも、もう癖になってしまった一連の動作でタバコに火をつけて
ひと吸いし 肺まで吸い込み吐き出した
と、いつもなら部屋の中へ拡散して消えていってしまう煙が
妙なことに空中の一カ所に集まって渦を巻きだした
なんだこりゃ?と ボーと見ていると どうやら人の形になってきたようだ
頭にはターバン、上半身は裸、ぶっかぶかのズボンを履いて 先のとがった靴履いて
とどめに昔の軍人さんみたいなとんがり髭
絵に描いたような ランプの妖精 色が青いのはなんかのアニメの影響か?
「お前の願いをなんでも叶えてやろう」
なんてぬかしやがる
なんだかやっかいだったから無視していつもの巡回コース ニュースサイトを見てました
煙なんだからそのうち薄れて消えちゃうだろうと思ってさ
「こら、あからさまに無視するなよ お前の願いをなんでもかなえてやろうってんだぞ?
もうちょっとこう、対応の仕方もあるだろう?
金とか女とか権力とか なんかあるだろう?
それを かなえてやろうってんだ ほら、どうだ?何かないのか?」
おいこら
今は俺のたぁいせつな 一人の時間なんだよ
勝手に進入してきて 犯されざる神聖なこの一時を台無しにするなよ
と
ちょっといらつきながらさらに無視
「お〜い、頼むよ 無視なんかしないでくれよ いや ください
俺もこれ 仕事なんだよ ノルマとかあんの 笑っちゃわね?
で そのノルマ 俺まだ今月分達成できてないのよ いや ないんです
お願いします 何か俺に願いをください」
あ〜、ね
妖精の世界も大変なのね わかるよ わかる いやごめん ホントはわからんわ
それは貴方の都合だし、俺、関係ないよね
俺 今一人で遊んでんの 邪魔しないでね
それでさ
「ほっといて」
っていったら パッて消えちゃいました
あ、コーヒー一杯 頼むんだった
こんなんでごめん