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新しい趣味

作者: 森林

 暑い夏も過ぎて涼しい風が吹き始める秋は、何か新しいことを何か新しいことを始めるのにいい季節だと思うんです。



 ある秋の晴れた日の事


 小学校のグラウンドで、子どもたちが野球をしている。

 十月の半ば、空気は乾き始め風は冷たかったが、走り回る子どもたちには関係も無いようだった。ボールを呼ぶ大きな声や応援の声、それにバットがボールをとらえるキィンという音が広い校庭に響く。同時に広がる歓声。それを見ていた、かつて子どもだった男が、笑うようにふっと息を吐いた。

 息は、白く変わって消えた。





 中学校のグラウンドで、少年たちが野球をしている。

 試合中の相手は隣町の中学校だろうか。両チームとも真剣な面持ちで、声を張り上げながらボールに集中する。監督の指示通りに送りバントを決めた少年の表情は、少し曇っていた。なおグラウンドには少年たちの声が響く。どこか張りつめた、それでいて楽しげな雰囲気。それを感じた、かつて少年だった男は、笑うようにふっと息を吐いた。

 息は、白く変わって消えた。





 高校のグラウンドで、青年たちが野球をしている。

 守り手は声を張り上げ、攻め手は冷静に作戦をたてる。ボールがグラウンドを駆け、そのたびに青年たちの声が飛ぶ。パァンとボールがミットに収まる。審判のアウト宣告に打者が悔しげな顔をし、投手の口元がわずかに緩む。一つの事に打ち込んでこそ得られる、充実した空間がそこにあった。


「野球、か」


 男は、野球少年だったわけでも野球部だったわけでもない。ただ、野球をしているのを見に来ただけだった。

 男は少し考えた表情をしながら歩いていく。


「グローブ買おうかな……」


 そうつぶやくと男はふっと笑う。吐いた息は白くなって、秋の空に消えていった。








 読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  冬の情景がにじみ出ていたのは好印象。 [気になる点]  野球をしているのをみてなぜグローブがほしくなった行動にいたったのかを、掘り下げてくれなかったのが残念。
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