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WOLF  作者: 001
6/7

ACT.FINAL


 それは何の変哲もない普遍な1日。


 年が明け数日経った日のこと。


 「速報です。 サルジア連合国がビオンド帝国に宣戦布告した模様です。 繰り返します。 サルジア連合国がビオンド帝国に宣戦布告した模様です。 」


 そこに世界を激震させる、 ニュースが流れた。

 

 世界各国はサルジアの急な宣戦布告にこれからの対応を余儀なく迫られた。


 これは、 日常が非日常へと変化した瞬間。

 

 ごく一部の者らは、 この報せを訝しく思った。


 サルジア連合国の現王は、 史上最年少ながらも、 民を国を思いやり民に愛され、 時には、 謀反人は厳しく処罰し畏敬される王。  

 

 ――正に絵本から飛び出してきたような王。

 ――正に絵に描いた様な民の理想たる王。

 ――正に皆が夢に見、 望まれた王たる王。


 「稀代の王」と名高いアルフォンス・カルヴェに仕え、 そのアルフォンスの行動に是とも非とも唱えられる従者たる従者、「至極の騎士」とも呼ばれるラファエル・エルミートが居ても尚、 宣戦布告するのか疑問に持つ者もいた。


 その疑問を持つ者の1部。

 無人の教室に3つの影が。


 「なぁ、 2人ともこの報道どう思う? 」


 いつもの怠そうな表情ではなく、 真面目な顔をしている友斗。


 「らしくねぇな。 アイツは民の為、 国の為、 時々己が為に、 って思われてっけど、 実際は自分の為が多い奴だが、 戦争を吹き掛ける様な戦闘狂(バトルジャンキー)じゃねぇしなぁ。」


 ノートパソコンと睨めっこしながら質問に答えるジーク。


 「現代に入って角が取れたとはいえ、 数百年前までは恐れられた国。 今も最大とも言える軍隊をもつビオンドに、 ねぇ。 それに、 ラファエルさんが止めるだろうしなぁ」

 「ふむ。 確かにらしくない。 先代つまりアヤツの父君も途中から可笑しくなった。 最後には『俺のようにはなるな』と残したそうだ。 因みにアルフォンスの祖父は近年になり良くない噂を聞く機会が増えた。 」


 腑に落ちない友斗に、 先代の例と祖父ベルトランの事情を話すウィル。


 「まぁ、 ジジィが暗躍してる可能性もありゃぁ、 他の奴が操ってる可能性、 それともアイツの本性っつう線もある。 」

 「ジーク、その心は? 」

 「全く以て分からん。 」

 「はい? 」

 「他の可能性だってある。 此処で俺らが話してたってあんま意味ねぇよ。 」


 ジークの結論に「あぁ、それもそうだな」と妙に納得した2人。


 「今日の晩飯どないする?」

 「俺、すき焼き所望」

 「冷えるからな、 キムチ鍋はどうだ? 」


 深刻な空気? え何それ? 美味しいの? と言った様な3人。


 本当にさっきまでのシリアスは何処へ?

  


  † ‡ † ‡


 サルジアの宣戦布告から早くも1週間。


 え? 時の流れが早いって? こまけぇーこたぁ良いんだよ。


 この1週間色々とありました。


 ハル・ロイドが今は滅亡したけど、 小国ながらも全盛期のビオンド帝国が恐れたパーシヴァル王国の末裔っていうのが判明したり、 同国で当時の姫君の直系で今は最大を誇る財閥、 鳴神財閥の御令嬢鳴神 紫桜(ナルカミ シヨウ)が拉致られたりとか。


 ジークがこの戦争の裏で操ってんのはベルトランのジジィだっつう事を押さえたりとか。

 他にも色々と有ったり、 判明した1週間だったよ。


 「お願いします。 もう先輩たち、 万事屋の3人しか頼みの綱はないんです。 」

 『お願いします。 』


 そんで、 俺ら万事屋の前では、 ハルを始め舞彩、 クリス、 パーシヴァル、 涼介といった今じゃ学園で知らない者はないといった有名人が頭を下げている。 ――ここに紫桜が加われば、 クエストで会った6人になる。――


 「紫桜を助けたいんです。 けど、 正直俺らだけじゃ心もとないんです。 だから、 先輩たちの力を貸してください。 」


 紫桜を助けたいがために、 俺らに依頼……じゃねぇな。

 これは、 唯の俺らの力を借りたいっていう願望か。


 「無事だっつぅ可能性は分からねぇぞ? それでも助けたいのか? 」


 ジークの尤もな質問。

 無事かもしんねぇけど、 五分五分の確率。


 「それでも助けたいんです。 」

 無事であると、 なんの根拠もねぇが、 真っ直ぐな眼で答える舞彩。


 「諦めないというのは、 素晴らしいが、 時には諦めも肝心だぞ。 それに、 今回の戦争は最早2国間の戦争ではない。 世界を巻き込んだ大戦だ。 他国の者に任せたほうが得策では? 」


 ウィルの甘い誘惑。 自分たちのみで助けるのを諦めろ。

 他の奴らに任せてしまえば良いという道。

 現に鳴神財閥会長で紫桜の父百舌(モズ)さんも呼びかけてるみてぇだしな。


 「諦められませんわ。 他の者になんて任せられません。 私達が助け出したいんです。 それに、 諦めたらそこで終了だと教えてくださったのはお兄様ですわよ。 」


 クリスの反論に思わず黙るウィル。

 逆手に取られちゃったよ。


 けどな、 俺らの答えは決まってんだよ。 1年生の諸君。

 ………………

 …………

 ……

 『だが、 助けるのは断る』


 俺らの答えはNOなんだよ。


 「何でですかッ!! 」


 激昂するハル。


 『―ッ』


 信じられないモノでも見たように息を呑む4人。


 それ程に俺らの答えは予想外なんだろう。

 この中じゃ付き合いが長いクリスは、 YESと答えてくれると信じてたんだろうな。


 「お前らに覚悟はあるか? 誰かを殺す覚悟が、 殺されるという覚悟が? それに、 このメンバーで戦場に出て、 誰かが死に掛けてんのを見捨てる覚悟が。 お前らにあるか? 」


 「そんな事できない。 いや、 させな―」


 「させないなんてほざくなよ。 これは漫画やアニメ、 ゲームみてぇな代物なんかじゃねぇんだ。 防護魔法があるから大丈夫とかじゃねぇんだ。 攻撃されても体力ゲージが減るとかじゃねぇ。 敵の攻撃が当たれば、 ケガをする。 当たり所が悪けりゃ、 死ぬ。 流れ弾、 矢でも致命傷になる。 そんな可能性が蔓延る戦場で、 させないなんてほざくなよ。 」


 「……でもッ」


 「間が空くようじゃだめだなァ」


 「学園最上位に成ったからと調子にのってもらっては困るのだよ。 たかが学園という狭い範囲だ。 世界は広いのだから。」


 「……そうですか。 なら先輩たちの力なしで助けて見せます。 」


 「どうしてですか。 友斗先輩。 」


 現実を受け止められないクリス。 涙声っぽい。

 それでもポーカーフェイスは崩さない。 そして、 答える気もない。


 「失礼するぞ。 」


 そんな中、 教室に入ってくるのは、土方先生と我らが担任カレン・アルクィン。


 「頼まれていたコトは無事完了した。 」


 「あんがとーございます。 」


 「行くのか? 」


 カレンさんが聞いてくる。 それに首肯で返す。


 「行くって何処へ? 」


 追いついてこれていなかったハルたちだが、 一瞬はやく覚醒したクリスが代表して土方先生に質問する。


 「この戦争の最前線へ、 だ。 」


 『えッ』


 目を見開く1年。 それもそうだろうな。 あんだけ言っといて戦場へ俺らが出向こうとしてんだから。


 「無事に帰ってこいよ。 特に友斗。 貴様には伝えなければいけないことがあるのだからな。 」

 「まぁ、 善処しますわ。」


 教室を出ていくカレンさんの背中に向かって返答する。


 入室する時しか顔見せてねぇな、 カレンさん。

 面見れば止めようとしちまうから見ねぇんだろうなぁ。


 「……どういう、 事ですか?」


 呆然としたままハルが聞いてくる。


 「俺達は助ける(・・・)っつうのは断ったが、 行かないとは一言も言ってねぇよ。 」


 ジークがハルの質問に答える。

 けど、 これは本当。 断ってるのは助ける事だけ。


 「だから、 さっさと支度してこい。 2時間後にでるぞ。 」


 ウィルが催促する。


 ――それに何より、 あのダラズ共をぶん殴んねぇといけねぇしな――



  † ‡ † ‡


 なんやかんや有って、 今はサルジア連合国城の前。


 なんやかんやって何だって?


 ……なんやかんやはなんやかんやだッ!!


 城門には、 最大にして、 最悪の障害が2人立ちはだかっている。


 片や俺と同い年ながらも、 「稀代の王」と名高い、 アルフォンス・カルヴェ。

   ――4人で一緒に悪戯とか、 バカな事してたのが懐かしい――

 片や「稀代の王」の右腕であり、 「至極の騎士」と呼ばれるラファエル・エルミート。

   ――アルの世話役で、 バカして説教されたのが懐かしい――


 風貌は美男子って言えるそのままなのに、


 「眼が死んでんだよなぁ。 」


 理性がないからなのか、 操られてるせいなのか知んねぇけど、 眼が死んでやがる。


 ここで人員を割くわけにもいかねぇ。

 …………なら、取れる選択肢はこれしかねぇか。


 「はぁ、 お前ら先に行きな。 」


 俺が相手するしか選択肢が残んねぇ。


 1年どもは驚いてる。 が、 ジークとウィルは平然としてる。

 ……ように見せてんのか、 めっちゃ血が滲むほど拳を握ってる。


 「何で、 友斗先輩が。 」


 ハルが食いついてくる。


 「やかましゃぁッ! これしか考えられる選択肢はねぇんだよ。 オメェら1年じゃ荷が重い。 それ以前に、 紫桜はマインドコントロールされてんだろ。 ここに来るまでに聞いたんだからよォ。 その紫桜を元に戻す為にはオメェらの声が、 思いが鍵なんだよ。 」


 「でも、 友斗さんが残らなくても良いじゃ無いですか。 」


 今度は舞彩が俺を諭そうとしてくる。 俺じゃなくて、 ジークかウィルに任せれば良いと暗に伝えてくる。


 「ジジィはどうすんだッ!? お前らが紫桜を助けようとしてる時に大人しく待っててくれるようなお人好しじゃねぇんだぞ! 此処に居る中であの糞ジジィに対処できんのは、 ジークとウィルの2人しか居ねぇんだ。 なら、 誰が彼奴等の相手をする?


 残ってんのは俺しか居ねぇだろうがッ!! 」


 そう。 これしか選択肢は残っていない。 分かってるからこそジークとウィルは何も言わない。


 だから、 この2人にアイコンタクトで伝える。


 『さっさとコイツらを連れていけ』と。


 

 「チッ。 さっさと行くぞお前ら。 」


 ジークが1年たちを促す。


 渋々ながらも城に入っていく1年。


 「必ず追いついて来いよ、 友斗。 」

 「たりめぇだ。 」


 ウィルと無謀な約束をする。


 「次会うときは笑顔でな。 」

 「おう」


 ジークとも約束する。


 「「先に行くぜ」」


 3人で拳と拳を軽くぶつけてから、 2人は先に行った。


 

 「ったく、 元から俺だけを相手にする気だけだったてかぃ。 すんなり他の奴等を通しやがって。 」


 そんじゃ、 まぁ、 逝くとしますかぁーッ!!



  † ‡ † ‡


 城中の敵をいなしながら玉座に向かって進んでるなか、 ハルが聞いてくる。


 「なぁ、 ジーク先輩。 友斗先輩の実力ってどれ位なんだ? 」

 「そりゃぁ、 強いぜ。 」

 「そうなんですか? 」

 「あぁ、 俺とウィルも友斗とガチで戦えば、 十回中二回は負けるな。 」

 「それは、 強いと言えるんでしょうか? 」

 「クリスの言う事も尤もだが、 辛勝ではなく圧勝という形なのだよ。 」


 目を見開く1年。


 「マジすか。 」


 「あぁ。 お前らだって、 空間魔法使えんだろ? 」


 俺の質問に肯定する。


 「空間移動とか、 空間転移の一種で、 武器や道具も移動できる魔法があんだろ? 」

 「はい、 ありますね。 ですが、 あまり使う人は少ないですが。 」


 櫻田が答えてくる。


 「友斗はそれを使う数少ない1人だ。 」

 「友斗が倉庫に持っている数は底が知れん。 」

 「そんなに持っているのですか? 友斗先輩は。 」


 俺に続けてウィルが喋り、 クリスちゃんが聞くぅ。


 「万事屋だからな。 それに、 友斗は色々と体験してんぞ。 」


 「色々っすか。 」


 朝霧が呟く。

 始めて喋れたな。


 「そう、 色々だよ。 友斗が扱えない武器、 道具はないだろう。 武術も体術もありとあらゆる物を取得している。 」


 「凄すぎる気がしないでもない気が……」


 ウィルのよくわかる解説にパーシヴァルが、 信じられないモノを聞いたようだ。

 そして、 おめでとう。 初会話。


 「それに加えて、 友斗にはッ 」


 チィ、 そういう事か。


 「ウィル! 」

 「無理だ。 扉が閉まっているのは確認しただろう。 それに、 今までの倒した、 無視した敵が邪魔になる。 」


 思わず舌打ちする。

 最悪だ。 最初からこれが目的かよ。


 「どういう事ですか? 」


 正直クリスちゃんの質問に答えられるほどの余裕がねぇ。

 それを察してるのか、 俺と同じで余裕がねぇ筈なのにウィルが答える。


 「アルとラファエルの2人がすんなりと通してくれたのは、 友斗の足止めが目的なんだよ。 」

 「え?」

 「友斗だけが唯一使用できる魔法がある。 」

 「それは? 」


 ハルの質問に俺とウィルの2人で答える。


 『古代魔法と神代魔法だよ。 』


 そう、 現在では使える者が居ない。

 友斗だけの魔法。

 ――天才(オレ)最強(ウィル)と同じ舞台に上がるために死に物狂いで取得した魔法―― 



  † ‡ † ‡


 だぁ、 クソッ。 左腕と右足が使いモンになんねぇなぁ。

 血も流しすぎたし、 武器と道具も結構消費しちまったな。 古代も幾らか使用したしな。


 まぁ、 これだけの被害と消費でラファエルさんを倒せたっつうんだから安いのかねぇ。


 さてと、 最大の障壁が残ってらぁ。

 この稀代の王(ダアホ)をぶん殴んねぇと。 至極の騎士(ダラズ)はぶん殴ったしな。


 「逝くぞ。 アル、 いや、 稀代の王アルフォンス・カルヴェ!! 」



 【戦闘描写】

   ――略――

  


 

 「クソったれが。 」


 地面に膝から崩れ落ちる友斗。 辺りの地面は凹み、 今までの戦いの壮絶さを物語っている。

友斗は最後の死力を尽くし、 俯けから、 仰向けになる。



  † ‡ † ‡


 ――友斗がアルフォンスと決着を付けるのと同刻


 決戦の地は玉座。 そこで対立しているのは、 ハル=パーシヴァル・ロイドと、 この戦いの発起人にて黒幕ベルトラン・カルヴェ。

 この戦いもまさに幕を閉じようとしていた。

 壁際には救出された紫桜を中心に舞彩、 クリス、 パーシヴァル、 涼介が陣を張っている。ジークとウィルはそれよりも前で、 戦いの末を見ている。


 「巫山戯るな。 たった、 それだけのために、 戦争を始めて紫桜を攫ったっていうのかぁッ!! 」


 事の真相を知り、 感情が荒ぶるハル。


 「それだけ? 儂にしてみれば大事じゃよ。 」


 フォッフォッフォッと笑いながら、 そして、 そこまで熱くなるハルを嗤うようなベルトラン。



 ――遡ること数分――

  

 「この世界は1つになるべきなのじゃ。 元は1つじゃった。 元々の姿に戻そうとするのが何か可笑しな点があるかのぉ? 」


 ベルトランの嫌な笑み。


 「ほざけ。 それは仮初の目標だろうがッ! 」

 ジークハルトがその願いを一刀両断する。

 その言葉に黙るベルトラン。

 「貴様の望みは、 娘を生き返らせる為だろう? その為にこの戦争を始めた。 ある術を発動させる為の条件を満たすために。 何か間違ってる点はあるか? 」

 ウィリアムが真の望みを喋る。

 「黙れッ!!! 貴様らに儂の何が分かると言うんじゃ!? 儂のたった1人の娘。 儂に微笑みかけてくれた最愛の娘。 数えきれない思い出と共に過ごした娘を生き返させる事が鷲の希望であり、 生きがいの1つなのじゃ!! それをたかが十数年しか生きてない小童が否定するでないッ!!! 」

 感情を爆発させ、 叫ぶベルトラン。



 「まぁ、 良い。 儂の勝利じゃ。 」


 勝ち誇るベルトラン。 哂いながら続ける。


 「さぁ、 粗奴らを片付けぃ。 アルフォンス、 ラファエルよ。 」


 アルフォンスとラファエルが玉座に現れた。 臨戦態勢を取る、 ジークハルトとウィリアム。

 その2人に一瞥を投げ、 ベルトランを見るアルフォンスとラファエル。 その姿をみて臨戦態勢を解くジークハルトとウィリアム。


 そして、 アルフォンスとラファエルは攻撃する。


 



    ………………ベルトランに向かって。



 ハルに向かって口を開くアルフォンス。

 「終わらせなさい、ハル=パーシヴァル・ロイド。 」


 「これで終いだぁッ!! 」


 アルフォンスの言葉を聞き、 動き出すハル=パーシヴァル・ロイド。

 そのハル=パーシヴァル・ロイドが渾身の力を込めた一撃。

 その一撃は、 今までの戦いそして、 アルフォンスとラファエルの攻撃により、 満身創痍になったベルトランには痛恨の一撃となった。


 ベルトランは倒れ、 戦いは終了した。



 ――時を遡る――

 仰向けになった友斗に近寄る2つの人影。 それは、 今、 戦っていたアルフォンスとその数歩後ろにいるラファエルの姿。アルフォンスはセミロング位あるであろう金髪を後ろで縛り、 ラファエルは、 銀髪である。 ――FFのクラウドの髪型を銀髪にした姿をイメージして欲しい――

 その2人は今までのような死んだ眼はしておらず、 変わりに悲しみを含んだ眼をしていた。


 「ごめんな。 友斗。 」

 ポツリと呟かれた言葉。 友斗の傍らまで近付き跪き、 友斗の左手を取ったアルフォンスの呟き。 その呟きは、 側にいるラファエルには勿論、 友斗にも聞こえていた。


 「何にだよ。 この、 ダラズ。 」

 吐血しながらも、 蚊の鳴くような声で話す友斗に、 ラファエルが答える。

 「それは、 勿論この様な状況にさせてしまった事に対してですよ。 さらに、 ベルトラン様、いや黒幕ベルトランの術に反発出来なかった事に。 」

 何時もの何でもないように話すラファエル。

 「そんな泣きそうな顔しないでくださいよ。 ラファエルさん。 アルも、 さ。 」

 気にすんなとでも言いたそうな友斗。 微笑みながら続ける。


 「もし、償いたいと思っているのなら、 アイツらの手助けになってくんねぇかな? ジークとウィルがいっけど、 多分ハルがジジィの相手してっからさ、 頼むよ。 」

 友斗の願い。 それは、 ハルたち1年の手助けになってほしい。 それで貴方達を許そうという思い。

 「あぁ、 手なら幾らでも貸そう。 」

 もう、 我慢などせず、 涙ぐみながら約束するアル。

 「頼んだ。

 

 これからもよぉ、 色々あっかも知んねぇけどお前のやりたいようにやれよ、 アル。 」

 「あぁ。」

 「ただ、 目的と手段を履き違えるなよ。 」

 友斗は間髪入れずに続ける。 まるで、 時間がないから焦っているように。

 「ラファエルさん。 」

 「何かね? 」

 「アルの事頼みます。 」

 「言われるまでもない。 」

 「それも、 そっすね。

 貴方なら道を違えようとするアルも、 ぶん殴ってでも正しい道を示すでしょうね。 」

 「それが、 従者だ。 主の行動を全て是とするのは従者ではないのだ。 」

 ラファエルとのやり取りで何処か安心したような、 友斗の表情。


 「あぁ、 もし、 願いが1つだけ叶うのならまだ生きていてぇなぁ。 」

 元々蚊の鳴くような声で喋っていた友斗の声が、 益々小さくなった。 傍らにいる2人ですら、 集中しなければ聞き取れないような声量で、 友斗は続ける。 その目元に涙を溜めながら……

 「今なら、 シズカの気持ちがキチンと解る。 今までは漠然としてたけど、 もう1回綺麗な青空を見てぇなぁ。 」


 そう言い、 陸奥友斗は事終えた。



 「ラファエル。 」

 一言ラファエルに声を掛けるアル。

 泣きながら。 何に対して泣いているのだろうか?

 友斗と。 いや、 万事屋の面々と過ごした日々を思い返し? それか現状に対して? それとも……

 「ハッ」

 ラファエルの手にはアルフォンスが使う細剣(レイピア)が。


 「ここに宣言しよう。 陸奥友斗よ、 貴方こそが最高の騎士。 いや、 最高の戦士だと。 貴方が唯一私に一撃を与えた者。 故に、 私が証明しよう。 貴方こそが最高の戦士だ。 そして、 何よりも私の至高の友人の1人だ。 」


 細剣(レイピア)を空に向け、 宣言するアルフォンス・カルヴェ。


 「貴方は、大々的に知られるのは嫌いな性分だという事は熟知している。 故に、 私達と万事屋と他の一部の数人だけにいたします。 」


 友斗の勇姿を知るのは極一部だけだから、 安心して逝け。 と、 そんな優しい表情をして告げるラファエル。


 「行くぞ、 ラファエル。 我らの贖罪のために。 それに何より、 友斗との約束のためにも! 」

 「どこまでも付いて行きましょう。 」

 凛とした表情で、 何より焔がついた眼をしてアルフォンスがラファエルに告げる。 それを甘受し、 数歩後ろに続くラファエル。

 その姿は、 正に「稀代の王」と「至極の騎士」。 胸に確固たる思いを抱いて、 最強の2人が最終決戦の地へ赴いた。







 ――そして、 宣戦布告から1週間もせずに、 戦いは終わりを告げた。


 ――サルジア連合国側の敗北という形で。 


 ――戦死者は数多く、 得るものは何もなかった。


 ――ベルトランに操られていたという事でアルフォンス、 ラファエルには何も罪状は無かった。

 ――この戦いで歴史に刻まれるは、 ハル・ロイドを始め1年6人。 そして、 ジークハルト・レヴィン、 ウィリアム・クロムウェルたち。

  ――そこに陸奥友斗の名は何処にも見当たらなかった――



 ここに、 歴史に名を刻む戦いと刻まれることのない戦いは終わった。






                    ――陸奥友斗の遺体未だ発見できず――

 





 はい。 ということで、 完結です。


 友斗「まぁ、 待て。 色々と聞きてぇ事があんだが? 」


 (゜ε゜)キニシナイ!!


 ジーク「友斗の戦闘描写……」

 友斗「良く言った、 ジーク。 」


 あぁ。 アレ。 正直めんどくなった。


 ウィル「何か聞いちゃいけないことが……」


 気にすんなヾ(゜Д゜ )ポンポン


 3人『まぁ良いや。 これからどうすんの? 』


 設定集を上げるかもしんない。 あと、 大抵の二次はこれの続きっていうか設定を使うから。


 『はい? 』


 一番は友斗一人の転生とか。 万事屋で転生とか。 友斗だけ転生して、 二人が途中で参戦するとか。 そんな感じで行くからここの設定を引き継いでいく感じ。 他作品の世界観を壊さないようにしていければなぁ

 

 あと、 過去の話を二次で書くかも。


 『へぇ。 』


 興味ない感じ?


 『信用ならねぇ。 』


 酷ッ!

 言うに事欠いて信用ならないなんて……(´;ω;`)


 『なら、 信用されるよう上がるしかない。 もう、 下がらないから


  …………多分』


 ウォイ! 断言しろよ、 せめて。


 『気にすんなよ』


 もう良いやい。 ( ゜д゜)、ペッ 


 では、 居るかどうか分らない之を見てくれた方に感謝を。

 『また、 いつか会える日まで。 』


  ヽ(´ω`)/~~



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