ACT.3
――秋。 食事とか、 睡眠とか、 運動とか色んな事が盛んになる季節。
トルニア魔法学園では、 カルフェス――俗に言う文化祭――が4日間行われている。
え、何? 欧米に文化祭は無いし4日って可笑しくね? だと。 はい、ここで魔法の言葉。 『これ、 ファンタジーだから。』
「それ言ったら元も子もねぇ! 」
カルフェス初日で、 来校者が多々いる中、 いきなり叫びだした友斗。心做しか行き違う人たちは、 離れているきがする。
「いきなりどしたん? 」
友斗の隣で胡乱な目で見るジーク。 ――ウィルはクラスの催し物の為、 姿は近くに見えない。
「こう、 今ツッコまなあかん。 て思った。 」
「……電波? 」
「そうとも言う。 」
はぁ、溜息を吐き、 肩を竦めるジーク。
「アハハハ。 っとぉ、 もうそろそろ開幕じゃね? 闘技場に行こうぜ。 」
乾いた笑いを零しつつ、 話題を変える友斗。
なんやかんや言いつつその場――前庭――を後にし、 闘技場へ向かう2人。
† ‡ † ‡
画面の前の皆さん、 こんにちは。 ハル・ロイドです。
皆さんはどうお過ごしでしょうか? 俺は戦う直前です。
……パネェ、 こう色々とパネェ。 アレだよ。 体が震えているのは武者震いとかじゃないんだよ。 緊張だったらどれだけましだったか。 これは、 ジーク先輩とウィル先輩の監督のもと、 地獄という名の夏休み、 夏休みという名の地獄――どっちでも変わんねぇな――を数名と過ごした恐怖で震えてるんだよ。 思い出すのも嫌になる。
………………
…………
……ハッ! 危ねぇ、 危ねぇ。 思い出したら嫌な汗が。
それにしても、 友斗先輩が生徒会のメンバーだったとはなぁ。 夏休みの最中姿が見えなかったのは、 生徒会の仕事で忙しかったからかな? ――実際は、アルバイトとか、 万事屋の依頼とかで忙しかっただけ。 生徒会としての活動もしてたが――
取り敢えず今は、 相手に集中しねぇと。 カルフェス初日の初戦とか泣ける。
『レッディース アーンド ジェントルメン!! カルフェスへようこそ
トルニア魔法学園名物企画の1つ学年別トーナメント、 俗称【|KNIGHT‘S HONOR】の開幕だぁ!! 実況は放送局1年の芦原 暁です。 』
暁の奴テンションたけぇなぁ。 こちとら緊張してるっちゅのに。
『解説は生徒会長のリサ・エリス先輩と、 魔法学・武学担当の土方 篤志先生の御2人です。 今日はよろしくお願いします。 』
『よろしくお願いします』
『こちらこそ、 よろしく』
会長と土方先生が解説役か。 さてと、 そろそろ行くとしますか。
相手はハインツ・クラッセン。 涼介によるとハインツは火属性を重点に置いてるとかなんとか……とやかく考えんのは止そう。 俺の手は……
『両選手の準備が整ったようです。 それでは、 第1試合……開始!!』
先手必勝!! 胴への一閃。
……あるぇー? 手応えがねぇ。 何故に?
「攻撃が当たっていなくて不思議そうな顔をしてんなぁ。
……」
声が聞こえるのと同時に、 右にすっ飛ばされる。
他に何か言ってたけど、 聞こえなかった。 何て言ったんだ?
地面を転げまわって止まって前を向いたらそこには、 火の玉が。
クソッ。 最後のは呪文かよ。 休ませる隙は微塵も与えねぇってか。 ハハッ、 笑えねぇ。
『ハインツ選手の連撃ぃ!! ハル選手はダウンかぁ』
† ‡ † ‡
あのパーシヴァルを相手に勝利したというから、 どれだけの者かと思えば呆気無いな。
「審判。 この戦いはこの俺、ハインツ・クラッセンの勝利だ。 」
審判を勤める生徒に声をかける。 結構粘るかと思っていたが、そうでも無かったな。
「第1試合勝者ハインt」
「ちょっと待てって。 何勝手に終わらせようとしてんだ。 まだ、 俺は負けてねぇよ。 」
へぇ、 あの攻撃を堪えるか。 無傷という訳ではないが目立った怪我はしてねぇとは。
それにしても、 あの片手剣の魔力量が凄まじい物になったな。
「まだやる気か? 」
「ったりめェだ。 そうやすやすと負けらんねぇんだよ。」
……もしかして、 俺の魔法を吸収したのか。 そうすれば、 開 始時と今での魔力量の違いは証明できる。 もしくは、 この戦いで発展した、 か。 んな訳ねぇか。
まぁ、何だとしてもこいつはおもしれぇ奴だ。 燃えるねぇ!!
† ‡ † ‡
だぁ、 くそ。 あんにゃろ勝手に終わらせようとしやがって。
それにしても、 この片手剣にこんな能力があったとは。
ハインツの魔法を切ったと思ったら吸収するとは。
ありがとう、 親父。 この剣をくれて本当にありがとう。
さてと、 第2幕の幕開けと行きますかぁ。
「行くぞ、 ハインツ!! 」
「来るが良い、 ハル。 」
負けらんねぇ。 ここで負けたら、 鍛えてくれたジーク先輩やウィル先輩に顔向けできねぇ。 絶対に勝つ。 なにより、 俺自身の為に。
――両者が再び相見えようとした時、 乱入者が――
「■■■■■■■■■■」
なんだこりゃ? ゴーレムか?
「ヤッベッ。 いきなりだな。 オイ! 」
オイオイオイ、 地面が大いに陥没したぞ。 コイツ普通じゃねぇだろ。
「何なんだコイツは。 大抵のゴーレムじゃ1撃で、 こんなに凹まねぇぞ。 」
ハインツも同じ考えだな。
教師陣は、 なんで対応してこねぇんだよ。
審判はさっきの鳴き声で気絶してんぞ。
こうなりゃ、
「おい、 ハル。 」
「何だ? ハインツ。 」
「最早、 試合云々じゃねぇ。 ここは手組まねぇか。 」
「俺も同じ事考えてた。 」
「じゃぁ、ここからは」
「「連携していこうかぁ」」
† ‡ † ‡
オイオイオイ、 あのゴーレムはヤベェだろ。
それに、 扉もロックしてあるし、逃げ出すにも逃げ口がねぇし。
教師陣も突入できねぇ。
「ジーク」
「もうやってる。 」
取り掛かんの速ぇな、 ジークは。
「ウィルは、 ココの奴らを落ち着かせろ。 難しいかもしれねぇが頼んだ。 」
「任せろ。 」
パニクった奴らを落ち着かせんのは一筋縄じゃいかねぇが、 ウィルを信じるしかねぇ。
「友斗。 」
ジークがハンドアクションで俺らの近くの6番ゲートのロックを解除したのを伝えてくる。 今は、視覚を共有してるから、 ウィルにもこの旨は伝わってる。
ここら付近一帯は落ち着いたな。 流石ウィルだな。
ハルもハインツの魔法から吸収した魔力を利用して、 あのゴーレムを倒したか。
それと同時に、 ロックも解除されたか。
それにしても残りのカルフェス期間どうすんだべ?
✣簡単な補足
カルフェスは4日間開催で、KNIGHT‘S HONORは3日間行われます。
初日は1年生、 2日目は2年、 3日目は3年っていう感じです。
1年生は、 決勝リーグだけなので午後から開始されます。
2、 3年は午前から、予選から行われます。
理由? 色々あんだよ。
カルフェスには、 色んな偉い人が来てます。
お忍びでも来てます。
偉い人たちだけじゃなくて、近隣の学生とかもいます。
KNIGHT‘S HONORは各業界へのアピールとか色々と兼ねてます
こんな所かな。
正直戦闘描写が……
それでは次回(@^^)/~~~