小滝小学校
大学生3人が会話をしている。
「…この音、聞こえてる?」
「そりゃもちろん。この【ドドドドドドド!】って音だろ?近くに滝でもあるんだろ?」
「いいや。それがこの付近には滝なんて無いんだよ。」
「マジかよ。…じゃ、まさかこれが例の?」
ここは首都圏から随分と内陸部に進んでいき、
何県にあるのかも分からないような山の奥にある心霊スポット。
【小滝小学校】
戦後すぐの頃。
このような便が悪い所に人が集まったのは近辺に大きな鉱床があったからだ。
そこに仕事を求めてやってきた鉱夫により大きな集落となり賑わいを見せていた。
また当時としては大きな木造三階建ての【小滝小学校】には子供の声があふれていた。
子らは皆が一様に笑顔。
山や森で、時には父に連れられ鉱山で遊ぶ姿が見られ、
大人達も分け隔てなくどの子供に対しても愛情を注いでいた。
しかしその地域の土着信仰はカルト宗教のようにその地域に住むものに信仰を強要する。
【来るものは引き入れる、去る者は引き入れる】という土地の戒律がある程だ。
入信しなければ住居や鉱山へ入る権利も得られなかったので、
外から仕事を求めてやってきた家族は信仰を強要された。
しかし、毎日夜にある煩わしい集会に参加し、
信仰したフリさえしていれば近隣住民は外から来た人間にもとても優しい。
何かと気を配ってくれて、鉱山で働いている間の家族の面倒も村ぐるみで見てくれている。
そうして徐々にその信仰が正しいものであると皆が思い込めるようになっていった。
時代も相まってその地域の人口や信仰が最高潮を迎えた。
そんな中で唯一の産業であった鉱脈が枯れてしまったのだ。
大人たちは夜の集会で夜な夜な話し合う。
新参の家族が
「もう鉱脈が掘れないんだったら仕方ないべ。皆こん村さ出るしかないだろよ。」
と言うと、周りの皆の目が釣り上がる。
翌夜の集会にはその新参の家族の姿はない。
その新参者がどうなったか……、、、多くの村人は知っているが、
その結果が残酷だと思うものすらいない。
当然の処遇なのだ。
さらに数日に及ぶ話し合いの後に結論が出た。
「この辺りで一番高い建物は【小滝小学校】だべ。やっぱそこからが一番だろ。」
「そだな。そこから皆で神の国に渡るべさ。」
「んだんだ。」
…
ドドドドドドド!
…
「そう。例の最恐の心霊スポットの【小滝小学校】だよ。」
「集団自決したってやつだっけ。この滝の音みたいなのは屋上からの飛び降りの地面への衝突音が鳴ってる……んだっけ?」
「ああ。ほら、もう見えてきただろ?屋上から間断なく飛び降りてる人達が見えるだろ?」
「えぇ………、、、霊ってあんなにくっきり大量に視えるものなのか?」
「あれって、、当時の光景のまんまなのか?飛んだら死ぬんだろ?普通なら少しは躊躇するだろ?なんであんなに次々と飛び込めるんだよ!?」
「しかもここまで来ると表情まで見えるだろ?
…見ろよ。
大人も子供も新参者のこっちの方を見ながら笑顔で飛び降りてるぞ。」
「うわ!!!いや!もう駄目だ!帰ろうぜ!ヤバすぎるよここ!」
「うん。来てすぐだけど帰るか。あ~あ、これ一生のトラウマ確定案件だわ~。」
「…帰って良い訳ないじゃん。何言ってんの?」
「「…えっ」」
集団自決した村人達は神の国に渡れず今も小滝小学校に留まっている。
神へと奉納する神楽(雅楽)は半世紀以上にも及ぶが、
その願いが聞き入れられることは今後もないのだろう。




