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因習の胎動 ー「因習村」は、どのようにして生まれるのだろうかー  作者: 無機色


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1/10

一. 遭遇、逃亡

 太一は、死に物狂いで山道を走っていた。


 背後から、何かが地を踏みしめる音が迫る。

 ザッ、ザッ、と湿った土を抉る、不吉な響き。振り返る余裕など、微塵もない。

 ただ、一刻も早く、この山を下りなければならない。


 足元の地面はぬかるみ、何度も転びかけた。枝が頬を打ち、素足の裏に鋭い小石が突き刺さる。

 痛みは、とうに意識の外だった。喉が焼けつくように熱く、息が苦しい。

 心臓は耳元で銅鑼のように鳴り響いている。


 怖い。ただ、ただ怖い。


 黒いツノ、四本の腕、ぎらぎらと輝くあの黄金の眼――!


 思い出した途端、全身の血が一気に冷える。背後から粘つく何かが伸びてくるような、強烈な錯覚に襲われた。


「う、わあぁぁああ……っ!!」


 叫びを上げ、転がるように山道を駆け下りた。




 ――どれほど走ったか。ふと顔を上げれば、そこは見慣れた集落だった。


「太一!」「おい、大丈夫か!」「どうしたんだ、お前!」


 俺の声を聞きつけた大人たちが駆け寄る。その中心で、俺は何も言えなかった。

 歯はガチガチと鳴り、手足の震えが止まらない。助けを求めようにも、声が出ない。頭の中では、あの異形の姿がぐるぐると回り続けている。


 それが、太一と『モノノケ』との、遭遇だった。

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― 新着の感想 ―
これは大物になる予感…!
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