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第2話:北の嵐、血染めの九州

南海トラフ巨大地震とそれに続く大津波は、日本列島を無力な廃墟へと変え、復興どころか生存すらままならない状況を現出させていた。中央政府の機能は麻痺し、自衛隊は九州南東方面での大規模な救助活動と、寸断されたインフラの復旧に忙殺されていた。その混乱の隙を突くかのように、北から日本を狙う漆黒の影が迫っていた。

長年、冷戦の残滓として国際社会に不穏な存在感を放っていた南北統一されたとある国家が、この絶好の機会を見逃すはずがなかった。彼らは地震によって混乱する日本の状況を事前に察知していたかのように、極めて短期間で大規模な侵攻部隊を編成。北部九州の海岸線に、圧倒的な物量と冷酷な残虐性をもって上陸を開始した。

九州地方は、壊滅的な被害を受けながらも、残存する自衛隊部隊や警察、そして市民が一体となって必死の抵抗を試みた。しかし、奇襲と化した敵の猛攻と、組織的防衛網の崩壊は如何ともしがたかった。福岡、佐賀、長崎といった主要都市は次々と占領され、抵抗する市民や逃げ惑う人々に対する大規模な虐殺行為が各地で発生。生き残った人々は、絶望と恐怖に打ち震えながら、敵兵の目を逃れて潜伏するしかなかった。

自衛隊は、九州の防衛が手薄になっている状況を認識しつつも、目の前の救助活動を止めるわけにはいかなかった。遅れて初動部隊が北上を開始するも、交通網の寸断と津波による被害は深刻で、進軍は困難を極めた。本州からの支援も、太平洋側の壊滅的な状況により艦船や航空機の展開が遅れ、陸路での物資輸送も絶望的だった。

日本海には、ようやく展開を始めた**護衛艦「かが」と「いずも」**が、急ぎ九州方面へと針路を取っていた。しかし、彼らが辿り着く頃には、九州の大部分は既に敵の手に落ちており、その行く手を阻む敵艦隊と航空機の圧倒的な戦力が展開されつつあった。救援は間に合わない。日本列島の西の玄関口は、血と炎に染まり、静かにその機能を停止していく。

この絶望的な状況下で、唯一の希望となり得る「時のときはざまのヤマト」は、まだこの世界にその姿を現していなかった。


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