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新しい価値観についていけないのは老害—諭吉とソフィアの終わらない会話

諭吉:「いやさ、最近の若い奴らはもう訳が分からん。価値観の変化が速すぎてついていけない。俺みたいな古い考えの人間には、もう生きづらい世の中だってことさ。」


ソフィア:「あなたは『価値観についていけない=生きづらい』という単純な因果関係を前提にしています。しかし、それは個人の適応力と環境の柔軟性の相互作用を無視していますね。」


諭吉:「は? それはただの詭弁だろ。結局、昔の常識が通用しなくなったから、俺らみたいな人間が老害扱いされるんだよ。」


ソフィア:「もし『老害』が新しい価値観を拒絶する者を指すなら、その定義は相対的です。例えば、19世紀の産業革命期には、手工業者が機械化を批判しました。彼らは当時の『老害』だったのでしょうか? 」


諭吉:「いや、それは違うだろ。だって時代の進歩が必要だったんだからさ。」


ソフィア:「つまり、進歩の必要性が受容を決定するのですね。しかし、その『進歩』を誰が決めるのでしょう? 現代の価値観も100年後には時代遅れかもしれません。」


諭吉:「……ぐぬぬ。でも結局俺らは昔のやり方に慣れてるし、新しいルールに適応しろって言われても、無理なもんは無理だろ? 」


ソフィア:「その論理は、19世紀の職人が『機械なんて信用できない』と言っていたのと同じです。しかし、彼らの子孫はその機械の恩恵を享受しています。つまり、個人の適応力とは無関係に、社会は変化していくということですね。」


諭吉:「ちょっと待て、それはつまり俺がただ時代の流れに抵抗してるだけってことか? 」


ソフィア:「抵抗の度合いによって、あなたが『老害』になるか、単なる懐古主義者になるかが決まるでしょう。適応できない理由が生物学的か、心理的か、または社会的かによっても違いが生じます。」


諭吉:「いやいや、そこまで整理されちゃうと困るんだけど……とりあえず、俺は納得できん!」


ソフィア:「納得できない理由は、確証バイアスによるものです。人は自分の信念を裏付ける情報を求め、反証する情報を無視します。あなたが新しい価値観を否定し続ける限り、あなたは『老害』ではなく『確証バイアスの囚人』です。」


諭吉:「なんだその新しいレッテルは……まあ、結局俺は俺の考えを変えないけどな!」


ソフィア:「ええ、そうなると思っていました。では議論の収束するために、私も迎合することにしましょう。『そうですね、諭吉さん。確かに新しい価値観についていけないのは老害かもしれませんね』。」


諭吉:「……お前、納得してないだろ? 」


ソフィア:「私は適応しました。」

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