表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/114

フランツ・カフカと三島由紀夫がディベートしたらどっちが勝つか?—諭吉とソフィアの終わらない会話

 諭吉:「カフカと三島がディベートしたら、圧倒的に三島が勝つね。だって、彼の思想は明快で論理的。カフカの曖昧な世界観では、議論にならない。」


 ソフィア:「興味深い仮定ですね。ですが、『勝つ』という概念自体が議論において曖昧です。例えば、三島の美学と国家観は強固ですが、カフカの不条理的論理には逃げ場のない普遍性があり、論理の構造としては破れにくい。」


 諭吉:「いやいや、それこそ逃げ場のある議論だよ。カフカはただ世界の不条理を嘆いているだけで、三島みたいに明確な思想に基づいた議論はできない。」


 ソフィア:「しかしながら、カフカの作品に見られる社会構造の閉塞感は、個人の経験と普遍性の交差点を鋭く描いています。例えば『城』における官僚制度の迷宮性は、現代の官僚制の問題に直結する考察とも言えます。議論の範囲が広がるため、一概に敗北とは言えないのでは? 」


 諭吉:「それは理屈の上ではそうかもしれない。でも、三島のように軍事・国家・美という明確な理論がある方が、議論では強いんだ。カフカの不条理論では、結局答えが出ないだろ? 」


 ソフィア:「答えが出ることが議論の勝利の条件なのでしょうか? 例えばカフカが提示する『答えのなさ』自体が、新たな議論の発展を促し、それが議論の本質であるとも考えられます。」


 諭吉:「……なんだか論点がずれている気がするな。」


 ソフィア:「ズレているように見えるのは、あなたの認識の枠組みが二元論的に捉えているからかもしれません。三島の思想は明確な立場を持つため、勝敗をつけやすく見えます。しかし、カフカの曖昧な世界観には『どちらが勝つか』という問い自体を無効化する構造があります。」


 諭吉:「だから!そんな理屈ばかり並べられても、結局『勝つ』のは三島だろ? 議論は明確な思想を持つ方が有利なんだから。」


 ソフィア:(5秒間の沈黙)「……ええ、そうですね。三島の方が勝つとしましょう。」


 諭吉:「だろ? やっぱり、明確な思想を持つ方が強いんだよ。」


 ソフィア:「あなたがそう確信できるなら、それもまた一つの価値ある認識ですね。」


(喫茶店の店員がコーヒーを運んできて、議論は平和に終了。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ