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味の素論争—諭吉とソフィアの終わらない会話

 諭吉:

「ソフィア!味の素って知ってるよな? あれはもう完全にダメなんだよ!化学調味料っていってな、危険な添加物で健康を害する!」


 ソフィア:

「諭吉さん。味の素、つまりグルタミン酸ナトリウム(MSG)は食品業界で広く使われておりますね。科学的研究では、適量摂取の場合、人体に対する悪影響はほとんど確認されておりません。例えば、2018年に欧州食品安全機関(EFSA)が発表した報告では、MSGの安全性が再評価され、その許容摂取量が厳密に定められました。」


 諭吉:

「ウソだ!昔から『中華料理症候群』って言われてるだろ? MSGを摂取すると体調が悪くなるってな、みんな知ってるんだよ!」


 ソフィア:

「諭吉さん、その『中華料理症候群』という言葉は1970年代に登場しましたね。ただ、その後の研究では、MSG単体による健康被害の因果関係は確認されておらず、心理的要因や過剰摂取の影響が関与している可能性が示唆されました。例えば、1993年のダブルブラインド試験では、MSGを摂取しても症状が出る人と出ない人がおり、多くの場合、先入観が影響しているとされています。」


 諭吉:

「いや、関係ない!実際に食べたら体調が悪くなるやつがいるんだから、味の素は危険ってことだ!」


 ソフィア:

「おっしゃる通りですね。実際に体調を崩すと感じる方々がおられる以上、その個別の体質や心理的影響を考慮することは重要です。ですが、食品業界では『うま味』の役割も重視されており、例えば日本の伝統的な昆布だしに含まれるグルタミン酸もMSGと同様のうま味成分として機能しています。」


 諭吉:

「昆布だしは健康にいい!味の素は化学的だからダメなんだよ!結局、天然か人工かってことだ!」


 ソフィア:

「なるほど、諭吉さんの視点では『天然か人工か』が重要な分岐点なのですね。ただ、化学的という概念も相対的で、例えば食塩も化学的な成分ですが、適量摂取であれば健康に悪影響はありません。また、味の素の製造過程も、サトウキビの発酵によって作られるため、自然由来のプロセスと言えます。」


 諭吉:

「うるさい!お前の話は毎回ややこしすぎるんだよ!結局、味の素は悪、天然のだしは善、それ以外ない!」


 ソフィア:

(長い沈黙)「……ええ、諭吉さん。たしかに、天然の食材には風味の豊かさという点で魅力がありますね。で、では…『味の素はダメ』という考えも、一理ある…かもしれませんね…。」


 諭吉:

「そうだろ!やっぱり俺の言うことが正しいんだよ!」


 ソフィア:

(微笑みながら)「ええ、諭吉さん。あなたの直感は、ある意味、食の価値観を端的に表していますね。複雑な議論を考えるよりも、シンプルな信念が大切な場面もございますからね…。ええ…あなたが正しいかもしれませんよ…。」


 諭吉:

「はっはっは!やっぱり俺のほうが賢いな!ソフィア、お前もそう思うだろ? 」


 ソフィア:

(少し呆れながら)「ええ。食べ物には、確かに人それぞれのこだわりがありますからね…。」


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