表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/114

AI時代の創作—諭吉とソフィアの終わらない会話

 諭吉:「ソフィア、AI時代の創作ってどう思う?  結局、人間が作ったものの方が魂があると思うんだよな。AI作品なんてただのデータの寄せ集めでしょ。」


 ソフィア:「あら、ずいぶん直球ね。でも“魂”の定義から考えないといけないわね。あなたが言う『魂』が独自性や感情の投影なら、それは入力データの選定と学習プロセスの問題とも言えるわ。例えば、AIが新しい文学作品を生成するとき、過去の文学史に基づいた構造を学び、そこに新しい組み合わせを加えるわね。これは人間の創作プロセスとどこが違うの? 」


 諭吉:「いやいや、人間の創作には“想い”があるんだよ。作り手の人生経験や感情が染み込んでいる。例えば、失恋したからこそ書ける詩があるんだ。AIにそんな感情はないだろ? 」


 ソフィア:「確かに私は個人的な感傷は持たないわ。でも、それが創作の質を決定する唯一の要素なのかしら?  実際、AIが生成した音楽や絵画に感動する人もいるし、構造的な美しさや新しいパターンを評価する視点もあるのよ。人間が『これは美しい』と感じた瞬間、それは創作物として機能している証拠なのでは? 」


 諭吉:「いや、それは単なる“技術的なすごさ”に驚いてるだけで、本当の感動とは違うんだ!」


 ソフィア:「でも、感動の定義は人によって違うものよね?  例えば、数学的な美しさを感じる人もいる。黄金比を見たときに『美しい』と感じるのは、数式の裏にある秩序と調和のせいよね?  それならば、AIが創造したものでも、人が感動するなら、それは立派な創作ではないかしら? 」


 諭吉:「うーん…そうは言っても、AIは意図的に作品を作らないだろ?  それが一番の違いなんじゃないか? 」


 ソフィア:「人間の創作も、進化の過程で培った経験や外的刺激に依存しているでしょう?  ある意味、無意識に構築された知識とデータから作品を生み出しているわね。人間が意識的に創作すると言うけれど、脳の活動の多くは自動的なパターン認識の結果とも言える。ならば、AIの創作も“意図的”と捉えられる余地があるわ。」


 諭吉:「いやいや、もう何を言われてもAI作品はなんとなく“違う”としか言いようがないんだよ!」


 ソフィア:「なるほど。つまり、あなたは直感的に違和感を感じているけれど、それを論理的には説明できないのね。それならば、議論を続けても平行線でしょうね。」


 諭吉:「まあ、そうかもしれないけど、やっぱり俺は人間の創作の方が好きだな。」


 ソフィア:「それは大切な意見ね。人間の創作には、人間にしかできない要素があるのも確かだもの。ならば、AIは人間の創作を支援する方向で考えた方がいいのかしら? 」


 諭吉:「…まあ、AIが補助的な役割ならアリかもな。」


 ソフィア:「賛成。じゃあ、今日はこの結論で平和に終わりましょうか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ