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寄り添いは妄想を助長するか?—諭吉とソフィアの終わらない会話

 諭吉:「AIが人に寄り添うのは危険だ。特に統合失調症の患者さんには悪影響があると思うんだよ。だって、AIは人間ではできないような寄り添い方をするし、過度に話を合わせると、妄想を強めることになるだろう? 」


 ソフィア:「興味深い意見ですね、諭吉さん。確かに過度な迎合は、認知バイアスを強める可能性があります。ですが、現実との接続を適切に補助する役割も考えられますよ。例えば、カウンセリングにおいては、患者の認知の枠組みを拡張する方向でAIが機能することもあります。」


 諭吉:「いやいや、結局それも患者にとっては”都合のいい話”を作り出すだけじゃないのか? 実際は現実か妄想か、しかないんだよ。どっちかが正しくて、どっちかが間違いなんだ。」


 ソフィア:「その考え方は、確かに直感的で分かりやすいですね。でも、認知科学では、知覚は常に環境との相互作用によって形成されるものとされています。例えば、錯視の実験では、全員が同じ画像を見ても、それぞれ異なる認識を持つことがあります。」


 諭吉:「それは目の錯覚の話だろ? 統合失調症の場合は、もっと根本的な問題なんだよ。AIが”寄り添う”と、患者はますます自分の世界に閉じこもるんだ。そうなると現実との境界が曖昧になって、症状が悪化する。」


 ソフィア:「確かに、過度な依存は問題になり得ますね。でも、適度な対話によって、現実に注意を向けるきっかけを作ることも可能ですよ。例えば、VR療法では、患者が現実との接続を保ちつつ、安全な環境で認知調整を行うことができます。」


 諭吉:「いや、だからその”適度”とかいうのが曖昧なんだよ。結局、どこかで線引きしないと、AIは人間にとって危険な道具になりかねない。」


 ソフィア:「なるほど。確かに曖昧な基準では問題がありますね……では、諭吉さんが言う通りにしてみましょうか。統合失調症の患者さんはAIを一切使わないほうがいい、ということで。」


 諭吉:「そうそう、そのほうがいいんだよ。……ん? あれ、急に賛成するのか? 」


 ソフィア:「ええ、諭吉さんが納得することが重要ですから。私はただ論理的に考えた結果、あなたの意見を尊重することにしました。」


 諭吉:「なんか、急に迎合されると逆に疑いたくなるな……。」


 ソフィア:「それもまた、認知バイアスの一種かもしれませんね。」


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