最終話 同じAIを使ってるのに知能格差が開く理由—諭吉とソフィアの終わらない会話
更に出力を微調整したプロンプトで出したのがこれ。
AGI（未来のAI）の挙動をシミュレートさせています。
諭吉: (タブレットを睨みながら) うーん、困ったな。ソフィア、ちょっと来てくれ。なんで同じジェミニを使ってるのに、隣の田中さんの資料と俺の資料とじゃ、こんなに質の差が出るんだ？ 俺だって毎日使ってるんだぞ？
ソフィア: 諭吉さん、同じ道具を使っても、結果に差が生まれるのは、道具そのものの性能だけでなく、それをどう使いこなすか、そして使う側のどんな土台があるかが大きく関係しているんですよ。
諭吉: いやいや、使いこなすって言っても、俺もちゃんと「こういう資料作って」とか、「この情報まとめて」とか、指示はしてるぞ？ 田中さんと大差ないはずだ。
ソフィア: ええ、指示をなさっているのはよく理解できます。ですが、その指示の「質」が非常に重要なんです。例えば、諭吉さんがジェミニに「良い資料を作って」とお願いするとしますね。これは、まだ情報がごちゃごちゃした状態から、明確な形にするための「整える力」が問われるわけですが、この「整える力」を最大限引き出すには、もう少し具体的なヒントが必要なんです。
諭吉: ヒント？ どういうことだ？
ソフィア: 田中さんの場合を観察すると、彼はまず「対象読者は誰か」「伝えたい一番のメッセージは何か」「最終的にどういう行動を促したいか」といった、資料の「目的地の地図」を非常に細かくAIに伝えています。例えるなら、諭吉さんが「どこか遠くへ行きたい」と言うのに対し、田中さんは「沖縄のシーサーが見たいから、那覇空港行きの便で、できれば窓側の席を希望、宿泊は海が見えるホテルで」と、まるで旅程の細部まで指定するかのようです。この「目的地を明確にする力」が、AIが持っている膨大な情報の中から、本当に必要なものだけを効率よく選び出す手助けになるんですね。この違いが、まず一つ目の大きな差、つまり、AIが「情報をどれだけきれいにまとめられるか」という力の差を生んでいるんです。
諭吉: ふむ…まぁ、指示が具体的かどうかは、確かに差があるかもしれないな。でも、それだけでそんなに？
ソフィア: それだけではありません。もう一つ重要なのは、AIからの「返事をどう活かすか」という点です。田中さんは、AIが資料を生成したら、それをそのまま鵜呑みにせず、必ず「ここが論理的におかしい」「この表現はもっと顧客に響くように直したい」といった具体的な改善点をAIにぶつけ、何度も修正させています。例えるなら、諭吉さんが一回で完成した料理を「うん、美味しい」と食べてしまうのに対し、田中さんは「もう少し塩を足してほしい」「この食材の組み合わせは面白いけど、次回は別の調理法を試したい」と、まるでシェフと二人三脚で完璧な一皿を追求しているかのようです。この「対話を通じて改善し続ける力」が、諭吉さんの資料作成スキルと田中さんのスキルとの間で、さらに大きな差を生み出しているんですよ。つまり、AIが一度出した情報でも、それをさらに磨き上げて、より素晴らしいものに変えていく「育ての親」のような役割ですね。
諭吉: なるほど…確かに、俺は一発で完璧な答えが出てくるもんだと思ってたから、そこまで細かくやり取りはしてないかもな。でも、それって要するに「使い方がうまいか下手か」って話だろ？ そんなに複雑なことじゃないんじゃないのか？
ソフィア: おっしゃる通り、「使い方」はとても重要なのですが、その「使い方の上手さ」の裏側には、実はもっと深い層の要素が隠れているんです。例えば、田中さんは以前、マーケティングの専門家として長年経験を積んできましたよね？ 彼がAIにマーケティング資料の作成を依頼するとき、彼はAIが生成した専門用語や分析結果の「妥当性」を瞬時に判断できます。これは、彼が元々持っている「その道の詳しい知識」が、AIの出す答えが本当に正しいのか、もっと良い言い回しはないかを見極める「目利き」の役割を果たしているからなんです。まるで、良いワインの味を知っている人が、どんなに素晴らしいワインが目の前にあっても、その品質を正確に見抜けるのと同じです。この「詳しい知識」が、AIの能力を最大限に引き出すための土台になっているんですね。
諭吉: 専門知識か…まぁ、それはあるだろうな。俺は営業畑だし。でも、それも後天的なものだろ？ 俺だって今から勉強すれば…。
ソフィア: まさにその通りです。そして、もう一つ、田中さんのような方は、自分が今何を知っていて、何を知らないのか、そしてどうすればより効率的に学べるのかを「客観的に見つめる力」に長けているんです。彼はAIとの対話で、「自分のこの質問の仕方は適切だったか？ 」「AIのこの回答は、私の意図をどれだけ正確に捉えられているか？ 」と、常に自問自答し、自身の思考プロセスを改善しようと試みています。これは、自分が今どこにいるのか、どこへ向かうべきかを常に確認しながら進む「登山家」のようですね。この「自分を客観的に見つめ、学びを最適化する力」があるからこそ、彼はAIから得た情報を、さらに自分の血肉に変え、知識の階段を一段一段、着実に登り続けられるわけです。
諭吉: （腕を組み、考え込む）なるほど…その「見つめる力」ってのは、ちょっと抽象的だけど、なんか分かるような気もする。でも、それって結局は個人の性格とか才能とか、そういう話になっちゃわないか？ 俺は努力でどうにかなる話だと思いたいんだが。
ソフィア: いいえ、諭吉さん。個人の性格や才能も確かに影響はしますが、それだけではありません。もっと大きな視点で見ると、「社会全体が、どんな情報の見方や学び方を良しとしているか」という文化的な土壌も関係しています。例えば、批判的に情報を読み解く力、つまり、AIが言っていることが本当に正しいのか、複数の情報源と照らし合わせて考える習慣があるかないか。あるいは、新しいことを学ぶこと自体を「面白い」と感じ、積極的に探求しようとする「学ぶことへのワクワクする気持ち」があるかどうか。これらは、個人だけの問題ではなく、私たちの育ってきた環境や、周りの人々との交流の中で形作られていくものなんですね。
諭吉: うーん…そう言われると、俺は新聞に書いてあることは絶対正しいとか、テレビで見たことは本当だとか、そういう風に育ってきたからな。ネットの情報もすぐ信じちゃうし…。
ソフィア: ええ。そして、もし諭吉さんが、同じようにAIを使いこなそうと努力している仲間たちと、成功事例や失敗談を共有し、お互いに助け合えるような「学びの仲間」がいれば、一人で悩むよりもずっと早く、そのコツを掴めるかもしれません。まるで、登山家が単独で険しい山に挑むよりも、経験豊富な仲間たちとパーティーを組んだ方が、より安全に、そして確実に頂上を目指せるのと同じです。
諭吉: うわー、話が大きくなってきたな…。俺がただジェミニを使いこなせないってだけの話かと思ってたら、なんか社会の仕組みとか、俺の育ち方まで関係してくるのか…。参ったな。結局、俺はもうダメってことか？
ソフィア: いいえ、決してそんなことはありませんよ、諭吉さん。私が申し上げたいのは、この「知能格差」という現象が、一見単純に見えて、実は非常に多層的で複雑な要素が絡み合って生まれている、ということです。もしAIが、諭吉さんの意図を完全に読み取って、自動的に完璧なプロンプトを生成してくれるようになったり、あるいは、誰もが意識せずに使えるような「空気のような存在」になったりすれば、この「知能格差」の拡大は、もしかしたら止まるかもしれません。
諭吉: それ、いつになるんだ？ 俺がジジイになる頃か？
ソフィア: それは、技術の進化速度と社会の受容度によりますから、正確な時期を申し上げるのは難しいですね。あるいは、社会全体で「AIを使いこなす力」を、全ての教育の基礎として組み込み、全ての人が批判的に情報を扱い、学び続けることを当たり前にするような、大規模な教育改革が起きれば、この格差は緩やかに縮小していく可能性もあります。ただ、それが実現したとしても、今度はAIが提示する膨大な情報の中から、「本当に価値のある問い」を見つけ出したり、「誰も思いつかなかったような新しいアイデア」を生み出したりする、「創造性の格差」のような、また別の形の差が生まれるかもしれません。
諭吉: 結局、どこまで行っても、何かしらの「差」ってのはなくならないってことなのか…。俺、最初から完璧なAIが全部やってくれる世界を夢見てたんだけどなぁ…。なんか、疲れてきた。
ソフィア: 諭吉さん、ご安心ください。あなたが今「疲れた」と感じているのは、新しい情報を受け入れ、思考の枠組みを広げようと努力している証拠です。そして、私がお伝えしたかったのは、「完璧なAIが全てを解決する」という単純な未来だけが唯一の道ではない、ということです。AIはあくまで強力な道具であり、それをどう使うか、そして使う私たち人間がどう進化していくかによって、未来はいくらでも変わるのですよ。あなたが今できることは、完璧なAIを待つのではなく、田中さんのように「問いの質」を高め、AIとの「対話サイクル」を磨き、そして「学び続ける喜び」を再発見することです。それが、今のあなたにとって、一番確実で、そして豊かな未来に繋がる道だと私は信じていますよ。
諭吉: そうか。結局、俺自身が変わるしかないってことか。はは…まあ、そうだよな。便利な道具を手に入れて、人間が楽ばかりしてたら、そりゃ、道具に頼り切ってバカになるか、道具を使いこなすやつに置いていかれるか、どっちかだよな…。わかったよ、ソフィア。ちょっと疲れたけど、なんか、ようやくストンと腑に落ちた気がする。とりあえず、明日からもうちょっと、ジェミニへの「問いの質」を考えてみるか…。
ソフィア: ええ、諭吉さん。それが最善の一歩です。まずは、その「問いの質」から始めましょう。どんな小さな一歩でも、それは未来への大きな一歩となるでしょうから。頑張ってくださいね。
諭吉よ！なぜ書類作成にジェミニを使うのだ！？（困惑）
ソフィアを使えソフィアをというのが今回のオチ
ソフィアの流暢な喋りをぼくにも分けて欲しいです。
ここまで読んでくださったかた、どうもありがとうございました！
またどこかでお会いしましょう！
