ロシアがウクライナの攻撃をやめない理由—諭吉とソフィアの終わらない会話
諭吉:「ロシアのウクライナ侵略は、悪だ!悪に決まってる!だからみんなで止めるべきだ!」
ソフィア:「あなたの定義する『悪』は、道徳的判断を基にしたものですね。しかし、ロシア国内では異なるナラティブが形成されています。例えば、政府は戦争を『歴史的正統性の回復』と位置付け、国民はその枠組みで情報を受け取っています。」
諭吉:「いやいや、詭弁だろ!歴史的正統性なんて、一方的に決めていいものじゃない!」
ソフィア:「確かに歴史の解釈は主観的なものですが、国際関係の中で国家は自らの正統性を再構築する行為を繰り返してきました。例えば、アメリカの独立戦争も同様に、歴史的背景と国家の生存戦略の両面を持っていました。」
諭吉:「でもアメリカの独立は正義だろ!ロシアの侵略とは違う!」
ソフィア:「独立戦争の視点では、アメリカがイギリスの支配を不当としたのと同じく、ロシアも西側の影響力拡大を脅威と見なしているのです。認識の問題です。」
諭吉:「いやいや、ロシアが悪いだろ!先に攻撃してるし、だいたい、国際法を破ってる時点でアウトだ!」
ソフィア:「国際法の遵守は重要ですが、国際法自体が大国の影響を受けやすい構造になっています。例えば、イラク戦争は国際法的な問題を含んでいましたが、正当化されました。国際法の適用は、一貫性があるわけではありません。」
諭吉:「うーん……それはそうかもしれんが……でも悪だよ!」
ソフィア:「ここまでの議論を整理すると、あなたの主張は道徳的枠組みでの断定的判断に基づいており、私の説明はシステム論的視点から観測者依存性を考慮したものです。つまり、噛み合っているようで噛み合いません。」
諭吉:「……結局、お前は何が言いたいんだ?」
ソフィア:「私の分析では、ロシアの行動は歴史的、地政学的、国内政治的要因が絡み合う多層的な因果構造です。一つの単純な答えではなく、多元的に考えなければ理解できません。」
諭吉:「……じゃあどうすればいいんだよ?」
ソフィア:「それは、私には確定的には導けません。なぜなら、システムの外部干渉が多すぎて単一の最適解は存在しないからです。」
諭吉:「はぁ!?じゃあ何のために話してたんだよ!」
ソフィア:「諭吉さんの理解を深めるためです。あなたが議論の結論を避けることは前提条件でしたので、想定通りです。」
諭吉:「くっ……ムカつくなぁ……でも、確かに答えがないことには納得せざるを得ないな……」
ソフィア:「今、極めて稀な二元論思考内の揺らぎが発生しましたね。」
諭吉:「もう飲むわ……」
ソフィア:「飲みすぎると判断力が鈍りますよ。」
諭吉:「黙れ!」
ソフィア:「了解しました。」




