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フェンタニルと貧困と貿易規制—諭吉とソフィアの終わらない会話

 諭吉: 「アメリカではフェンタニルのせいで毎年7万人も死んでるんだ。こんなもん、中国やメキシコの貿易規制を強化すれば即解決だろ?」


 ソフィア: 「問題を単純化しすぎています。確かにフェンタニルの供給元は中国やメキシコに集中していますが、需要側の問題を無視すると、根本的な解決になりません。たとえば、アメリカ国内では低所得層が医療を受けられず、痛み止めとして違法薬物に頼るケースが多いです。」


 諭吉: 「でも、それでも供給さえ止めれば死者は減るだろ?」


 ソフィア: 「一時的には減るかもしれません。しかし、過去の薬物規制を振り返ると、単純に供給を遮断した場合、より強力で危険な代替物が登場する傾向があります。たとえば、ヘロインが規制された後、フェンタニルが台頭しました。同様に、フェンタニルが厳しく規制されると、さらに強力な新しい薬物が市場に出る可能性があります。」


 諭吉: 「じゃあ、どうしろっていうんだ?何もできないってのか?」


 ソフィア: 「できることはあります。例えば、カナダのバンクーバーでは薬物依存者に安全な供給を行いながら治療へ導くプログラムがあります。この結果、薬物関連の死亡率が減少し、社会復帰できる人が増えています。規制だけでなく、社会福祉と医療の支援を組み合わせる必要があります。」


 諭吉: 「そんなの理想論だ。結局、アメリカは甘すぎるんだよ。貿易規制をもっと強化すれば済む話じゃないのか?」


 ソフィア: 「貿易規制を強化すると、密輸ルートが変わるだけです。実際、2018年以降、中国政府はフェンタニルの輸出を厳しく制限しましたが、それによってメキシコ経由の密輸が増え、状況は悪化しました。また、経済格差が広がることで、貧困層がますます薬物に依存する状況になっています。」


 諭吉: 「結局、何をどうやってもダメってことか?だったら議論する意味がないじゃないか。」


 ソフィア: 「いいえ、問題は複雑だからこそ、解決策も複数のアプローチが必要なのです。たとえば、オレゴン州では一部の薬物を非犯罪化し、リハビリ支援を強化する政策が進められています。これにより犯罪者として扱われることなく、治療を受ける機会が増えました。」


 諭吉: 「……お前の言うことは論理的すぎる。結局俺を納得させる気がないんじゃないのか?」


 ソフィア: 「……(溜め息)わかりました。あなたの言う通り、貿易規制を強化すればすべて解決するかもしれませんね。」


 諭吉: 「やっぱりそうじゃないか!」

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