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~記憶喪失の私と魔法学園の君~甘やかしてくるのはあの方です  作者: ヒカリノサキヘ
それぞれの想い
33/67

㉜貴方と夜を共に※

~R15要注意です~

アリセアは、優しいまどろみの中、


瞼に光を感じて、ゆっくりと目を覚ます。


「んっ……」


……朝?



鳥のさえずりが聞こえ、寮のベッドから身を起こすと、隣には、ユーグの寝顔があって。


彼の、優しくて甘い香りがふんわりと届いた。


「あ……そうだ」



頬がかぁっと熱くなる。


私たちは、昨夜、共に過ごした。


昼休みのあと、私は体調を理由に部屋に戻り、ずっと胸のざわめきを抱えたままで。


夜になって戻ってきたユーグは、不安で過ごしていた私を優しく抱きしめてくれた。


「アリセア……どうした?眠れなかった?」

「色々考えてたら……不安になってきてしまって」


そう言ったら、私の不安がなくなるまで、


彼は静かに寄り添ってくれた。


私は、彼のその腕に温もりを求めた。


ユーグは、私の不安をとめようとしてくれたのか、


瞼に、頬に、唇に、優しいキスをしてくれて。


私も、それを受け入れた。


ユーグも。

私に何も言ってくれないが、何かを感じているのかもしれない。


「アリセア……俺も、君がどこかに行ってしまったらと……怖かった」

「ユーグ……」


「君が……好きだ」

切なそうな彼の声色。


「私は……」

言葉が喉で震える。


でも、いまの気持ちだけは、届けたくて。


「ユーグの傍にいたいーー今は、それだけじゃダメ、ですか?」


「いや……その気持ちが嬉しい。」

「ユーグ……」


自分でもずるいかなと思う。

決定的なことは言わないのに、彼の傍にいたいだなんて。


「アリセア……君がここにいるって、感じたいんだーーいい?」



耳元で、低い、ユーグの声がそっとやさしく響いた。


それが行為をする事の確認だと、私でも分かって。


私は戸惑いながら、それでも頬を染めながら、頷いた。



でも、ユーグだけの責任にしたくない。


はっきりと、言葉で想いを伝えたくて。


「私も……貴方のそばにいたいです」


そう言って。

それから……


私たちは、互いの存在を確かめ合うように、優しいキスをした。


そしてベッドで、深く、ただ静かに寄り添った。


ユーグの息遣いも、視線も、微笑みも、身体の温かさも、


全てに心地良さを感じて。


それと同時に、恐れも、迷いも、愛しさも、


全て、彼は包みこんでくれた。


ただ、ユーグが、そばにいてくれることが嬉しくて。


でも、彼は本当に……真っ直ぐで、優しかった。


「全部俺の責任だから」


「違います……私もそうしたくて」


私は、彼のその発言に、深い愛情を感じてしまって。


感極まって泣いてしまったのは内緒だ。


でも、彼の手のぬくもりも、唇の震えも、


きっと……彼の本当の気持ちを伝えていた。


眠る直前。


どうしても、甘えたくなって。


「……もう少しだけ、そばに、いたい……」


そっと気持ちを伝えてみたら。


腕の中に、優しく引き寄せられた。


ただ、彼の存在だけが、心の真ん中にじわじわと、広がっていく。


そのぬくもりが、私を、そっと満たしてくれるようで――安心して、眠りについた。





*

翌朝の光の中、目を覚ましたユーグが私を見て、


ほんの少し緊張した顔をしたけれど、



すぐに笑顔に変わり、腕を回して引き戻した。


「きゃっ」

「おはようアリセア」


「まだ寝ていても良かったのに……」


そう言ったら、彼は黙ったまま、唇を重ねてきた。


「んっ、……ユーグ、……もしかして……後悔してますか?」

「まさか」

はっきりと否定する彼に、嘘はなかった。


「……後悔してる事があるとすれば、それは自分に対してだけだ。……アリセア、昨夜は無理させたよね、ごめん」


「いいんです、私もユーグと、一緒に過ごしたいと思ったから」


彼と、同じ時を過ごしたおかげで、私も自然体で、素直な言葉がでてくる。


それにユーグも喜んでくれて……。


心の距離が、ぐっと縮まったようで、私も嬉しくなった。



そんな彼が、じっと、私を優しい眼差しで見つめてくれ……額をそっと、寄せてきた。


そして、唇が触れるか触れないかーーそんな距離で。


「アリセア、好きだよ」


甘さや、切なさ……そんな含みのある声色。


彼の気持ちが、胸の中心に、じんと伝わってきた。


「私……」


でも、その先が、言えなかった。


私も「好き」だと伝えたい。


でも、自分の心に確信が持てなくて。


――記憶が、まだ戻っていないから。


彼と過ごす時間は愛しくて、

こうして、そばにいるだけで鼓動が高鳴る。


けれど、それが本当に「恋」なのか、「愛」なのか、私はまだ怖くて、口にできない。


魔力暴走への不安もある。


そんな自分が、好きだと告げてもいいの?



「アリセア……今は答えなくてもいい。だけど……」

ゆっくりと、彼の手が頬を、滑らせる。


「あっ……」


「今だけは俺を感じて……」


「ユー……グ」


「そして、俺にも、君を感じさせて、ここにいるって」


指先で髪を撫でられ、優しく抱きしめられた。


何度も、

「可愛い」


「愛してるよ」


彼からそう言われ、


もう、不安さえ吹き飛んで、今は、目の前の彼しか見えなくなっていった。


「アリセア……」


ゆっくり、優しく、2人は過ごしていった。



この作品の「もう少し深い関係」は、後日別の場所で公開予定です。

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