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4-22『エシュドVSハイド』

 速い、だけど反応できないほどではない。

 俺に伸ばされる手のひらだが、俺は半身になって回避。迫ってきたハイドへと左足を振るった。

 だが、その蹴りはハイドが左足を振り上げることによって受け止めてきたため、俺の蹴りは決まらず、一旦バックステップでハイドとの距離取った。


 今足をぶつけ合って理解した。

 あいつ、やっぱり単純に力もある。力だけに頼っているような有象無象じゃなく、あの肉体は鍛え上げられている。

 魔力による防御力もなかなかのものだ。


「『バルマ』」


 そこでマナが真横から闇属性の魔弾を発射する。

 その魔弾の魔力を感じ取ると、明らかにガルガとの戦いで見せたものよりも強くなっていることが分かり、間違いなく本来の力が少しずつ戻ってきているようだ。

 今のマナの魔法なら魔人の魔力の防御を貫通し、攻撃を与えることは容易だろう。だが、それが当たればというもの。

 当たらなければそれがどれほどの威力であろうと関係ない。


「邪魔だ」


 マナが放った『バルマ』を薙ぎ払うようにして手で弾くと、その魔弾は一瞬で砂塵と化し、マナの攻撃が完全に無効化されてしまった。


「出鱈目ね……」


 マナのことは意に介していない。

 今の短いやり取りで砂塵化させることが出来る魔法攻撃主体のマナよりも近接主体の俺の方が厄介だと判断したんだろう。マナに攻撃されたというのに、マナには一切目もくれず、再び俺に向かって突っ込んできた。


 あの手による砂塵化がどれほどのものなのか。

 少なくともマナの魔法を砂塵化することが出来るということは分かったが、一度に砂塵化出来る量っていうのは限られているのか? そしてそれは魔力量によって変化するのか。

 確かめてみたいが、それによって殺されていたらお話にならない。


 今はとりあえず絶対に手に当たらないようにしてなんとかハイドにダメージを与えるというのが先決だ。


 伸ばされた手は横に動いて回避。

 そして回り込んで再び蹴りを放つが、再び防がれてしまった。


 今回、あまり戦いで手は使いたくない。

 本気で身体強化を使うとしたら、今は足に限られる。だけど、戦い慣れているのは拳だから、攻撃力はかなり落ちてしまっていて、なかなかハイドに攻撃することが出来ない。

 でも、俺の攻撃手段はこれだけじゃない。


「『ファイアボール』」


 普段使いとしては威力が滅茶苦茶すぎて使えたものではないが、こういう時ならば威力は申し分ない。

 手のひらをハイドの顔面に向け、ほぼゼロ距離で『ファイアボール』を放ってやった。これを回避したり、手を向けたりする時間など存在しない。


 俺の『ファイアボール』は直撃すると炎柱を発生させ、爆発を引き起こす。

 そのため、俺は爆風を利用して再びハイドとの距離を開け、足に風属性を付与。炎が消えて視界が良好になる前に俺は再びハイドへ向かって走り出した。

 体勢を整える時間を与えちゃダメだ。畳み掛けろ、俺なら出来るはずだ。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 『暴風蹴り(ハリケーンショット)』」


 思い切り地面を蹴り、ハイドへ向けてジャンプ。風属性で威力がかなり上がっているこの『暴風蹴り(ハリケーンショット)』を利用した飛び蹴りだ。

 威力は申し分ないはずだ。


「『土壁(どへき)』」


 次の瞬間、俺の行く手を阻むようにして地面がせり上がり、壁が形成されてしまった。


「くっ」


 仕方がないため、その壁に蹴りを放ち、壁を粉々に破壊する。

 だが、その壁の先にはもう既に炎やハイドの姿は無く、俺の視界から完全に消え去ってしまった。


「エシュド、後ろぉぉぉぉっ!」


 マナの叫び声が聞こえ、地面に軸足をつけて反転し、背後へ身体を向けて見てみると、そこにはさっきまで正面に居たはずのハイドが俺に向かって降ってきていた。

 マジか、こいつ!

 さてはこいつ、作り上げた壁に乗って上に移動し、俺の真上を取ったというのか!?


「この街最初の犠牲者はお前だ」


「そう易々殺されてたまるかよ!」


 体勢が悪くて倒れかけてるけど、一か八かやってみるしか無い。


「『豪拳(インパクト)』」


 右手に身体強化を集中し、降ってくるハイドへ向けて放つ。だが、その拳はハイドの左手によって掴まれてしまい、受け止められた。

 それと同時に俺の中の魔力が霧散していく感覚に陥る。力が入らず、そのままハイドに押し倒され、身体の上に乗られてしまった。


 一瞬で大幅な魔力が消費されていく。

 どうやらハイドの手の力は魔力ある者相手なら、先に魔力を霧散していくらしい。だから、大量に魔力を持っていればある程度は大丈夫。


 だが、その大丈夫な量っていうのが、最低でもSランククラスの魔力量が無いと厳しいくらいだ。そして魔力が原動力である魔族が掴まったら人間が失血死するように、死に至ってしまう可能性が高い。

 絶対にマナに触れさせたらダメだ。


「どうした? その程度の力じゃ俺は倒せんぞ。どんどん魔力が無くなって、力が入らなくなっていくだろう。それ、もう一つおまけだ」


「ぐ、ぐぅぁっ!」


 ハイドの残った右手が俺の首を掴んでくる。

 なんとか左手で引き剥がそうとするが、左手は利き手じゃないから、思うように力が入らない。身体強化を両腕に回しているせいで、右手の力も抜けていく。

 押し返さないとダメと分かっているのに、全然押し返せない。


「ほらほらほらっ! どうしたどうした! 押し返してみろよ、そして俺を倒してみせろ勇敢なる者!」


「『黒天怪壊(こくてんかいかい)』」


 どうしようかと藻掻いていたのだが、マナから闇のレーザーが飛んできたことによってハイドは俺の上から避けざるを得なくなって、飛び降りてレーザーを回避していた。

 それによって俺はようやく解放されたため、起き上がったが、今までに感じたことがないほどの脱力感が俺を襲って思わずよろめいてしまった。


「え、エシュド大丈夫!?」


「あぁ、はい。大丈夫ですが、凄まじい脱力感です。あの手に掴まったらとんでもないスピードで魔力を奪われてしまいます」


 このくらいの量なら奪われても問題ないほどの魔力消費なんだけど、流石にこの量を一気に奪われてしまうと、まだ魔力が残っているとしても脱力してしまう。

 なにせ、この量って言ったら一瞬で上級魔法を二十発位連射したかのような魔力消費だからな。並の魔族だったら失血死ならぬ失魔死してしまうところだろう。

 その前に砂塵となって死ぬと思うけどな。


「強者かと思ったが、お前らはただの有象無象だったようだ。死にたくなきゃこの街を早く出な。俺はこれからこの街に居る人々を全て殺す」


 俺とマナに向けて『喝』が放たれる。

 エイフィルの時は間違いなくあいつの個人的趣味で、楽観的思考での殺人だった。だけど、ハイドは違う。

 明確な殺意があり、そして強い恨みの感情が籠もっているようにも感じた。


 こいつの身に一体何があったっていうんだ。

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