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3-5『久しぶりのダンジョン探索へ』

「おいーっす、おはようございます」


 バルゼットと戦った後、着替えたその足で冒険者ギルドへやってきていた。

 既に俺以外の面々は揃っている。それもそのはず、俺以外のみんなは全員同じ宿に泊まっているのだから、バラバラになるはずはないだろう。

 とりあえず手をひらひら振りながら挨拶をすると、みんなも俺が来たことで、挨拶を返してくる。


「あ、ハルト君、おはようございます」


「おはよー」


「遅いですよ、ハルト」


「うるせぇ、時間通りというか、ちょっと時間に早いくらいだろうが」


 止めろぶん殴りそうになる。

 俺は今、寝不足で凄まじく機嫌が悪いんだから、煽りも程々にしないとメルバード相手だったら普通に殴ってしまいそうで怖いから、いつも以上に適当に返しておく。

 眠っていないから、バルゼットとの戦いで消費した魔力が全然回復していないんだけど、軽くダンジョンへ潜るくらいなら大丈夫だろうということで、とりあえず眠気を魔力で誤魔化しておく。


 今日の予定はこのメンバーでダンジョンに潜るというもの。

 この一ヶ月の間に何度か一緒に戦ったりしたことは会ったけど、最寄りの初心者用ダンジョンが無くなってしまったことで気軽にダンジョンへ行くことができなくなってしまったため、メルバードも参戦して四人でのダンジョン探索というのは初めてだったりする。

 俺たちは勇者パーティーである以前に冒険者だ。ダンジョン探索をして素材を集め、お金を稼がなければ勇者パーティーの運営ができなくなってしまう。

 定期的なダンジョン探索は必要不可欠だ。


 それに、魔王の情報が不足しているため、魔王討伐に行くことが出来ないというのも大きい。ま、その情報に関しては俺がストップしているんだけどな。

 俺が口を滑らせれば一瞬で魔王討伐決行することは可能だろう。

 マナの奴、ガルガ戦の後、ヴァルモダと共に一瞬で何処かに行ってしまったからユイたちにとってはターゲットを見失ってしまったということになるんだよな。

 もう暫くはマナが見つからないことを祈っておこう。既に強すぎるほどの認識阻害が魔王城にかかってるから、相当ヘマをしない限りは見つからないはずだ。


「で、今日はどこのダンジョンに行くつもりなんだ?」


「一番近くのEランクダンジョンは先日崩壊してしまったせいで無くなったので、ちょっと遠いですし、難易度もあのダンジョンよりは高いですけど、Cランクのダンジョンに行こうと思ってます。本当ならEやDランクのダンジョンでもあればと思っていたのですが、近場にEやDランクのダンジョンは無いようでして……」


 確かに、このあたりの地域は魔王領が近いということもあって魔素が濃くなりやすいから、比較的高ランクのダンジョンが生成されやすいんだよな。

 だからこの間崩壊してしまったダンジョンが唯一のEランクダンジョンだったという。惜しいものを無くした。


 本来、DランクがCランクに挑むというのはかなりの自殺行為なのだが、メンバーの半分以上がBランクの上に、俺の本来のランクは賢者だから何も問題はない。


「大丈夫です、安心してください。ボクらはBランクですから。クソ雑魚Dランクのハルトをサポートしてあげますよ。大船に乗ったつもりでんぎゃああああああ頭ああああああああ」


 とりあえずメルバードのランクマウントがウザかったため、こめかみをグリグリしておいた。

 それに、こいつBランクの癖に全然魔法を使わなくて、魔石をぶん投げて芸術は爆発だとか言ってるヤバいヤツだから、正直そこまで戦力としては考えてない。

 才能的にはあるんだろうけど、その才能が間違った方向へ使われているのが俺は悲しいよ。


「え、ええっと、まぁ、そんなところです。私たちがサポートしますので、ハルト君は安心してくださいね。ハルト君は私たちが守ります」


「ありがとう……」


「ね、ねぇ、ボクの時と対応が真逆じゃないです!?」


 お前は煽ってただけだろ。

 まぁ、本来は俺が一番ランクが高くてパーティーを守るべきなんだけど、ユイたちが張り切ってるし、ユイたちには成長してもらわないと困るから今回は任せよう。

 危なくなったらそれとなくサポートをしたら良いしな。


 でも、BランクというのはBランクダンジョンを普通に探索できるレベルのランクだからCランクくらいならこの間のガルガみたいなイレギュラーさえ無ければ何の問題もなく攻略できるはずだ。


「それじゃあ、みんな集まったことですし、集合時間にはちょっと早いですけど、早速行きましょう! 早く帰ってこれたらそれだけゆっくりする時間が作れますしね」


「ですね、ボクもちょっと試してみたいことがあったんですよ」


 ユイはこの日を楽しみにしていたらしく、ウキウキで身支度を整え、メルバードもメカメカしい鞄を背負うとユイの後を着いて二人で一緒にギルドから出ていった。

 俺も二人の後をついていこうと歩き出すと、さっきまで静かだったルリハに肩を掴まれてしまった。


「ハルト、大丈夫?」


「何が?」


「いや、なんか隈がすごいから」


「あ、あぁ……ちょっと久しぶりのダンジョン探索に舞い上がっちゃってさ、あんまり寝れなかったんだよ」


「子供かっ! はぁ……気をつけなよ? 私たちがするのは命のやり取りなんだから、体調管理は最重要。最悪の場合、留守番してもらうから」


「悪い、気をつける」


 やっぱりルリハの観察能力ってすごいよなぁって。

 ユイやメルバードには気が付かれなかったけど、ルリハには一瞬で寝不足だということがバレてしまった。

 流石に魔王領に行ってましたなんてことは口が裂けても言えないから、言い訳をしておいたけど、お陰でルリハに呆れられてしまった。


 でもこればっかりは呆れられても仕方がない。

 今回のは気をつけようがないかもしれないけど、寝不足にはなるべくならないように気をつけよう。


「ルリハちゃん、ハルト君、早く行きましょう?」


「分かったわ」


「今行く」


 とりあえず、今日は帰ってこれたら早めに寝て疲れを取っておくことにしよう。

 二日連続でマナに呼び出されるっていうことは無いだろうしな。

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