表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/147

4-76『全快』

 更に二週間が経過した。

 つい数日前にユイとメルバードから退院したという手紙が届いた。その文面を読んで俺たちはそんなに長くオルターンに居たのかとちょっと驚いてしまった。

 俺たちはハクちゃんが退院できるその時までこの街でハクちゃんのことを見守るって決めたため、その間は街の復興を手伝っていたのだが、毎日忙しくて日にちの感覚と言うものが無くなっていた。


 本当はユイたちが退院する前には王都に戻っている予定だったのだが、でもユイたちに話したらわかってくれるだろうから今はオルターンで頑張ることにする。


 そう言えば、俺は全然知らなかったんだが、この街のギルドマスター、オーズさんも先の戦いで重傷を負ってしまったらしいのだが、もう二週間前には退院して仕事に復帰していたっていう話を聞いてギルドマスターって人種はどいつもこいつも化け物ぞろいだなっていうのを再認識した。

 王都のギルドマスターだって、魔人に酷い傷を負わされた後、普通に仕事をしようとしていたから、冒険者たちに引っ張られて診療所に連れて行かれていた。

 案の定緊急手術をすることになったんだとか。


 そのレベルの傷を受けていて、普通に仕事をしようと思うとか頭おかしいよな。思考回路がバグっているとしか思えない。


 やっぱり冒険者の上位層の治癒能力は人間を超えていると言わざるを得ない。俺も俺で人のことは言えないが。


 手を開いたり閉じたりして感覚を確かめる。

 うん、もう俺の手も完治したらしい。これならば『破壊の一撃(デストロイヤー)』を使ったとしても拳がぶっ壊れるっていうことはないだろう。

 今回の戦いでも『破壊の一撃(デストロイヤー)』を思うように使えなくて火力不足に苦しめられてしまっていたから、限度を考えて使うようにしよう。

 限界まで使い切ったら今回みたいな不測の事態に困ってしまうからな。


 ルリハの魔力回路ももう多分大丈夫だ。

 さすがに切り札(カード)はまだ使わない方がいいかもしれないが、普通に魔法を使う分には問題ない位には回復したことだろう。

 切り札(カード)も万全の状態で使う分には全然問題はないが、一度魔力回路が壊れかけた後だからな。念には念をということだ。


 そして俺は今日もルリハと共に診療所へと来ていた。

 だが、俺たちの心持はいつもとは違う。なぜなら――


「ついに退院できました!」


「ハク、もう大丈夫なの? もう痛いところとか無い?」


「うん、大丈夫だよ。今日これから追いかけっこもできそうなほどに体の調子はいいよ!」


 ついにハクちゃんが退院したからである。

 入院から約一か月と言ったところだろうか。魔人から攻撃を受けてしまったハクちゃんがこの早さで治るとは思っていなかった。もうちょっと時間がかかる覚悟はしていた。

 やっぱり本職の治癒師は流石だな。


 それと、ハクちゃんの身体に魔痕は残らなかったらしい。

 魔人の攻撃をまともに受けてしまったら魔痕が残ってしまうことがあって、それが体を蝕んでしまうこともあるから結構怖いんだよな。

 特に魔法耐性が低いと魔痕が残りやすいんだが、魔痕が残らなかったのは奇跡みたいなものだ。


 ちなみに魔痕を治すっていう方法はまだ見つかっていない。


「お兄さんも毎日来てくださってありがとうございます」


「ん? あぁ、俺も心配だったからな。ルリハの妹は俺の妹みたいなものだから」


「意味は分かりませんが、本当にありがとうございます」


「なんか、ハルトとハクって、妙にこのちょっとの期間で仲良くなってる気がする」


「え、そ、そうか?」


 まさか、ハクちゃんと秘密で会っているっていうのがバレたか?

 ハクちゃんは鍛錬のことは隠してほしいと言っていたし、どうやってこの場はごまかした者か。


「私が言ったのは自分の妹と仲良くしなさいっていうことで、私の妹とっていう意味じゃないんだけど?」


「あぁ、そういう……」


 一瞬、ハクちゃんとの関係に勘づかれてしまったかと思ったけど、そんなことはなかったらしい。

 ルリハって時々妙に勘が鋭い時があるから、こういう時にドキッとしてしまうんだよな。


「お兄さんって妹さんが居るんですか?」


「ん~、まぁ、あんまり仲良くはないけどね。だから、ちょっとルリハとハクちゃんの仲の良さが羨ましい位だ」


「私ってお姉と仲良かったんですかね?」


「え、もしかして仲がいいって思っていたのは私だけだった!?」


 ショック!! と言わんばかりに仰け反るルリハの様子を見て軽く笑いながらハクちゃんは言った。


「嘘だよ。私、お姉大好きだから」


「ハク……っ!」


 ルリハはハクのその言葉を聞いて感極まったように抱き着いた。

 なんだかこの街に来てから今まで見たことが無かったルリハの一面をいっぱい見ているような気がするな。

 最初は不安そうだったけど、結果的に楽しそうだから本当によかった。


 ハクちゃんが退院したって言うことは俺たちもそろそろ王都に帰るわけだ。

 約一か月くらいこの街に居たから、ちょっとこの街から離れるって言うのは名残惜しい気がしないでもない。

 この一か月、復興で忙しかったものの、この短期間で二回も魔人との死闘を繰り広げたのはうそだったかのように落ち着いた日々だった。


 あんなに魔人と連戦なんてやってられないよ。

 魔人一体いるだけで普通に街一つ壊滅できる力を持ってるんだからさ。一度に三体はやめてほしい今日この頃だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ