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5-60『ルリハ・ベータテッド6』

 はい、過去回想終了。

 実はルリハとカルマって昔会っていたんですね。


 そして、助けられたり、追っかけをやっていたことからルリハはカルマの事をしっかりと覚えていますが、カルマにとってルリハは冒険者学園のただの1生徒でしかなかったので、全く覚えていません。


 というか、冒険者学園に行ったのだってカルマの中ではギルドマスターに頼まれた数多の雑用の中の一つとしか考えていないのでそのことも覚えていません。


 なんか色々やったな〜程度にしか思っていないと思います。

「ひぅっ」


 私は自分で強くなっていたと思っていた。

 だけど、実際は違った。私は圧倒的に経験が不足していた。弱い魔物ばかりと戦っていたところで、経験値なんてたかが知れている。

 自分より圧倒的に強大な敵と遭遇した時、経験が少なければ足がすくんで動くことができなくなる。


 魔法が出来ても、私はまだまだ冒険者とは呼べない。


 迫る石の塊。

 普通の冒険者だったらここで魔法が通じないのならどうするかと考えるだろうけど、今の私は頭の中が真っ白になってしまって、何も考えられなくなってしまっていた。

 動けないし、戦えない。後はもうあの石像に踏み潰されることを待つのみ。


 死にたくない、こんなところで死にたくない。

 私は家族に無理を言って冒険者学園に通ったんだ。絶対に立派な冒険者になってくるって誓って。

 なのに、こんなところで死んでなんか居られない。パーティーメンバーが死ぬなんて、ユイにも迷惑をかけてしまう。

 私がしてしまったミス一つでユイの成績も落ちてしまう。それだけじゃない、ユイは私に懐いてくれていたんだから、私が死んだらユイの心の傷になってしまうかもしれない。


 私はまだ、死ねない!


 眼前に岩の塊が迫った時、火事場の馬鹿力と言うやつが働いたのだろう。

 いくら魔法耐性があったところで、魔法を無効化しているわけじゃない。その耐性には上限がある。

 だから、その上限を上から叩くことが出来れば――


 周囲に光熱が発生しだした、その時だった。


「バーカ」


 ズドォンという轟音と共に目の前に迫ってきていた石像が一瞬にして砕け散り、頭上から意思の破片がパラパラと降り注いだ。

 あまりの出来事に呆然となってしまい、石像が居た場所をぼーっと眺めることしかできなくなった。

 だがそこで、周囲が高温になっていることによって暑すぎて我に返る。


「あっつ……」


「こんなところでそんな魔力を爆発させるな。お前、超級魔法でも使うつもりだったのか? 止めとけ止めとけ、これからも魔法使いをやりたいなら超級魔法はまだ早い」


「カルマ……さん」


 眼の前に現れた人物、そして私に襲いかかる石像を一撃で粉砕したのは賢者カルマ・エルドライトだった。

 正直、この時は何が起こったのかは全く分からなかったけど、後々考えてみると石像を粉砕したのはカルマさんしかありえないということに気がついた。


「すみません……」


「いやぁ、別にいいぞ。トラップに気をつけるように言わなかった俺らも悪い。ただ、超級魔法だけは止めろ? お前の魔力回路はまだ出来上がってない。ただ、魔力回路が出来上がった後、どれほどの魔法が使えるようになるのか、ちょっと楽しみだけどな」


「怒らないんですか……?」


「怒る? なんで?」


「だって、私一人でこんな場所にまで来て……ガーディアンと戦い始めてしまいましたし」


「あー、でもそれはさ、君が悪いわけじゃないでしょ。トラップなんてプロの冒険者でも普通に引っかかる人も多いしさ。プロでも対策できないことを君たちにまで求めるつもりはない。よって、君を怒ることは何も無い、以上!」


 初めてちゃんとカルマさんと喋ったけど不思議な人と言った印象だった。

 意外と雰囲気は私たちと変わらず、子供じみているけど、でもすごく頼りになる。近くにいるとどんな脅威からでも守ってくれそうな、そんな安心感がある。

 でもちょっと仕事に対する不真面目さみたいなのをちょっと感じるところは玉に瑕かもしれない。


 上に戻るまでの間、私が落ちた後の事をカルマさんに聞いた。

 どうやらユイが半狂乱みたいな状態になりながらカルマさんを探し回り、カルマさんに助けを求めたようだ。

 そして緊急事態だということを察したカルマさんは『身体強化(ブースト)』を全力で使用して穴に飛び降りて私を助けに来てくれたということらしい。


 私が穴に落ちてからそんなに時間は立ってなかったと思うけど、ユイに助けを求められてから助けに来るのが早すぎる。

 そんなところがやっぱり私たちのような子どもとは一線を画していると思う。

 年齢的には子供なのだけど、子供が出来る範疇を大きく超えていると思う。


 賢者ってみんなカルマさんみたいな化物揃いなのかな……。


 上に戻ると、ユイに泣きながら抱きつかれてしまった。

 相当心配をかけてしまったらしい。


「ユイ、助けを呼んでくれてありがとう」


「うん、うん、本当にルリハちゃんが無事でよがっだよぉぉぉ」


 ユイの涙というものを初めて見たかもしれない。

 いつもニコニコとしていて笑顔を絶やさない彼女を泣かせてしまうとは、私は相当な罪を犯してしまったわね。


 こうして私はなんとか生きてダンジョンを出ることが出来た。

 その後、私はカルマさんに助けられたことによって賢者の活躍何かを調べていたら自分にも吸収できることがあるんじゃないかと思い至って、まず助けられたカルマさんの活躍について調べ始めた。


 どうやら噂通り、カルマさんはギルドマスターに雑用みたいなことをやらされていたらしく、各地を飛び回っては普通の冒険者がやりたがらないような売れ残った仕事をやらされているみたいだった。

 その仕事、賢者に依頼するようなものじゃないでしょというものもいくつも出てきた。


 それでも彼は断らない。

 困っている人は見過ごせず、どんなに小さい仕事だとしても、普通の賢者だったら断るような仕事でも絶対に断らない。

 誰かに仕事を投げるということもせず、自分で受けた仕事は責任を持って自分で完遂する。


 そして街が魔物に攻められてピンチになっている際は目にも止まらぬ早さで魔物たちを蹴散らし、街を守る。


 研究のためだけに長期休暇を利用して今までの傾向から推測して次にカルマさんが行きそうな場所に先回りをしてカルマさんの仕事を観察したりもした。

 私はいつの間にかカルマさんの追っかけになっていたのだ。

 どうやら私は影響されやすかったようで、追いかけてカルマさんの活躍をこの目に焼き付けている内に、その姿に惚れ込んでしまっていた。


 別に恋人になりたいとか、そういうわけじゃない。

 カルマさんの活躍をずっとこの目で見続けていたい。側で見守りたいという思いが強くなっていてた。


 アイドルとかのファンと比べたら私の趣味というのは理解してもらえないかもしれないけど、私はカルマさんの大ファンになったのだ。

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