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4-32『ハイドの猛威』

 指をパチンと鳴らすと、眼の前が燃え始め、キラリと輝くカードが出現。

 それを指二本でキャッチして魔力を込めた。


 さっきからぶつかりあって分かったことだが、魔力の消失は一気に行うことが出来ないようで、触れられると徐々に減っていく。

 だから、その効果の限界を超えるようなパワーを引き出すことさえ出来れば、あいつが魔力を消しきれないんじゃないかと考えた。


「切り札か……面倒だな」


 切り札を発動したとしても魔人である以上、罪の意識による弱体化は望めない。

 だから、二つ目の効果でダメージを蓄えて威力を底上げする。ハイドに勝つ方法はこれ以外には思いつかない。

 ルリハが身を挺して作り出してくれたこの隙、絶対に無駄にするものか!


 俺からは攻撃しない。だけど、ハイドは俺を殺すことに執着している様子だったから、俺から何もしなくても攻撃してくるだろう。

 いつどこから攻撃してくるか。

 攻撃によっては俺も耐えきれない。ダメージを蓄える前に殺されてしまったら元も子もない。

 すべての攻撃を防ぎ切るんだ。


「『土流怪宴(どりゅうかいえん)』」


「っ、二人共!」


 またまた地面に手を付けたハイド。

 直前にハイドが唱えた魔法名を聞き、俺は青ざめた。そして咄嗟にルリハとハクの二人へと駆け寄る。

 この魔法はマズイ。


 俺一人を狙ってくれる攻撃だったらよかったものの、この魔法は広範囲に甚大な被害をもたらす超級の魔法だ。

 俺一人が回避できたところで、二人が危ない!


 直後、地面がうねり、そして地面のいたるところで土が盛り上がり、まるで職種のような形へと変化、そしてそれが周囲に居る敵と認識した相手に襲いかかる。

 この場合、ハイドの敵だから俺たち三人全員だ。

 今この状況から効果範囲外にルリハとハクちゃんを逃がすということは不可能。そして、これを受け切るということも不可能だ。


 ダメージを蓄えることが出来ないけど、仕方がない。


「『激雷』!」


 俺の技の中で一番素早く繰り出すことの出来るパンチで正面から迫ってきた土の触手を破壊する。

 雷属性なだけあってスピードは俺の技の中で一番だ。だが、如何せん攻撃の数が多すぎる。相変わらず超級魔法となると出鱈目が過ぎる。

 しかもこの魔法は土属性の魔法だ。土属性の魔法は他の魔法よりも周囲に対する被害が大きいことが特徴的だ。


 植わっていた木々なんかは地面のうねりによって地面の中から根っこが弾き出され、こっちへと飛んでくる。


「『豪拳』」


 流石に木ほどの頑丈なものを一撃で粉々にするには『豪拳』程の威力は必要だったから、すぐさま『豪拳』に切り替えて殴り壊すけど、その間にもまた次の触手が迫ってきている。

 あまりにも数が多すぎる。

 ルリハは限界、ハクちゃんはまだ成長途中。俺が二人共守らなきゃいけないというのに、この凄まじい連続攻撃に屈しそうだ。


「くっ」


 触手が少しだけ肩をかすった。ただ、それだけだと言うのに肉がえぐられ、血が飛び散る。

 超級魔法程の威力の攻撃の前には魔力による防御なんて無いに等しい。しかも、これが魔人の攻撃だって言うんだから、二人を守るために魔力を攻撃に集中させている今の状況で肉体を守ることが出来るはずがない。


「『暴風蹴り(ハリケーンショット)』」


 足に風を纏わせて蹴ることで衝撃波を発生させ、正面に見える触手たちを一斉に吹き飛ばす。

 一気に触手を破壊することが出来たけど、それでも尚無限に触手は襲いかかってくる。ここに地面がある限り、ハイドの攻撃の雨が止むことはない。


 この状況を打開する方法。触手をぶっ飛ばしながらハイドに攻撃を与える方法。

 思いつかないことはない。だけど、それをやってしまうと俺の身体がどうなるか分かったものじゃない。

 でも、このまま守り続けていても、いずれ俺たちはハイドに殺されてしまうに違いない。


 それくらいならいっそ――


 俺はパーティーのみんなの笑顔を奪うわけにはいかないんだ。

 これは元賢者としてでは無く、ただ一人のハルト・カインズとして。ユイ、ルリハ、メルバード、この三人の笑顔は絶対に絶やさせない。

 三人から笑顔を奪おうとするやつは例外無く敵だ。


 それが例え、自分の体を壊すことになろうとも。


「俺は絶対に守り抜くんだ!! 『破壊の一撃(デストロイヤー)』!!」


 この拳が壊れたっていい。今、ルリハとハクちゃんを守れるのならば、この腕の一本くらいくれてやる。

 ルリハがもう二度と魔法が使えなくなるかもしれない危険を押してでも俺を助けてくれたんだ。なら、今度は俺が誠意を見せる番だ。


 全力で魔力を右の拳に集中させ、拳を振り抜く。

 迷うな、突き進め。こんなところで躊躇していたら俺は何も守れないから。


「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 俺が拳を振り下ろした瞬間、凄まじい衝撃波が放たれ、俺の正面に存在する触手は一気に全てが破壊される。

 それでも尚、衝撃波の威力は衰えず、そのままハイドへと襲いかかった。

 衝撃波に関しては魔弾ではないため、その手を使ったとしてもかき消すことは出来ない。衝撃波はハイドに直撃してハイドを吹き飛ばしてしまった。


 衝撃によって魔法が解除され、周囲の触手は再び土となって地面に落ちていった。


 なんとか攻撃からルリハとハクちゃんを守り抜いた。

 だけど、俺はボロボロだ。今の一撃で手の骨にヒビが入った感じがした。砕け散っていないだけマシと思えばいいのか分からないけど、今手に尋常じゃないほどの痛みが生じている。

 今こうして立っているのだって痩せ我慢だ。


 触手によって身体のあちこちの肉をえぐられてしまった。血だって大量に流れていて意識が朦朧としている。

 今の一撃で気絶なりなんなりしてくれていないと正直厳しいんだけど……まぁ、そう甘くはないよな。

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