プロローグ
気づけばそこにあった。
何もわからず漂う毎日。
退屈だった。
退屈という言葉も、まだ知らなかった。
いつの日、世界は変化を迎えた。
生き物たちが、大地を駆け巡り、空を飛び、水中を泳ぎました。
面白いと思った。
けれど、それもいつしか飽きた。
それでも、前よりはましだった、けれど、何か物足りないと思っていた。
ある日、猿の様な生き物が大きい生き物に戦いを挑んでいるのを見た。
無謀だと思った。
こんな愚かな生き物は、すぐに滅ぶと思った。
彼は小さい体の小さい手で石を投げて戦っていた。
そんなものは、何の意味をなさないのに
簡単にあまりに簡単にけちらされいる。
しかし何故か気になった。
はるか昔の、記憶が蘇る様な気がした。
ある日彼らの手を見ると、彼らの手には石ではなく槍が握られていた。
槍と、呼ぶにはあまりに、不細工な作りだが、確かにそれは槍だった。
私はそれを知っていた、何故かはわからないが槍というものを知っていた。
槍が獣を貫く。
ついに彼等は、自らより遥かに大きな獣を倒す事を可能にしたのか。
何か、分からない熱いものを感じた。
また始まるのか、
また、と思う。
いずれ終わりを迎えるというのに。
それなのに、また人は、それを始めるのかと。
それが、寂しかった、悲しかった、けれど、その奥に喜びも感じた。
私は、何を感じそう思ったのかは分かなかったが、確かにそう思ったのだ。