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七日目の投票

あゆみは、自ら動いて投票30分前には集まって欲しいと皆に言って回った。

皆と言っても、もう残っているのは明生、あゆみ、永嗣、重久、尚斗、公一、安治の7人だけだ。

ここから今夜は公一を吊り、明日から役職精査だった。

自ら皆が集まったのを見て、あゆみは言った。

「私は、尚斗さんが真霊媒師だと思う。」皆が驚いた顔をするのにも、あゆみは構わず言った。「伊緒ちゃんが狼だったのよ。初日から、あれだけ尚斗さんを吊り推していたのに身内切りにしてもやり過ぎてる。景清さんのお陰で伊緒ちゃん狼が確定したんだから、私は安治さんを吊りたい。」

明生が、言った。

「待てよ、安定進行しようって話になってただろう?確かに伊緒さんのあれは身内切りにしてはやり過ぎだが、どっちかが生き残って勝ちを目指そうと言うなら分かるかも。」

重久も、頷いた。

「そうだぞ、もう少し考えた方がいい。明日は護衛成功が出なければ、5人になって公一、尚斗が狼で、永嗣さんが狂人だったら村は負ける。ここはとりあえず、公一を吊って残りの2縄で役職精査が一番良いだろう。」

あゆみは、首を振った。

「景清さんは伊緒ちゃんを偽だと決めてて噛まれて道連れにして、それが間違ってなかったことを証明したわ。その景清さんが、あれだけ初日から皆に怪しまれていた尚斗さんを吊らずに残して進めて間違っていなかったのよ。思えば尚斗さんは、後から出たことで狼から黒塗り位置にされて来たんだわ。確かに、護衛位置をずらす行為はおかしい。でも、それなら安治さんは?尚斗さんが狂人なんて目線は、あの時提示してなかったのに。人外だから、怖がらせて楽しんでたって言ったでしょ?人外って何?狐は噛みなんか怖くないわ。狼だってそう。怖がる人外なんか狂人しかないのに。色が見えてるのかなって思ったわ。だから、尚斗さんが真よ。今日安治さんが吊れなくても構わない、私は決め打ちでも必ず最後には安治さんを吊るわ。そもそも永嗣さんの護衛成功なんか出せないわよ。昨日の護衛先が知られてしまってるんだもの。狼はそこを噛むでしょう?だから、仮に今夜公一さんを吊ったとしても、永嗣さんは吊らない。安治さんで終わらなかったら、最後は永嗣さんで良いと思うわ。」

明生が、困惑した顔をした。

「言いたいことは分かるが…共有者だもんな。あゆみさんの意見は強いし、それだけ確信してるなら…その流れでもとりあえずは良いのか…?」

しかし、重久が言った。

「良くないぞ。そもそもオレは安治さんの方が真だと思ってる。仮に伊緒さんと尚斗が狼同士だったら、片方が吊られて色が見えた時点で片方は白くなるだろう。それを目指して初日から徹底的に切ってた可能性もある。永嗣さんも、護衛成功が出たら真置きできるがそれがなかったら狂人の可能性もあるし、置いて最終日は怖い。さっき決めた進行が一番良いんだ。」

しかし明生は重久を見た。

「だが、オレ達は確白なだけだぞ。決めるのは共有者か猫又に委ねて来ただろう。あゆみさんは初日から、騙りでなくきちんとした役職を知った上で議論を見て来た。だったら、オレ達よりずっと見えてるかもしれないじゃないか。確かにどうしたら良いのかって迷うが…あゆみさんが生きてる限り、従おうと思ってる。オレは反対して違った時に責任を取れない。」

しかし重久は反論した。

「ダメだ、任せきりにするのは自殺行為だぞ。迷ってるなら、今夜は公一でお茶を濁そう!明日からのことは、また明日考えたら良いじゃないか。議論時間を取るためにも、今夜は結論を出さずにおこう。」

あゆみは、それでも首を振った。

「私は決めてるわ。何を言われようと、皆に同意されなくても、私は最後には安治さんを吊る。」

明生は、迷うように曖昧な頷き方をした。

従おうというのだろうと、皆には見えた。

だが、重久は立ち上がってまで言った。

「思考ロックはダメだ!尚斗は護衛先をぶらしたんだぞ?!ちゃんと考えないと!」

明生は、またそれを見て迷うように顔をしかめる。

村から見たら、明生があゆみと重久の間で、揺れているように見えたはずだ。

そこで、モニターがパッとついた。

『投票、5分前です。』

今夜の投票が、また始まろうとしていた。

あゆみは、険しい顔を崩さず腕輪のカバーを開いたのだった。


1明生→19

9あゆみ→17

11永嗣→19

14重久→19

15尚斗→17

17安治→19

19公一→17


ギリギリ…!

あゆみは、肝を冷やした。

あれだけ強いことを言ったので、あゆみとしては安治に入れるより仕方なかったが、本当は安定進行を崩すつもりはなかった。

なので、他の票で公一が吊れるだろうと簡単に思っていたのだ。

だが、実際は7人という少ない人数になってしまっているので、あゆみの他に3人の票が流れただけで吊られる。

実際は、あゆみ、安治の対抗の尚斗、自分投票できない公一が安治に入れているので、後一票でも村人の票が流れていたら、安治が吊られていたのだ。

…危なかった。

あゆみは、冷や汗が背中を伝うのを感じた。

この人数になったら、フェイクも命懸けなのだ。

しかし、このフェイクは安治が狼である時だけ有効なことで、尚斗が狼なら願ったりの進行だろう。

それも、噛み先で分かるはずだった。

『No.19が追放されます。』

公一は、力を抜いてソファにもたれ掛かった。

「…後は頼んだ。」

そして、目を閉じたと同時に脱力して、公一は追放された。


男性が公一を淡々と三階へと運んで行くのを後目に、あゆみは投票結果を睨んだ。

…永嗣さんは、公一さんなのね。

あゆみは、それを見て本当に危なかった、と思った。

よく考えたら、永嗣と公一、尚斗が狼陣営だとしたら、あゆみに乗って安治投票で明日パワープレイだったはずだ。

だが、実際は尚斗と公一は安治に入れていたものの、永嗣は公一に入れていて、結果的にそのチャンスを潰す決定票になっている。

そんなことが分かると知らずにやった事だったが、こうして見たら永嗣と尚斗、公一は同じ陣営ではなかったのだと分かった。

そこへ、また戻って来た明生が声を掛けて来た。

「ここに居たのか。もうちょっと話そう。部屋へ戻らないか?重久さんは、もうオレの部屋で待ってるんだ。」

あゆみは、明生ちゃん見上げて頷いた。

「…分かった。この投票で分かったことがあるの。話したいわ。」

明生は頷いて、そして二人で、二階へと上がって行った。


1号室の中に入って扉を閉じると、重久が振り返った。

「なあ、上手くやっただろ?明生も役者だよな。迷ってるふりしてたんだろ?」

明生は、苦笑した。

「そう。三人三様なのが一番良いと思ったんだ。だが、危なかった。一票でも安治さんに入ってたら、安治さんが吊れてしまってた。オレは安定進行を変えるつもりはさらさらなかったもんな。」

あゆみは、言った。

「その事だけど。」と、椅子に座って言った。「永嗣さんが、公一さんに入れてるの。狼陣営だったら、格好のPP盤面作るチャンスだったじゃない?だからあれを見て、仮に尚斗さんが狼だったとしても、永嗣さんは狼でも狂人でもないと思った。公一さんは吊れたし、これで安治さん目線でもグレーの狼は恐らく消えたことになるでしょう。明日は、永嗣さんではなく、霊媒師の二人から選んで良いんじゃないかな。どう思う?」

重久は、顔をしかめた。

「まあ…確かに。でも、安治さんが狼で、永嗣が狂人の可能性は残ってるよな。尚斗、公一と永嗣の繋がりがなくなったってだけで。確実に最終日に行くためには、だからどうしても永嗣吊りは避けられないよ。尚斗狼目線での狂人はなくなったが、安治さん狼目線での狂人の可能性は消えてないからな。」

言われてみたらそうだ。

あゆみは、がっくりと肩を落とした。

あゆみは尚斗が、伊緒との関係から真寄りだと思っているので、余計に残して置けない位置だった。

「…どうしよう。明日も私が安治さんに投票で、大丈夫かな?永嗣さんを吊れる?」

明生は、うーんと顔をしかめた。

「今夜襲撃が通ったら、残り5人だろ。永嗣さんが狂人だったら、村は票を合わせないと勝てなくなる。恐らく永嗣さんと安治さんは尚斗に入れるだろうし、オレか重久が残っててその票と、尚斗の票が永嗣さんに入って、あゆみさんだけが安治さんになるから、決戦になるぞ。まあ、そうなってから永嗣さんに投票してくれても良いけどな。」

だが、間違えたらまずい。

あゆみは、考え込んだ。

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