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四日目朝の会議

あゆみが着替えてきちんと化粧もして降りて行くと、リビングにはもう、結構な人数が集まっていた。

あゆみが皆に近付いて行くと、佳純が振り返った。

「あゆみちゃん。ゆっくりしてた?」

あゆみは、頷いた。

「うん、一度景清さんと明生さんに話しに降りて来たけど、着替えてなかったからちゃんとして来た。」

伊緒が、言った。

「何を話しに来たの?」

あゆみは、ソファに座りながら答えた。

「霊媒精査の話よ。情報は多い方がいいから。」

伊緒は、眉を寄せた。

「そんなの、尚斗さんに決まってるじゃない。噛まれるのが怖いとか、そんなの誰でもそうじゃない。それなのに、護衛を移動って、不自然なのよね。永嗣さんと組んで、カイ君を噛むためにお芝居したんじゃないの?」

確かに、尚斗は怪しい。

だが、永嗣が言った。

「初日から尚斗ばかりを怪しんでるよな、伊緒さんは。そんなだから、こうなってもオレは尚斗が本当に噛まれるのが怖い真霊媒なんじゃないかって思うんだよ。確かに尚斗は怪しい。でも、初日からなんでそんなに色が分かるんだ?オレからしたら、君がそんな風に尚斗を陥れようとしてるように見えて仕方がないんだよ。」

そこに、尚斗がおずおずと入って来る。

景清が、それを見て言った。

「…そこまで。とりあえずこれでみんな揃ったし、話を始めよう。まず、今14人、縄は後6つだ。昨日の和人が狐だったのが濃厚だから、確定で3人外落ちたと言いたいところだが、最悪のケースは考えておこう。そう考えると、縄に余裕はない。今夜は確実に霊媒の人外を処理したい。カイは確定占い師だったので、その白先である明生、重久さんは必ず白だ。他は共有者のオレと佳純さん、猫又のあゆみさんは確定白。和人が狐なら、和美さんが真占い師なので昌平も白。となると、残りはグレーは杏奈さん、公一、拓郎さんの3人になる。そこも精査しながら、今夜は霊媒師の中の人外を探そう。」

全員が、頷く。

重久が、言った。

「和美が真占い師だと分かって良かったよ。オレだけが分かってるのもって思ってたからな。縄に余裕があると分かって良かったじゃないか?そんなに警戒する必要はないだろ。さっさとグレーを吊りきってから、役職を吊っても良いとオレは思うけどね。グレーが3人なんだから、そこを綺麗にしてる間に破綻も見られるんじゃないか?」

しかし、明生が眉を寄せた。

「霊媒師は破綻しないぞ。狂人ならあり得るが、狼は真霊媒が生きてる限り真結果しか出さないからな。狩人は破綻もあるかもだが…カイが居なくなった以上、他にいくらでも噛む位置はある。確定白のオレとか、重久さんとかな。」

重久は、それを聞いて黙る。

つまりは、自分も噛み位置だとやっと悟ったのだろう。

景清は、言った。

「まあ、噛むならまずオレと佳純さんだろう。共有である限り、それは仕方ないと思ってる。それより、気になることがあるんだ。みんな、霊媒は尚斗が怪しいと思ってるのか?伊緒さんはいい、初日から尚斗推しだからな。対抗がそんなだから、永嗣さんが迷う気持ちも分かる。他はどう思う?そうだな、グレーに聞こう。拓郎は?」

拓郎は、答えた。

「オレは護衛位置を勝手に変えるなんて例え真でも吊られるようなことをしたんだから、尚斗でいいと思う。伊緒さんの高圧的な様子は確かに気になるが、永嗣が狼でどうしてもカイを噛みたくてそう指示してて、茶番劇を繰り広げてたとしてもおかしくないからな。尚斗は残しておけない。」

景清は、頷いて公一を見た。

「公一は?どう思う。」

公一は、答えた。

「オレも同じ。絶対尚斗が怪しい。そもそも霊媒なら噛まれてくれたら良かったんだ。占い師の方が重要に決まってるじゃないか。カイが今日、拓郎さんの結果落としてくれてたら、白黒分かってもっと詰まったのに。とにかく、尚斗一択だと思うけどね。」

景清は、頷いて杏奈を見た。

「杏奈さんは?」

杏奈は答えた。

「私もそう思うわ。カイ君が居たら、拓郎さんの白黒分かってもっと村が有利だったじゃない。黒だったら、そこを吊れば良かったんだしね。」

景清は、それに眉を寄せた。

「…3人共そう答えるのか。」と、ため息をついた。「君達は落ち着いてるけど、昌平が白なら君達3人の中に狼が2人居ることは村目線じゃ確定なんだぞ。初日吊った恵令奈さんは白、恐らくあって狂人だ。和美さんが真なら一輝と和人が狐で、ということは狩人と霊媒師に一人ずつ狼が居て、グレーに2人。君達目線じゃ、自分以外は全部狼なのに、その狼が吊り推すところを吊ろうとしてるのか?」

言われて、あゆみはハッとした。

確かにそうなのだ。

となると、やはり尚斗は真霊媒なのだろうか。

明生が、言った。

「…霊媒精査より、グレーの方がいいんじゃないかって悩んでたんだよな。とりあえず霊媒吊りだと言って、意見を聞いてみようということになった。それで、わざと景清はそう言ったんだ。今の意見を聞いても、霊媒の精査は難しい。結論、尚斗は確かに怪しいが、今夜は三分の一の確率で人外に当たる霊媒よりも、三分の二で人外に当たるグレーが良いんじゃないかと思っている。今も言ったように、確かに霊媒は破綻しないから先延ばしにしただけになるが、それでも考える時間はできる。」

伊緒が、険しい顔で言った。

「どうして初日から怪しい行動ばっかりしてる尚斗さんを庇うの?共有者だからって横暴過ぎると思うわ。尚斗さんは後から出た上に護衛先をずらすなんてことをしてるのよ?もちろん、私目線じゃ永嗣さんが偽だから、二人が共謀してる事になるんだけど、永嗣さんだって怪しいでしょう。慎重になるにしても、やり過ぎだと思う!」

景清は、伊緒を見た。

「君こそ、どうしてそんなに尚斗を推すんだよ。というか、オレ達から見たら、今も言ったように絶対に人狼が二人居るグレーの三人が、みんな霊媒師、しかも尚斗から吊る事を推してるのを見たら、尚斗が真なんじゃないかと思えて来る。つまりは、この状況は狼が作り上げたことで、尚斗と永嗣さんを陥れようとしてるんじゃないかって思えて来るんだよ。そもそも、和人が狐だったら、昨日の和人はどこに入れてた?」

公一が、ハッとした顔をした。

「それは…安治さんだろう。」と、何かを悟ったように目を見開いた。「そうか、狐目線、もしかしたら狼位置が透けてた?本当なら霊媒を吊るなら、昨日だって尚斗さん推しでおかしくなかったのに。よりによって安治さん。ってことは、安治さんが狼?!」

安治が、顔をしかめた。

「いったいどうやったら透けるって言うんだ。オレは真なんだ、狐に投票されたからって怪しまれるのは迷惑だ。そんなことで、後から出た上に護衛位置を勝手に変えた尚斗との真勝負に負けるっていうのか?」

しかし、杏奈は言う。

「言われてみたら…確かにそう。だったら、安治さんが怪しいの?」

グレーのうち、2人がそれを言うのか。

あゆみは、ため息をついた。

必ず狼が2人居る3人の内、2人がそんなことを言い出すと、途端に分からなくなるのだ。

景清が、同じように思ったのか、ため息をついて昌平を見た。

「和人と仲が良かったよな?和人は、何て言ってた?なんで安治さんを怪しんでたんだ?」

昌平は、考え込む顔をした。

「…いや…ただ、オレには分かるってだけで。なんで分かるんだって聞いても、理由までは言ってくれなくて。追放される時の言い方と同じだよ。後から考えたら、自分が狐だから、何か分かったのかとオレは思ったが。」

昌平にも、詳しくは話していなかったのだ。

それは自分が狐だと明かすことはできなかっただろう。

拓郎は、言った。

「…昌平は、ホントに白なのか?」え、と皆が拓郎を見る。拓郎は続けた。「こうして見てると、なんか他が白く見えて怪しく見えて来る。仮に和人が狐じゃなくて、誰かから何かを吹き込まれただけの村人だったら?昌平なら、和人とずっと一緒だったんだから、2人だけで話すこともできたはずだ。和美さんが狐で、偶然囲ってた狼だとも考えられるぞ。何しろカイは真占い師確定だったが、和美さんは確定していない。真だったカイが占った先で、一輝は和美さんに占われたって事だけ分かってる。仮に昌平が狼なら、狐に囲われてこれ幸いと逃げ仰せようとしてるんじゃ。わざと和人にあんな風に言わせるようなことを吹き込んで、狐だと思わせてるのかもとか思うぞ。」

それには、明生も景清もハッと目を見開いた。

佳純が、言った。

「…確かに可能性はあるわ。でも、その場合だと昌平さんは狼というより狐なんじゃない?和人さんが白なんでしょう、一輝さんが真になるから。和美さんが狐なら、初日に囲ってい単だとした方がしっくり来るわ。だから、そう考えるのなら昌平さんは狐じゃない?」

昌平が狐。

あゆみは、眉を寄せて考え込んだ。

確かに初日から、和美と2人で調理をしたり、一緒に行動はしていた。

だが、皆一緒に居る時に同席していただけで、特に気になるような会話もなかった。

重久が、言った。

「だから!和美は真占い師だ!その方が自然だろうが!そんなことを言ってグレー幅を広げようとしてるんだな?拓郎が狼なんじゃないのか。自分が吊られないように、縄を消費させるのに使おうとしてるんだ!」

「ストップ。」景清が、額に手を置いて、言った。「分かったって、重久さんが和美さんを信じてるのは。とりあえず、その可能性はあるってことだ。狼目線からなら分かってる事なんだろうが…何しろ、和美さんを噛んだのか、一輝を噛んだのかで狼からはその時にどっちが真でどっちが狐だったのか見えてるはずだからな。とはいえ、今日は役職は残してグレーを吊る。和美さんと一輝の精査はまた明日以降だ。共有からの意見として、グレー3人は必ず吊りきる。この中の村人は、すまないが必ず勝つから寝て待っててくれ。きっと戻って来られるから。その間に、狩人と霊媒の精査をしよう。今夜は誰でも良いからこの3人から入れてくれ。誰からでもいい、とにかく吊りきりだから。今日からは、なので役職精査をしよう。決めうちになるからな。霊媒から、話を聞く。」

断固とした景清の言葉に、誰も異論を挟めなかった。

こうなったら、もう役職精査より他、村にやることは残っていないように思えた。


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