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霊媒かグレーか

「…ここまで話を聞いて、カイが生き残ることで確かにグレーは狭まるなと思った。狩人は、このまま置いておいた方がいいのは景清の意見に同意だが、霊媒だな。和人が言うように、狐が居たら狐勝ちになる可能性がある。だから、縄に余裕があるうちに精査した方がいいのは確かだ。猫又を出して、三分の一を狙っても良いんじゃないか。また護衛成功が出たら縄も増えるし、吊りきれる可能性もあるぞ。狼も、グレーを噛む余裕はないだろうから役職を噛んで来るのだろうし、霊媒を噛ませて減らすのも手だ。カイが居たら、霊媒はあまり重要ではないからな。」

景清は、またため息をついてカイを見た。

カイは、言った。

「…そうだね、後7縄。僕のグレーは5人だ。全員吊りきっても縄は2本余る。それで狩人と霊媒を決め打ちするのも良いなと思ってたんだけど、間違ったらまずいしね。何より狐が居たら、確かに一日早く詰むもんね。でも…僕が明日も生き残ったら、必ず白を引いてグレーを4人にする自信はあるけど…永嗣さんが狼だったらと考えたら、怖いよね。必ず僕を噛んで来る。だって、これ以上詰められたら狼は勝ちルートがないから。狼陣営は永嗣さんを差し出して、これ以上詰められないようにするんじゃないかなあ。だから、そうなった時のためにも、グレーを詰めた方が後々良いと思うんだ。グレーが4人、役職に人外一人ずつ。永嗣さんが真なら、僕はもう一日生きられるだろうし、霊媒吊りでも良いんだけどね。」

永嗣は、険しい顔で言った。

「オレは真だぞ?明日佳純さんが噛まれるんじゃないか?オレが守ってないのを知ってるからな。」

伊緒が言った。

「噛めないわ。私が守ってるから。それに、狼に佳純ちゃんを噛んでる暇なんかないわ。霊媒を吊りたい人の中に、狼は居るわね。だって、猫又を知りたいんでしょ?噛みたくないから。昨日愛里ちゃんを持って行かれてるし、カイ君がダメなら霊媒師を噛みたいんじゃない?共有とか噛んでられないのよ。私はそう見えるわ。」

とはいえ、狼からの忠告にも見えた。

霊媒には、狐が出ているぞ、という。

もしかしたら、狼は昨日霊媒を噛んだのかもしれない。

とすると、最初にそれを言い出した和人は黒く見えるし、それに同意した他の二人もそうだった。

「…うーん、どうかな。」景清は、カイを見た。「どうする?」

カイは、じっと考えていたが、言った。

「…そうだね、狼の警告にも見えて来てるのは確か。霊媒に狐が出てるぞってね。でも、だとしても霊媒は後で良いよ。狼が名乗り出てるならいざ知らず、匂わせるだけじゃあね。僕はあくまでもグレー詰めを推す。確実なのは、まずグレーを潰して行くことだから。僕が噛まれたら考えて。それからは任せるよ。」

やっぱりグレー詰めか…。

あゆみは、そろそろ出たいと思っていた。

もし狼が霊媒を噛んでいたのなら、確実にあゆみにも手が伸びて来ているのだ。

猫又COしたら、噛まれなくなる。

なのでジリジリと、あゆみはただ黙っていた。

「…うーん、この感じだと、狩人には狼が出てるので確定だと思うんだよね。簡単にそれを差し出して来るかな?」景清は、言った。「カイはまだ生き残れると思うんだ。カイはそう言うけど、昌平と杏奈さんが両方狼でない限り、この三人の中には必ず人狼が居る。その狼は、霊媒に行きたがってるわけだろう。ということは、霊媒に狼ではなく狐が出てるって考えても間違ってない気がするんだよな。仲間が居たら、推せないと思う。だから、オレとしてはまず狐を処理したい気持ちなんだが…。」

カイは、景清を見た。

「遅かれ早かれ僕は噛まれるんだよ?狼が段々に首が絞まって行くのを黙って見てるとは思えない。早めに切って来てもおかしくはないと思うけど。」

景清は、じっと考えた。

そして、ため息をついた。

「…ちょっと話し合おうか。みんなは休憩してくれ。昼ご飯の後で…そうだな、2時にまた集まろう。一旦解散。」

確定村人の中で意見が割れている…。

あゆみは、どうなるのだろうと気が気でなかった。


今日は、昌平も夜ご飯の準備はしていない。

先導する和美が居なくなって、誰も他の人を世話しようなど考えなくなっているのだ。

伊緒と杏奈と佳純と共に昼ご飯を食べながら、少なくなった女子に寂しさを感じてあゆみは黙っていた。

離れた位置には数人の男性達が同じように思い思いの食事をしながら、ボソボソと話している。

すると、伊緒が言った。

「みんなはどう思う?」他の三人が顔を上げる。伊緒は続けた。「霊媒に行くか、グレー詰めか。」

佳純が、言った。

「今、カイ君と景清さんが話し合ってくれてると思うから、私はそれに従おうと思ってるわ。どちらも利があるように思うし…迷うのも分かるの。」

杏奈が、伊緒を見た。

「伊緒ちゃんはどっちがいいと思う?」

伊緒は、答えた。

「私はグレーからがいいと思う。私は今夜カイ君を守れないから…生き残れるって断言できないんだ。そもそも、カイ君が言うように、本当に狐が霊媒に出ているかなんてわからないわ。狂人かもしれないでしょ?その場合、私目線では恵令奈さんが狐になるから、もう狐は処理されてることになるけど。狼は、グレーの仲間を吊らせたくないから、霊媒の狂人でお茶を濁して進めようと思ってるんじゃないかな。だって、グレーからなんか狭くなってるから、人外に当たる確率めっちゃ高いよ?だから、霊媒に狐が出てるふりをして、なんとか今夜を乗り切ろうとしているように思う。」

伊緒は、めっちゃ考えている。

あゆみは、また恥ずかしくなった。

なので、頷いた。

「…そうね。そうかもしれない。だって、まだグレーには狼が2人は絶対残ってるでしょう。もしかしたら霊媒に狐か狂人なら、3人居るかもしれない。そうなると、かなりの確率で黒に当たるわ。だから、霊媒師を吊りたいのかも。間違える可能性だってあるわけだしね。真霊媒を持って行けたら狼からしたらラッキーだもの。霊媒結果も確定しなくなるわ。」

佳純も、頷いた。

「そうね。確かに。カイ君がどうしてもグレー詰めって言う気持ち、分かった気がする。和人さん達の話を聞いて迷ったけど…狼は、猫又を怖がって霊媒は噛めないでしょう。だから、昨日霊媒を噛んだとは考えづらいもんね。」

伊緒は、頷く。

「でしょう?カイ君は間違ってないわ。私はグレーでいいと思う。どうしてもなら、決め打ちの時、先に霊媒から吊ればいいのよ。そこに狐が居るならね。」

確かにそうかも。

あゆみは、箸を置いて思った。

一つ空けた隣りから、元気が言った。

「…今夜の吊りの話?」

あゆみは、頷いた。

「そう。やっぱりグレーかなって。」

元気の顔を見て、あゆみはハッとした。

思えば、元気はあゆみが共有者なのを知っている。

だが、あゆみは無事だ。

ということは、元気は狼だけはないのではないか。

狼なら、その情報をいち早く仲間に知らせているはずだからだ。

だが、狐や狂人なら分からなかった。

あゆみのそんな気持ちには気付かず、伊緒が言った。

「元気さんはどう思う?」

元気は、対面の席に座っている安治と尚斗、それに向こう隣りの明生と重久の方も見てから、言った。

「…オレは、グレーからだと思ってるよ。オレが真なのは自分で分かってるけど、まだあゆみさん、安治さん、尚斗さんのうち誰が相方なのか猫又なのか、全く分かってない。間違って相方を吊りたくないし、自分が吊られたら明日からの結果が揃わなくなる。村にとって、占い結果ほどでなくても、今夜吊る人の色を見るのはまだ重要なことだと思うんだ。グレーで黒黒見たら、霊媒から手を掛けるのも安心じゃないか。だからなんだよね。せっかく村役職が霊媒と占いを騙って有利に進められてるから、ここはもう一縄グレーに使っていいと思う。」

あゆみは、言った。

「私も元気さんと同じ気持ちだから、分かるわ。相方を吊ったらって考えると、怖いわよね。結果が確定しなくなるもの。自分が見た色を必ず村に落としたいって真感情よね。」

安治が、言った。

「オレも同じ。とはいえ、この中に猫又も居るしな。でも、考えたんだ。となると、尚斗は絶対に猫又ではないよな。後から出てるし、霊媒を確定させようとした村役職の動きじゃないもんな。ということは、狼がもし昨日霊媒を噛んだなら、一番安心できる位置、つまり尚斗なんじゃないかって思ったんだ。仮に狂人でも、一人噛まれたことで結果は信じられなくなって、霊媒ローラーが始まるだろう。だが、噛めなかった。だから、尚斗が狐なんだと狼は認識したんじゃないかって。」

その場に居る全員が、息を飲んだ。

言われてみたらそうなのだ。

後から出た尚斗は、狼から見てもし白なのだとしたら、絶対に猫又ではない。

猫又が騙ろうと思っていたら、後からあんな風に出るのは更に混乱させるだけなので、決してやらないだろう。

狼から見て、尚斗は一番噛んで安心な位置なのだ。

皆が思って尚斗を見ると、尚斗は安治を睨んだ。

「確かに狼から見たらそうかもしれない。いま気付いたよ。でも、それを提出するってことは、安治さんが狼?そう見てるのを、村人達は誰も気付いてなかったわけだろ?狼だけがそう思ってたんなら、その意見を出せるのもわかるな。」

しかし、明生が言った。

「いや、必ずしもそうではないよな。尚斗さんが狐なら、安治さんは猫又か真霊媒だ。尚斗さんが真だとしたら、安治さんの色はまだわからない。狼が霊媒から吊れと言っているわけだし、霊媒師の中には狼は居ないだろうと考えるのが普通だから、あって狂人だよな。安治さん噛みは、いくらなんでも怖すぎるだろう。オレならこんな落ち着いた様子の安治さんは、絶対噛まない。猫又の可能性が高過ぎる。」

安治の落ち着きは、年齢によるものも大きいだろう。

だが、やはり淡々としている様は、村から見て真か猫又に見えるだろうとあゆみは思った。

皆が黙っていると、そこにカイと景清が、入って来た。

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