大盗賊団
あの日からお母さんは徐々に元気になってきました。
そして食欲がすごいのでポリーは薬草よりも食材を採ることに集中しています。
キノコや木の実は見つけ次第、採取します。
あの時使った石を持ち歩くようになり、蛇は出会い次第に確殺します。
今は池でカエルを捕まえています。
アレクも手伝うつもりでしたがカエルには逃げられてばかりです。
「ポリー、まだ捕るのかい?」
「あと3匹かな。お母さんが沢山食べてくれるようになったからね。」
アレクは本当は蛇もカエルも苦手ですがポリーの笑顔が見たいので我慢しています。
アレクに送ってもらっておうちに帰ると月一でおじさんが持ってくる食材が置いてありました。
「お母さん、おじさんが来たの?」
「ええそうなの。もう帰ったわ。」
お母さんが病気でお薬はいつもの半分も無かったのにいつも通りの食材をくれたようで嬉しくなりました。
「カエルをたくさん獲ったから今日はカエル汁を作るね。」
「楽しみだわ。」
お母さんはいつもより少し大きく見えてツヤツヤしてるようでした。
アレクはポリーを送ったあと、騎士団長と合流しました。
「どうだった?」
「やはり母親は繋がりがあるようです。
下っ端が家に入っていきました。」
「今も家にいるのか?」
「まだ出てこないのでそのようです。」
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次の日、アレクはポリーに尋ねました。
「ポリーの家にいるのはお母さんだけなの?」
「うん、そうだよ。たまにおじさんが薬を買いにくるけどね。」
「もしかして昨日来たのかな?」
「どうして分かったの?お母さんが来たって言ってた。
おうちに帰った時にはもういなかったけど。」
「入れ違いだったんだね。森の中で食材を抱えた人を見かけたんだよ。」
「へえ、そうなんだ。お薬がいつもより少なかったのにいつもと同じだけの食材をくれたみたい。
良い人だよね。
お母さんがすぐお腹が空くようになっちゃって大変なんだ。
助かるよ。」
アレクは何か考えこんでいて返事が出来ませんでした。
今回の騎士団による大盗賊団の捜索は大規模なものでしたが根城はいまだに分からないままです。
ポリーのおうちに入った下っ端の跡をつければ根城が見つけられると期待したのですが、どうやら逃げられてしまったようです。
しかし大盗賊団の痕跡は至るところにありました。
その痕跡が徐々に不穏なものとなっていました。
血の痕や何かの肉片や骨のカケラなどが日に日にアチコチで見つかるようになったのです。
ポリーのお母さんは元気になるとともに大きくなってきてツヤツヤも増してきました。
もうツヤツヤというより脂でテカテカです。
食欲も凄まじく、四六時中空腹を訴えるようになりました。
それから数日して発見された夥しい血の痕を辿っていくと崖の側面に岩で隠された大きな洞窟を見つけました。
洞窟の中は人の身体の断片が撒き散らかされている状態でした。
百人はいたはずの大盗賊団は全員何者かに食い散らかされたようです。
洞窟のいちばん奥の頭が座る椅子には頭の頭部だけが恐怖に引き攣れた表情のまま置かれていました。