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君と僕

作者: まろん

『遊びに行かん、暇やねん』

僕は、いつも急に都合よく君を呼び出す。

『いっつも急に言うね』

『急に会いたくなってん。何か予定あるん』

『ないよ、あなたらしいね。どこに行くの』

特に予定は決めていないのに君に会いたくなる僕はいつも遊ぶ理由を考える。

君は気付いていないのかな、好きな人に会うのに理由なんていらないって。

『なんも決めてないわ、大阪駅集合で』

『わかったよ』

君はいつも僕のわがままに付き合ってくれる。

でも付き合っていない。大好きだし君が僕の事が好きなのも知っている。

だからこそ、今の関係に甘えてしまって踏み出せない。


----------------

彼女は元々、北海道に住んでいて就職で関西に来た。

旅行先で知り合って、仲良くなって、好きになって、でも遠距離恋愛は嫌だから付き合わない。

心地よいお互いの理想的な距離感で連絡を取り合っていた。だからお互い恋人が出来るときもある。

実際にお互いに恋人がいた時期もあった。でも僕は君が好きで君も僕との関係を無くさなかった。

勿論、恋人とは上手くいかず僕らは恋人じゃない言葉じゃ表せない居心地の良い関係を続ける事になった。

駄目だと思うけど今の関係がもし無くなったらと思うと怖くて前に進めない。それほど僕は君に惚れてしまっている。

君と会える日々が宝石のようにキラキラしている。なんて馬鹿な事を考えながら電車に揺られる。


『や、昨日ぶり』

『休みの度に会ってるね、私たち』

『ほんまな、とりあえず昼飯行こか』

何気ない会話が本当に好きで、駅の待ち合わせも本当にお気に入り。

新鮮な事はしないけど、君と会う毎日がとても新鮮。こんなに好きになるつもりなかったのにな。


----------------

君と知り合った当初、僕は結構クズな男だったと言われる。

暇つぶしで君と電話すると楽しかった。でも僕は飽き性で君の事が少し面倒だなって思い連絡が来ても平気で無視してた。

普通ならここで終わる筈だったのに、君は僕をずっと待ってくれてたよね。

一度なら分かるけど何回も捨ててその度に君をぐちゃぐちゃにして、嫌われても可笑しくないのにずっと待っててくれた。

最初の1年間は1か月経つと飽きて捨ててたね。捨ててる間に彼氏が出来ていたのは本当に驚いた。

最初は良かったね、なんて言ってたけど死ぬほど後悔した。君への好きをしっかりと実感したのも多分この時。

もう絶対どこにも行かないでおこうと決めた。


『僕さ、好きな人いるんだ』


この関係もそろそろ終わらそう。


『誰だと思う?』


こんな、かっこ悪い聞き方だったとしても


『君は、彼氏いらんの?』


君が僕の事が好きだって知ってるのに


『俺の事好き?』


ロマンティックの欠片もないけど


『お昼ごはんも食べ終わったし、散歩しよっか』


君が25歳になった今日、僕は君に告白するんだ。

大好きだよ。君の事が。


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