表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者殺しの第九騎士〈ナイトオブナイン〉  作者: アガラちゃん
六章「盾は誰のために」
75/237

6章-(5)斧使いとの戦闘

 俺がこの世界に来た目的は……意味のある人生を送るため。


 過ちを犯した彼女達。


 だが……それでも愛する彼女達を救う。それは意味のあることだと感じ、生きがいすら感じる人生の最大の目的のように思えた。


「――やる気か、ケイシとやら?」


 中腰で斧を構えるソウジ。獲物を見定(みさだ)めるように目を細めるこの男から、今までに感じた事のない強烈で凶悪な意思を感じ取った。


 純粋に。“こいつを殺す”という混じりけのない強固な意志。いわば“殺気”とも表現できる剣呑(けんのん)な気配に、俺の背がゾッと冷える。


 けれど……俺の胸の奥で、恐怖とは反比例に勇気と闘志(とうし)が湧き出てくる。


 相手は強大な敵。


 だからこそ――今まで感じてこなかったやりがいを、生きがいを感じられる……!


 俺は腰に下げた刀を抜き、奴の殺気に負けない勇気と闘志をぶつける!


「どんな理由だろうと、アリサとミリアには手出しさせない。来いよ……!」


「……了解した。死にたいなら殺してやる」


 巨大な斧を構え、臨戦態勢を取るソウジ。


 獲物からして、戦闘スタイルはパワー系。


 ならば――力任せの攻撃を避けたとき、勝機が生まれるはず。スピードで攪乱(かくらん)してしてやれば――!?


 瞬間。


 奴が、一瞬で俺の目の前まで距離を詰めた!


 なんてこった。

 こいつ……スピードもある……!?


 だが――攻撃自体は大振り。真上から斧を振り降ろす、隙の多い唐竹(からたけ)()りだ。


 一瞬驚いたが、俺はすぐに冷静さを取り戻し、素早く後退して奴の攻撃を避ける。


 ドン! という地面を響かせるほどの轟音を鳴らし、ソウジの一撃は地面をえぐるほどの威力を見せた。


 周囲を土煙(つちけむり)が満たし、一寸先も見えないほどの状態になる。


 恐ろしい威力だ。だが当たらなければ意味は――!?


 俺は、今唐突に奴の狙いに気が付いた。


 斧の一撃はブラフ。


 この土煙で視界を奪う。それが奴の狙いなら……!?


 じゃり。という砂を噛むかすかな靴音。


 音の源は――背後!!


 刀を背後に振ると、ギイン! と金属同士が打ち合う高音が鳴り響いた!


「…………」


 防がれても、なお力を込めてこちらを押し切ろうとするソウジ。


 無言で渾身(こんしん)の殺意と力を込めるこの男に、俺は心の底からの寒気を覚える。


 だが防いだ。視界を奪い背後から――なんて漫画やアニメでお決まりの戦法じゃバレバレだ。


 殺気に惑わされるな。所詮見かけ倒し。パワー頼りの単細胞に変わりない……!


 しかし。


 その時、俺は重要な事に気が付いた。


 刀で防いだソウジの斧。


 その斧に――肝心の刃がついていない。


 奴の斧の柄から伸びた鎖。


 それは俺の頭上を超え――背後へ。


 ――まさか!?


 素早く背後を見た。


 地面に()い付けられていた斧の刃。


 それが金切り音を上げ――鎖を伝い、高速で回転しながらこちらへ迫る!!


 ……やられた!! 全て奴の狙い通りだった!


 最初の地面をえぐる一撃。あれは単に背後へ回る自分の姿を隠す煙幕ではなかった。


 分離できる斧の刃を隠すためだったのだ……!


 背後への一撃と見せかけ、柄の部分で攻撃。


 俺は防御のため刀で防ぐ。


 そうすると両手は奴の柄の攻撃で防がれ。動きも封じられ。


 防御すらままならず――背後から飛翔する斧の刃を受けるしかない!


 ……パワー頼りの単細胞だって? 


 とんでもない。

 こいつは――こいつは――戦闘のエキスパートじゃないか……!!


 ギイン!!


 金属同士がぶつかる甲高(かんだか)い音。

 ソウジは、わずかに驚くように目を見はった。



 そう、これが俺の能力


 あの女神から受け取った……唯一無二の力。

 俺の全てを守り、俺と敵対する全てを滅ぼす――最強の盾だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ