3章-(11)この世への狼煙
「――刮目せよ。六大国にて安寧を貪る者。六大国が安寧に貪られる者共。これより振り下ろされる我が“怒り”を――」
夜闇に空をたゆたい、月をはべらすが如く、憤怒の淑女が憎悪をうそぶく。
左肩に生え羽ばたく二枚の翼。
しかして右腕を振らば、軌跡に沿う幾数もの銀の剣。
左肩の白き翼と、右側面から展開せし刃翼が十字に交わる。
ラスティナが右手を花のように開くと、同期するように刃翼の刃が動く。
複数の刃が円形に集い、それらは深紅の魔方陣を形成する礎となった。
「この一撃は我らが初めの狼煙。しかと心臓に網膜に刻みつけよ。ここよりこの世の滅びを初めよう……!」
ラスティナは右手を天に向けた。
すると――彼女の500倍近い大きさのエネルギー球が形作られる。
ラスティナはそれを足下へ――魔方陣へと落とした。
深紅のエネルギー球は魔方陣に吸収され、収束。計三つ展開された魔方陣を透過し、まるで赤き巨槍のごとく街を貫いた。
ほどほどに栄えた港町シパイド。
その夜、天空からの憤怒の槍により、のどかな港町は巨大なクレーター1つを残してこの世界から完全に消滅した。




