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8話 ゴリアテの呪い


「道端に落ちているものを拾って食べてはダメ。知ってる?」

「そりゃ当然だな。子供でも分かる」


 一体この女神は何を言い出すのだろう。

 当たり前だ。拾い食いなどしたことはない。


「道端に落ちている変な巨人の怪しい装備を奪うのも当然ダメ」

「ん? それはおかしくないか? だって敵を倒したりダンジョンの宝箱から出た装備だって使うだろ?」


 俺は抗議をした。

 それがダメなら、世の中の冒険者全員ダメ出しを食らうだろう。


「そんな事はない。拾ったものはきちんと鑑定してから装備すべき。皆そうしてる」

「そんなこと言っても、俺にそんな便利な能力は無いし……」


 鑑定なんて便利な能力、デカイだけの俺と違って羨ましいスキルだぜ。


「――ある」

「え?」


 あんの!?

 ちょっとこの女神、俺の能力についてのチュートリアルがなさすぎませんかね。

 やっぱりクソゲー……。と言おうとして、思いとどまる。


 まぁ鑑定はきっと便利なスキルだろう。

 不満はあるがまずは使ってみよう。

 

 どれどれ、鑑定! とこれでいいのかな。

 俺は自分の装備を改めて鑑定してみる。


《名前:邪神の武具》


《性能:いくつもの神の心臓を貫いたといわれる神槍の姿をとっているが、操るもののイメージによって自由自在に姿を変える神々の武器。盾とセットになっており『状態異常無効』『精神操作無効』のスキルを装備するものに与える》


《注:非業の死を遂げた巨人の呪いがかかっている。一度装備すると外せない》



「それは呪われている」

「呪われてますね。何か問題でも?」


 バッチリ呪われていた。なんだよ非業の死っておっかねえ。

 こうなったら開き直るしか無い。


「そもそも俺がこれを装備することになったのは、全裸だったからだ。服をちゃんとオプションでくれなかったお前も悪い。これを装備してなかったら今でも俺は全裸(まっぱ)なんだが?」


「立派な、皮のよろい装備してるじゃない?」

「う、うるせー!」


 大きなお世話だ!!


「大丈夫。あなたは最強、そして最大。元がポークビッツだったとしても」

「やめて!!! それ以上はいじめないで!」


 これ以上は持たない。色々と、色々と!


「女神にセクハラはやめて」

「逆ギレ!? お前がふってきたんだろうが!!」


 こいつだけは、いつかヒーヒー言わせないといけない気がする。


「冗談はこれくらいにして、その装備は本当にダメなもの」

「駄目と言ってもなぁ。本当に外せないようだし……」


 俺は腰ミノを外そうとする。が、ピタリと食いついてきて外そうにも無理そうだ。

 

「呪いは大きな問題じゃない。問題なのは今のあなたの姿」

「俺の姿?」


「そう、あなたの姿は今、かつて存在した巨人――ゴリアテの姿に酷似している。ゴリアテの装備をつけているから当然。世界の認識もそれに引っ張られつつある」

「それが何かまずいのか? ゴリアテってい言えば、何やらエイルたちの街を昔作ったいい巨人みたいだけど」


 エイルや、街の人は巨人を崇拝していた。

 だからこそその地位と装備を俺が奪い取ってやったのだが。


「ゴリアテは人を食べる巨人だとされている。人間を騙して集め、養殖するように増やしてから食べようとあの街をつくった」

「ヲイ……」


 だいぶ俺の知ってるお話と違う……。

 

「でも人間を収穫する前に勇者によって倒されて封印された。だから街の人間はゴリアテの本性を知らないとされている。町の人々は騙されたまま。勇者の言葉も最後まで信用しなかった」


「へぇ……」

 どうせなら俺もずっと真相なんて知らないままで居たかった。


「でも、真実を誰も知らないなら問題はないんじゃないか?」

「勇者はそれを知っている。だからゴリアテは倒された」

「それ何百年とかずっと前の話なんだろ?」

「正確には457年前」


 結構前だ。


「じゃあ問題ねえな」

「どうして?」

「その勇者はもう死んでるだろ?」

「そう、だけど勇者が残した書物がある。その書物が伝わっている街では、邪悪な巨人の話は有名。巨人=悪という認識ができている。あなたも体験したことがあるはず」

「おい……まさか」


 巨人に()(きら)う街といえば……。


「そう、あなたが最初に顔を出した街。そこは勇者が作り、その子孫が暮らす街。アルスガルド。この世界の中心とも呼ばれる大国」

「どうりで追い払われちまうわけだな!!! 勇者の子孫の街に巨人が顔出すってそりゃ考えつく最悪の組み合わせじゃねえか!」


 追い払われた苦い思い出が(よみがえ)る。

 勇者め余計なことを!!

 

「あなたはそこに顔を出した。街の人はこう思った」


 ……ゴクリ。


「邪悪な巨人が復活したのだと!」

「いや、その邪悪なヤツと俺は別のやつだし……」


「巨人は巨人。何百年も前の巨人とあなた、区別がつくはずがない」

「うっ……」


 確かに、巨人違いなんて、普通の人間に区別なんてつくはずがないだろう。


「これは非常に危険な事態、正直に言う。マジヤバ」

「ど、どうなるんだよ……」


 このちょっとネジが飛んでいる女神がマジヤバ!とかどんな事態だよ。


「あなたを討伐(とうばつ)に、今代(こんだい)の勇者がやってくる。邪悪な巨人が復活したことを聞いてダッシュで向かっている」

「へぇ……ダッシュかぁ……」

「あと勇者に付き従う3人の英雄と、そのパーティも向かっている様子」

「そうなんだぁ……」


 勇者さまに、3英雄もかぁ……

 おかしいなぁ、俺そっち側を希望してたんだけどなぁ……。


 何故だろう。この世界。俺の願っていた異世界と違う。


 クーリングオフは効きますか?



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