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神無月は私服よりも巫女衣装の方が慣れていて、周囲の人間もこの姿の方が見慣れていた。
なので地元にいる時には巫女の姿でいる。
着替え終えると、髪を梳かし、離れの邸に向かう。
それから1時間後の10時。
30畳もある広い和室には、座布団の数だけ生徒が集まっていた。
習字教室は1時間。
その間、祖母は生徒達に教え、神無月はそのサポートをしていた。
祖母のおかげで習字はかなりの腕前を持っていた。
生徒達はみな近所の学生達ばかりで、気心が知れていた。
やがて休憩時間になり、神無月も休むことにした。
だが―。
「こんにちわ~。神無月、いますか?」