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「…依琉、あなたは何を<視>たの?」


「ん? ボクはあの旦那さんのが<視>えただけだよ」


依琉が言うには、夫の背後にはもう一人の彼の姿があったという。


不安そうに妻に付き添う姿とは逆に、楽しそうに嬉しそうに笑っている夫の姿。


そしてその夫には3人の女性の姿があった。


「3年目の浮気とはよく言ったもんだ。あの旦那さん、かなりの浮気性と見た。だけど妻は夫を愛していて、離婚なんてしないだろう。なら、自殺に追い込むしかないと考えた」


「奥さんが…病弱体質なのを利用して?」


「うん。小さい頃からよく病気していたのが<視>えた。だけど重い病気も怪我も一度もしていない。それが妻の強さと力なんだろうね。見た目はか弱そうだけど芯は強い―。夫にとっては厄介な部分だ」


そこでいったん麦茶でのどを潤し、依琉は続けた。


「だからわざと妻の病気体質を大袈裟にした。それで妻をノイローゼにして、自殺してもらうことにしたんだよ」


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