09 凶悪強盗団を消し炭にしよう
「さあ、これからどうするか」
強盗団と戦うのはいいが、作戦を考えていなかった。
ダークアラン3世に連絡するか。
しかし、早く行かなければ犠牲者が出るな。
耳に響くほどの銃声。
窓ガラスが飛び散っている。
(ちくしょう、もうバレたか…)
体を伏せ、耳を塞ぐ。
銃声が止んだと同時に『空銃』で撃退するか。
あの銃はリロードに時間が掛かるだろう。
数百発の弾を発射し、銃声が止んだ。
「エリンはそこで待ってろ」
割れた窓ガラスの穴から飛び出した。
予想通り男はリロードを行っている。
最低でも、あと30秒は掛かるな。
空銃を構成し、相手に向ける。
男は持っていた機関銃を捨て、ハンドガンを取り出した。
しまった。もう一丁の銃があるとは。
男はこちらに向けて弾を2発発射した。
それを回避し、男の方へ向かう。
男は様々な方向に弾を乱射したが、かすりもしない。
弾切れを起こした途端に足を蹴り、体制を崩した。
腹に空銃を当て、引き金を引く。
男は気を失った。
まあ、力は弱めているので死んではいないがな。
「エリン、もういいぞ」
そう言うと、エリンはこちらに向かってきた。
「強いね、司くんは」
「まあな」
さあ、ここからエリンの家に向かうか。
「これからエリンの家に向かう。案内してくれ」
「分かった」
「俺の背中に掴まってくれ」
「分かった。まずはここをまっすぐに進んで」
エリンは俺の背中に掴まった。
『立体起動』を使い、移動する。
「すごいね。普段からこんな感じで移動しているの?」
「普段は目立ちたくないから。あまり使わないよ」
屋上を渡っていき、壁を蹴る。
外から見たら、カッコイイのだろうか。
「次に右だよ」
言われた通りの方向へ進む。
さっきから背中に柔らかい感触がする。
エリンは断崖絶壁かと思ったが、そこそこあるな。
おっと、そんなことを考えている場合ではない。
「あそこだよ!」
エリンは豪邸を指差した。
あの豪邸は貴族が住んでいると噂されている豪邸か。
まさか、エリンは貴族なのか。
「敵にバレないように、近くに降りるぞ」
こちらを悟られない民家の屋根へ着地した。
「敵は2人か」
双眼鏡で確認してみると。
門には2人の警備員が居た。
多分、警備員のふりをした敵だろう。
「エリン。お前の家にあんな警備員は居たか?」
「ううん、居なかったわ」
じゃあ、あいつらは始末しておくか。
しかし、この距離では『空銃』では無理か。
この銃の射程距離は最大20m。
ここから敵の距離は大体350m。
なるべく、遠距離で倒したいところだな。
勿論、秘策はある。
息を整え、右手に力を込めて、空中の水分を集める。
その水分を拳銃の形にしていく。
これがもう一つの構成兵器『水銃』。
水を圧縮して発射する。
空銃と比べると構成に時間が掛かるのが難点だ。
だが、空銃より威力も射程距離も優れている。
あとは空銃と形は同じだが、色が違う。
空銃は白で水銃は青。分かりやすいな。
水銃の射程距離は最大500m。
双眼鏡で敵を確認しながら、標準を合わせる。
標準が合わさったと同時に、引き金を引く。
圧縮された水は警備員の腹を貫く。
しかし、もう一人の警備員に気付かれた。
「どこかに隠れていろ!」
エリンにそう言い、屋根を蹴った。
水銃は撃つのに時間が掛かるので、高速で相手の方へ向かい、
射程距離内に入った途端、宙に浮きながら空銃で両足を撃つ。
着地のとき、道に引っかかり、こけてしまったが。
何とか成功。
今度はかなり力を入れたので、相手は悶絶している。
これで、面倒な警備は無くなった。
「さて、裏から入るか」
警備員が通報していなければ、正面から入れそうだが。
敵が待機していたら厄介だ。
遠回りにはなるが裏口か何かで侵入しよう。
裏口からの侵入に成功した。
扉の隙間から敵を確認する。
中は広い空間だ。
銃を持った男が8人、あとは大きな剣を持った男とフードで顔を隠した男が居る。
多分、剣持ちがフードの側近だろう。
その他には囚われている人が7人ほど居る。
手を縄で結ばれているようだ。
まずは、銃持ちの撃退か。
と思っていたら。一人の男が扉の前に下がってきた。
これは運がいい。
なんと、間近まで来た。
空銃を足に向けた。
この距離なら銃を盗めそうだな。
空銃はただの空気なのだ。
やはり、銃の方が性能は優れているのだ。
この男はショットガンを持っている。
空銃の引き金を引いた。
ハンドガンを出されると面倒なので、強めにしておいた。
これなら気を失うだろう。
男は体制を崩した。
扉を素早く開け、ショットガンを奪い、左の男を撃つ。
(残り6人…)
「侵入者を撃ち殺せ!」
剣を持った男がそう言った。
その指示を受け、一斉に銃を向けてくる。
躊躇せずに引き金を引く。
弾は相手の腹を貫く。
それと同時に一斉に射撃を始めた。
銃は様々な種類がある。
近くにあった小さなテーブルを蹴り、弾を防ぎ。
左に素早く移動し、引き金を引く。
弾は相手の胸に命中する。
防弾チョッキを装着しているらしく、血は流していない。
間違えて、胸を撃ったが。これなら、体は頭以外は撃っていいな。
流石に人殺しは御免だ。
相手は急いでリロードをしている。
敵に隙を見せるとは、こいつら初心者だな。
その隙を見逃すことはなく、前に居た二人の男を撃った。
(異世界で軍隊訓練の経験がある俺に勝てると思うな)
右からバンッと引き金を引いた音がした。
咄嗟に避けたが、弾は少し肌を切った。
右に居た相手に引き金を引き、弾が右胸に命中する。
その側にいた相手も撃とうとしたが。
弾は無くなっていた。
「う…動くな」
男は足が震えながら、銃を構えている。
「あぁ?」
そんな雑魚そうな男を睨めつける。
「ひぃ!」
男の方に前に行き、ショットガンを頭に叩きつける。
ショットガンは粉々に砕けた。
「おぉ、これはお見事」
剣を持った男がそう言い、拍手をした。
「さぁて! 次はお前らの番だぞ!」